• 異世界ファンタジー

『77話カレンの赤い靴』カット部分

77話の冒頭部分、実はカットして御座います。

書き終わった後、「あ、これやり過ぎだ」と思い至り削りました。
ちょっと幼児虐待が過ぎるよな・・・と(-_-;)

おかげで少し「ざまあ」に向けてのヘイトが弱くなった気がしますが、胸クソも過ぎれば不快にしかなりませんので、思い切って切り取りました。

実際は、あそこの陰でこんな事が起きていたとご理解くださいませ。

不快に感じましたら、どうぞブラウザバックをお願いいたします。<(_ _)>


――――――――――――――――――――

「ぁ……、ぅ、……あっ!」

 アニーが手に持っていた剣の握りを落とし、苦悶の声を漏らす。
 手足が震え、立っていられずそのまま膝を付いてしまう。

「ぁ、あ゛……ぅ……ぅあっ」

 身体に力が入らない。気力と体力が急速に失われて行くようだ。
 全身に痛みが走り、涙が勝手に溢れてくる。
 アーヴィンやスー姉さまが言っていたのは、こういう事だったのだ。「まだ早い」「やれると感じても、1人じゃやっちゃダメだよ」2人がそんな風に言っていたのは、まだ自分の身体が出来上がっていないからだ。

 先ず基本の身体作りをする事が大切なのだと、何度も教えてくれていたのに……。ごめんなさいスー姉さま。

「ぅああぁあぁぁーーー!!」

 身体を襲う激痛に耐え切れず、叫びを上げながらアニーはその場にしゃがみ込んでしまった。

「こンのクソガキがぁあっ!!」

 そのアニーを、フルークが真横から思い切り蹴り飛ばした。
 
「あぎゅっっ!!」

 蹴り飛ばされたアニーは、建屋の壁まで飛ばされ、そこへ激しく打ち付けられた。
 フルークは更に後を追い、それに追い打ちをかけて行く。
 
「テメっ!どうしてくれるんだ!このカスがっ!このっ!コノっっ!!カスがっ!カスがっっ!!!」
「ぁぎっ!い゛っ!う゛ぁ!――――っ!」

 転がるアニーを何度も蹴り飛ばし、地団駄を踏む様にこれでもかと踏みつける。

「ステアパイクさんからの預かりモンだぞ!どうしてくれんだ?!このメスガキがぁ!!」

 アニーは踏まれ、蹴られる度に、声にならない悲鳴とも嗚咽ともつかない声を上げ続けた。

「や、辞めなさい!そ、それ以上は死んでしまいます!お願い!止めて!ヤメテェーーッ!!」

 コーディリアが叫び上げるが、男達は聞く耳を持たない。それどころかパーカーが、ニヤニヤとイヤらしく笑いながら、逃げ損ねていた双子を捕まえてしまった。

「ひゃはっ!オラ、どこ行く気だ?あぁん?!」
「ヤメテー!はなしてー!!」「おねえちゃん!アニーおねぇちゃん!!」

 泣き叫ぶ双子の髪を鷲掴みにし、そのまま引き摺った。

「捕まえましたよ!フルークさん!!」
「クソがっ!手間ぁかけさせやがって!」

 最後のひと蹴りと言わんばかりにフルークがアニーの腹部を蹴り上げる。
 アニーはゴボリと何かを口から吐き零すと、そのまま動かなくなった。

「ああっ!!」

 その様子を見ていたコーディリアが、悲鳴の様な声を上げる。

「そんな……そんな小さな子に、何と云う事ををするのです!!アニー……、アニー!」
 
 コーディリアの抗議など気にも留めず、フルークは片手でアニーの髪を掴んで持ち上げた。
 弱々しい呻きを漏らすアニーの顔を眺めながら、フルークは鼻を鳴らす。

「フン!見てくれは悪なかったな。育ちも良さそうだ。餓鬼好きの変態相手なら、良い金になりそうだ」
「フルークさん!このガキ共はどうすんです?カレンへの脅しに使うんスよね?!」
「ああ、そうだ。コッチの言う事に従わない様なら使う!その時には二匹いるんだ、片方を目の前で絞めて見せる。もう一匹も同じ目に合わせたくなきゃ『石を出せ』と言えば、ちったぁ言う事を聞く気にもなんだろ!」
「うは!カレンの引き攣る顔が目に浮かぶっすよ!……後で、ヤっちまっても良いんすよね?!」
「バカ野郎!オレが十分楽しんでからだ!売り物にするんだ、壊すんじゃねぇぞ!」
「なっ?!!」
 
 その、人間味も道徳観の欠片も無い男達の会話を聞き、コーディリアが驚きで目を見開く。

「な、何という事を…………!そ、それでも人間ですか?!は、離しなさい!汚い手をその子達から離して!!」

 コーディリアの裂かれた右肩は、焼けた鉄棒でも当てられている様な熱と痛みで、右腕を動かす事など到底出来ない。
 思わず痛みで嗚咽が漏れそうになる。それを誤魔化すように、小まめに息をして意識を何とか散らそうとしていた。
 だが、石畳に背中から落とされたので、こちらも痛みで肺を大きく動かせない。身体をどこか動かすだけで、痛みの為に涙がジワリジワリと滲んでくる。
 少し動かすだけで身体がこんなに痛いなんて!
 身体がまともに動かせない。動かす事がこんなにも辛い!!

