木枯らしの吹く、とある冬の一日。
乾いた空気はシンとして冷たく、吐く息は白い。
こんな日はあったかい『おでん』がいいだろう。
昔は屋台の定番、今はコンビニの定番。
しかし食べたいものを選んでいくと、どちらもそれなりに値段は張ってくる。
その点、家で作るおでんは安上がりだ。
大根も練り物も卵もスーパーで買うなら大した金額にはならない。
まさに家計の強い見方であり、四人家族向けの鉄板メニューといえよう。
ということで、昆布とカツオでだしを取り、湯引きした練り物、大根、卵、とあれこれをたっぷりの鍋に煮込んだ。
「お、今日はおでんか、いいねぇ」
と旦那はビール片手に早速食べ始める。
「でしょう、今日は寒かったからね」
とあたしもシミシミの大根に箸を入れる。
と、ここで我が家の食いしん坊兄弟の登場だ。
早速席に着いた二人の前に炊き立てのご飯を置く。
そして固まる二人。
そう、いつもこうなのだ。
そしてさりげなく、別のおかずがないかと視線をさまよわせる。
「どうしたの?」
「おかずは?」
「おでんがあるじゃない」
「おでんはおかずじゃないでしょ?」
ふむ。やはりこうなるか。
「おでんはおかずになるか否か?」
よその家ではどうなんだろう?
ちょっと聞いてみたいものである。