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雨ばかり降る街

さて、引き続き拙作「飴と傘」の話なのですが、いただいた感想を拝見していると、舞台となる街が、なんというかSFとか御伽噺的な、非実在感の強い舞台立てに感じられた方もいらっしゃったのかもしれない、と思いました。

なるほど、ガチで雨ばかり降る街、そういうのもあるのか。
(映画ダークシティの夜しかない街とか、なんかそういう)

じつのところ、誇張はしていますがモデルになった街は実際にあって、わたしが学生のころ暮らしていた街です。
とにかく雨が多い土地で、作中に書いたように、出がけに空に雲が見えたらとりあえず傘を持っていくようにしないとヤバイ、という程度に降りやすかった印象があります。“弁当は忘れても傘は忘れるな”というのは現地で諺めいて教えられたミームです(これを聞くと、わかる方は、ああ、あそこね、と思われるかもしれません)。
そういうこともあって傘はお気に入りのやつを買って大事に使おう、とわたしは傘屋(そういえば傘だけのお店がふつうに商店街にあったのもカルチャーショックでした)でじっくり選んで傘を買った(たしかカンゴールの黒いやつでした)んですが、ここで次のカルチャーショックが襲います。

傘の消失です。

そう、作中にも書いてありますね、わたしはそれまで地元では傘が無くなるという経験が一度もありませんでした(そういうところ、だいぶ実感のこもった話だったりするのです)。
それが「バ…バカな… か…簡単すぎる… あっけなさすぎる………」とわたしは花京院のようになりながら自分の傘の刺さっていない傘立ての前で呆然と立ち尽くしていたに違いありません。
その後もわたしは律儀に傘屋で傘を買いましたが、同じようなことを何度か繰り返し、わたしは悟りました。

傘とは消えるものなのだ、と。

わたしの愛用する傘はコンビニで買える500円のビニ傘になりました。これなら日常的な消耗品にかけるランニングコストとして割り切ることができます。
……誤解しないでいただきたいのは、わたしはその街の人は傘ドロボウばかりだとdisりたいとかそういうわけではけしてないです。

ただ、傘は、消えるのです。

こちらからは以上です。

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