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「はじめまして 付けたり 人狗草紙ってなに?」のこと

 はじめまして。
 使ったことのないノートでしたが、せっかくなので挨拶の代わりに自作(『人狗草紙』)の設定に関わることを少し書いてみます。

<タイトルについて>
 まず『人狗草紙』という地味なタイトルですが、元ネタは鎌倉期に作られた絵巻物の『天狗草紙』です。ほとんどそのままですね。気に入ってしまって、他に思いつきませんでした。

<人狗について>
 それから主人公の「人狗」ですが、この名前自体は院政期に成立したとされる説話集の『今昔物語集』に出てきます。異世界ファンタジーではなく伝奇として書いていた旧『人狗草紙』の「歌仙周章」では、冒頭にその記事を引用しています。
 『今昔』に出てくるのは一度きり。天狗の弟子だとは分かりますが、具体的にどんな人達なのかといった描写はありません。というわけで、名前を借りて、あとはオリジナルです。

<天狗について>
 「人狗」が何なのか分からないのであれば、その師匠である「天狗」の勉強をすればいいじゃないか。ということで、私にとって勉強といえば日本中世史だったのですが、ビビりながら民俗学にも学んでみた結果(どちらもまだ勉強中ですが)、出来上がったのが「人狗」の設定でした。
 軍記物語の『太平記』を読んでいたので、「天狗」というと世を乱す化け物、怨霊のイメージだったのですが、色んな要素のある魅力的な存在だと分かり、特に印象に残った幾つかの要素を大きく反映して、作品世界における「天狗」と「人狗」の設定を作っています。
 一番大きいのは「神隠し」との関係です。これが、人間から「あの世」と「この世」の中間に生きる「人狗」になる理由と条件になっています。そして、そういう存在だから、桃太郎のように異界に行けるわけです。


 それから、そもそも小説を書いてみたいと思ったのは、アンドレイ・サプコフスキ氏の『ウィッチャー』を読んで衝撃(特にウィッチャーという存在の設定に)を受けたからでした。一見日本とも歴史とも無関係そうに見えますが、自分の勉強しているテーマに引っかかる要素もあって、グサッと刺さる設定でした。もちろん作品の雰囲気も、ゲラルト達も大好きです。
 粗々、そういう事情で書き始めたのが『人狗草紙』です。

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