何年も前の話なので、気持ちを整理する意味で記します。
追放王子の出版辞退がKADOKAWAと決着がついた十二月の半ば。
別の出版社から書籍化の打診がありました。
作品は『ガチャ転生』。
ダンジョン攻略の話です。
ガチャ転生は、私が小説を書き始めて一年目に小説家になろうに公開した作品で、私の三作品目だったと思います。
初心者ゆえに、かなりメチャクチャなストーリーでしたが、登場人物は気に入っていました。
米ドラマの『スーツ』(イギリスのお姫様になった女優さんが出てたやつ)をモデルにキャラクターを設定していました。
ガチャ転生をある出版社のコンテストに応募していたのですが落選。
しかし、『面白い作品だから書籍化しませんか?』と声がかかりました。
落選からの拾い上げです。
連絡をくれた方はA編集部の女性編集者さんで、どこが良かったか講評も添えてくれました。
(ちゃんと読んで評価してくれたんだ! 嬉しいな!)
前回、書籍化を辞退したKADOKAWAの編集さんは、講評をしてくれなかったので、ありがたいなと思いました。
しかし、問題があります。
この出版社は出版印税が安いのです……。
おそらく業界最安でしょう。
さらに返本があれば、印税からさっ引く、校正は作者の責任というような、わりと作者に不利な契約条件なのです。
そこの出版社の本は誤字がざらにありましたので、校正の費用負担は、ハッキリ分かりませんが、作者が負担するのか、作者が責任を持って校正するかだと思います。
不利な条件であっても、出版を辞退したばかりの私にはありがたいお話でしたし、講評を読むと作品についてよくご理解をいただいていると感じました。
(一緒にお仕事をしたいな……)
私は、A編集部の女性編集者さんにOKの返事を出しました。