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私たちは情報を食べている。愛という名の情報を。

「ヤツらはラーメンを食ってるんじゃない。情報を食ってるんだ」

ご存じのかたも多いかと思いますが、これは「ラーメン発見伝」という約20年前に発表されたマンガに登場するセリフです。
これは、情報に踊らされて好みに合わない店を酷評するラーメンマニアを侮蔑した言葉なのですが、最近またある2つのニュースのせいで匿名掲示板などに引用されているのを目にしました。

ひとつめのニュースはとある組織が行った調査です。人間は、美味しそうな説明がついた食べ物を、本当に美味しく感じてしまう、という傾向が統計的に確認されたそうです。

ふたつめのニュースは、とある国にてワイン・コンテストの現状に憤る人が、ソムリエに酷評された安いワインのラベルを張り替えてをコンテストに出したところ、なんと金賞を取ってしまったとか。

※どちらも詳細についてはググってね!

そのニュースに対するレスとして、冒頭のセリフが引用されていました。そう。このニュースにて語られた人たちは、確かに「情報を食べた」のです。

かつて。

尻鳥は15年前に、ワイン好きの飲み仲間とともに、非常に高価な高級ワインを飲み漁りました。「神の雫」というワインマニア漫画が話題になったときは、仲間うちでは「ずいぶんレベルが低いなあ」と評したものです。

そして。

昨日の金曜日。尻鳥が最愛の奥様と飲んだワイン、いくらだと思います?
それは「やまや」という酒チェーン店で買った「ヴィーニャ・ペーニャ」というスペインワイン。お値段なんと税抜き280円です。でね、これを半額ゴーダチーズとツマミに飲んだら美味いの何の。

もちろんこれは、好きな人と一緒に楽しんだ、という要素が大きい美味さだと判っています。つまり私たちは「情報を食べた」のです。

それは、当たり前のことです。

いつだって、私たちは情報を食べている。愛という名の情報を。
たとえ天上の美味であっても、嫌な人と一緒に食べて美味く感じることがあるでしょうか?

おっと、勘違いしないでね。尻鳥は決して「愛する人と一緒に食べるべき」だなんて思っていませんよ。冒頭のセリフを言ったキャラは独善的で毒舌で誰も愛してないけれど、ラーメンに対する愛は確かに持っているのです。

※そんな尖ったキャラを生み出した作家さんを尊敬しています。

ラーメンだって、ワインだって、マンガだってゲームだって、薄い本だって異世界モノだって、情報を食って何が悪い、と尻鳥は思うのです。そこに「本物の愛」があるのなら。それは「本物の美味しさ」に違いないと思うのです。

でも。付け加えておきましょう。
自戒をこめて。

愛があるなら、愛するモノを否定しちゃいけないよね。
否定したら、美味しくなくなっちゃうよ。

1件のコメント

  • コメントありがとうございます。
    確かに「信頼するかどうかが問題」なのだと思います。
    どれだけ誠実でいようと行動しても結果的にウソをついてしまったことなんて、現実においてはいくらでもありますし。
    結局は「この人なら騙されてもいい」とまで思えることが「信頼」なのだと思います。
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