2022年1月3日。突然ながら、マウンテンサイクルから掘り出した黒歴史を、折角なので晒そうと思った。高校時代、初めて書き上げた小説である。
まあ妖児期に童話執筆の真似事をしたことはあるので、厳密に言えば初執筆ではないけれど、大変に稚拙ながら、初自作クトゥルー小説であるのは間違いない。
原稿が十五年以上も失われていたのだが、最近になって偶然発掘された。
色々な神話作品を読んで自分でも書いてみたくなり、見様見真似で作成したクトゥルー処女作だったが、とうに失われたと思っていた。したところ、先日の帰省の際、気紛れに部屋を整理、開かずのふすまをこじ開けて、埃まみれの荷物の中から高校時代のリュックを発見。その中に無造作に（第二作目とともに）押し込められていたのである。
行方不明の理由には心当たりがあり、執筆当時（まだパソコン一台持っていなかったので、原稿用紙に鉛筆手書き）から、書いているのを人に見られるのが異様に恥ずかしく、コソコソ書いては本棚の裏と壁の間に隠す、などを繰り返していた。作品はほぼ出来上がったものの、以降も隙間から出したり引っ込めたり、隠し場所を変えたりとしていたので、そんな事をしている間に場所が分からなくなった。それ以降、長の年月が流れ、いつしか紛失確定となった。間違えて捨てたかとも思っていた。
あとは細かなリテイクを残すのみで、原稿は98%位完成していると言っても良かったので、この際に全面改稿しても良かったのだが、逆を言えば当時にしか出せない空気もある。なので、あえて訂正は最低限に留め、当時の文章をほぼそのまま残した。
以下、ネタバレ？（に相当するかも知れない話）
外人を主人公にしようとしていて「ジョン・ウィリアムス」というイカした名前を思い付いて大変満足した憶えがあるが、後で知ったところによると、この姓名は日本で言うところの「山田太郎」に似たものらしく、ありふれ過ぎた名前の代表として、ちっともイカしていない事が分かった（と思ったが、山田太郎相当はジョン・スミスと出てくるので、思っていたよりはマシなのか？）
物語のオチ……主人公の正体も、当時はなんて冴えたオチを思い付いたんだと喜んでいたものだが、その実、後年読んだ「墳墓の主」（リン・カーター作）で、全く同じネタが使われていて脱力した。結局誰にでも思い付きそうなアイデアだったと言うことなのだろう。
漢字・ひらがな表記の不統一や、ダーシ、リーダの長さの不統一、人称が多い、固有名詞がださい、等々、あえてそのままにしてある。長大なブランクを経て、遂に昔年の自分の、今にもましてお粗末な小説作品が完成したとも言えるかも知れない。
去年になって施した、最低限の加筆修正の例を挙げると、当時は「角栓」という単語を知らなかったので、ダラダラとまだるっこしく描写していたそれを、前出の二文字で済ませるようにした。十二の扉の主の形態が穴の空いたカシパン状（円盤状）だったのを、出来るだけ不定形にほぐした（本作だけなら別にいいのだが、これまでの自作を顧みるに、異形のデザインをどうも何かと円盤状、放射状、中央に穴やら染みやらの凝集体がある、という定型に填り込ませてしまうクセがあるのが許せず、変えた）。幾つか段落あけの改行をした。等々。
〈十二の扉の主〉の居住者は、絶賛募集中である（当時の自分の意思を尊重すると、自作で使用のオリジナルの旧支配者に限る……ということで。あと十一、空きがある。12と言っても干支や黄道12宮などとは何の関係もなく、たまたまである）。
とは言え気付いたら居住者が18柱いた……などということになるのもあれなので、一応、居住神性の居住申請くらいは当方宛に連絡頂けると幸いである。1作者1部屋と限定しよう。12匹分埋まった所で締め切りたく思う。などと、さも応募が殺到するかの如く錯覚しつつ筆を置く。
大泉高等学校二の四（当時）作者より