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第一回自主企画⑩

コトノハーモニーの遠野と北山です。
今回ははじめての企画に参加して頂きありがとうございます。一体何を言われるのかと身構えてる方もいらっしゃるかもしれませんが、物語を書く端くれとして、書き直すための材料として何が必要だと思うのか、真剣に意見を出し合い、まとめました。

批評『メイド赤木さんの恋の道』 総督琉さん
https://kakuyomu.jp/works/1177354054921221989

まずこの話を読んで二人に共通したのは「これはメイドが恋をしたい話なのか?」という感想でした。
作者がこの話を通して何を読者に伝えたいのか、あらすじやキャッチコピーから推測する内容と描かれている内容が乖離しているように感じました。今回は肯定的批評、批判的批評として語るにはあまりにも判断材料が少ないため、全体について批評する形を取らせて頂きます。

一つ目に、登場人物の背景と関係性が分かりにくいです。神楽家のメイドである赤木の生い立ち、金閣が初恋と書くからには住み込みのメイドだと思いますが、主人公の意思に関係なく一族の人間だからという理由でメイドとして働かせるということは、そういうプロの一族という位置付けなんでしょうか。それにしてはかぐやに対する態度はプロのそれとは思えず、また諌める一族の人間も出てきません。他にもかぐやが赤木に辛く当たる理由、金閣がかぐやの肩を持つ理由、それぞれの行動に対する理由、背景が読み手には今のままだと伝わらないと思います。

二つ目に、麗莵はなぜ普通の女の子である赤木を雇い、さらに霧崎家でもてなすのか? 屈指の財閥なら専属のメイドが元々いるのではないでしょうか? 赤木も「霧崎」という名前から推測しているだけで二人に面識はないようです。通りすがりの「霧崎」という財閥と同じ苗字の子どもに雇ってくれと頼む、という展開は些か唐突ではありませんか。後半のこれまでの赤木を見てきた(出会ってからの話だけを指しているのか?)ような口ぶり、告白に至るまでの信頼関係が構築されているように思えず、赤木の返答も打算から来ているのか本心なのか今のままでは見えません。

三つ目に、赤木は何をしたいのか、という点です。これが物語の軸になるはずですが、タイトル等に「恋の道」「メイドでも、恋をしていいですか?」とは出てくるだけで、最初に歌手になるという夢があったと言い、かぐやと衝突してメイドをやめて(赤木の意思で辞められるのなら一族の強制力はないのか?)、今度は霧崎家で本意ではなかったはずのメイドとして働くことを選びます。赤木が恋をしたいと思っているようには今のエピソードからは読み取れず、作者が赤木をどう描こうとしたのか読み取れませんでした。

この作品を書き直す場合、上記で挙げた点は改めて検討頂きたいです。そして、まず何を書きたいのか、ということを明確にした上で、読者にそれが伝わるように説明と描写を重ねてみてください。今のままでは①メイドを辞めて神楽家を飛び出す→②麗莵に拾われてメイドになる→③かぐやの浮気の糾弾→④麗莵からの告白、と怒涛の展開が続きますが、それぞれ脈絡がなく、読者には唐突に思えます。
また、メイドや財閥という設定にする以上、「貴様」という赤木の乱暴な物言い、キャラクター同士の関係性や距離感による敬語やタメ口など、作中の設定に裏打ちされたキャラクター像を描いてもらいたいです。

今回は企画に参加頂き、ありがとうございました。
この批評も私たちの意見や主観が入ったものになりますので、全てを受け入れる必要はなく、それを望んでいるわけでもありません。どうかご自身のよりよいと思う作品を、これからも作り続けて頂ければ幸いです。

このような機会を頂きありがとうございました。
今後の活躍をお祈りいたします。

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