 だが、まともに動かない身体であるにも関わらず、コーディリアは必死の形相でその身体を引き摺り進み、やっとの思いでパーカーの足元に辿り着いた。
 そしてまだ動く左手でそのズボンにしがみ付き、二人を放せと声を上げる。

「あ?なんだ?!このヤロウ!!離せ!クソが!!」
「は、離しませんわ!あ、貴方こそ!この子達を、お、お放しなさい!!」
「うるせぇ!離せっつってんだろうが!このっ!コノ!おら!オラァ!」
「あっ!は、離し……ぎっ!や、止めなぃ、ぁぎ!ひぅっ!離し!ぁぐ!!」

 自分に縋り付くコーディリアを、乱暴に殴り付けながら放せとパーカーが叫ぶ。
 それでも離れないコーディリアに、パーカーの苛立ちが更に増し、顔が憤怒の色に染まって行く。

「放せっつってんだろうが!いい加減諦めろこのやろぉがっ!」
「ぎっ!ぃ、嫌ですわ!離すのは、ぁぐっ!ぁ、貴方……ぁぎっ!」
「気に入らねぇ!ナンだその目は?!あ゛あ゛?!負け犬が一丁前に睨んでンじゃねぇよ!」
「あぅ!ぎっ!は、離しなさいぃ!ひぅ!」
「こンのヤロぉ!は・な・せ!つってんだろうがっ!」

 いくら殴りつけても離さないコーディリアに対し、苛つきを募らせたパーカーは、コーディリアの指を捻じ上げて行く。

「あぎぃ!いっ!あぁーーっ!!ひぎ!!」

「負け犬は負け犬らしく、卑屈な目をしてりゃイイんだ!生意気に歯向かって来てんじゃねぇぞ!!」

 パーカーが自分のズボンを掴む指を一本ずつ折って行く。
 その度にコーディリアの悲鳴が上がるが、それでも彼女はパーカーを睨む事を辞めない。

「コーちゃあぁ!やぁだー!」「やめてー!コーちゃいじめないでー!」

 双子が泣き叫びながら、自分の髪を掴むパーカーの手を叩き、精一杯の抗いを見せる。
 その2人に、パーカーが目を剥いて声を荒げた。

「何しゃがんだクソガキがぁっっ!!」
「いやっ!やーー!」「やぁーーっ!!」

 パーカーは双子の髪を掴んだまま振り回し、あろう事か目の前にある石壁に向け投げつけた。

 双子は壁に当たり鈍い音を立て、小さく跳ね返える。
 そのままズルズルと石畳の上に崩れ落ちると、2人重なって動かなくなった。

「なっなにを?!ああ!ダン!ナン!なんて事……なんて事!」

 コーディリアがその惨状に目を見開き悲鳴を上げた。
 対してパーカーは、静かになった双子を見て、ゲラゲラと笑い声を上げている。

 そんなパーカーの傍にフルークが寄って来た。

「使うぞ」

 フルークは、パーカーが脇に置いた棍棒を拾い上げ、徐にそれを振りかぶった。
 そして、それをゴルフのスイングをする様に振り、コーディリアの脇腹に叩きつけた。

「っっ!!!」

 声にならない叫びを上げ、コーディリアは吹き飛ばされ石畳に叩き付けられ転がって行った。
 漸く止まった場所で、咳き込む様にして血の塊を何度も吐き出した。
 あまりの激痛で、身体を動かすどころか、息をするのも儘ならない。
 それでも、朦朧とする意識の中、霞んでまともに見ることも出来ない目で、パーカー達を睨もうとする。

「気に入らねぇ……。気に入らねぇな!!」

 パーカーが忌々し気に声を荒げる。

「さっきからマジで気に入らねぇ!あ?!そりゃ、一方的に甚振られているヤツのする目じゃねぇぞ!」


 その時、男達は路地の口に立つ人影に気が付いた。
 
「……これは何?どういう事?……どうして?!」

――――――――――――――――――――

ここでカレンの登場になります。

続きは本編77話まで・・・。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する