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幕間の部 あとがき

 これにてファントム・クロウの外伝を閉幕とさせていただきます。最後までおつきあいいただいた読者様、まことにありがとうございます。
 今回の外伝はこれから出番がますます少なくなっていくであろうディアゴスティーノのために作り上げた一本です。彼にも一定のファンがいるにもかかわらず、4部にいたってはまったく登場しませんでした。なので、前々からやりたかった、ファントム・クロウのシリーズの要素、ノワール感をより濃くした一編を書いたのですが、案の定長くなってしまいました。設定やプロットも途中で大きく変化しており、その中で当初は予定していたのに、結局登場しなかったキャラクターも多くいます。
 本作は古今東西のギャングものマフィアもの、そしてヤクザものを足して三で割ったような作品なので、これまた古今東西の数多くの作品に慣れ親しんでいるカクヨムの読者からすると、どこか見覚えのあるような感じがあるかもしれませんが、まったくもってその通りです。

人物紹介
ディアゴスティーノ・クライスラー
 彼自体にも紆余曲折がありました。『おもひでぽろぽろ』みたいに幼少期の自分の幻影を見るとか、無茶なタイマン張らされてぼこぼこにされるとか、さらには結婚して子供というコースも考えてたのですが、最終的には彼らしく孤独にしてみました(ひどい)。
 人物像としては、1部の時にも言及したのですが、メキシコの麻薬カルテルのボスのように、「聖人のように敬われ、悪魔のように殺す」男です。キャラクター像も以前書いたように、『3/4×10月』の頃の北野武がモデルになっています。今回は様々な視点で語らせることで、より立体的に描いてみようと試みました。その試みがどこまで成功したか分かりませんが。
 また、彼は主人公のクロウとは様々な点で対を成すキャラクターになっています。母メルセデスの指摘するように、独りになりたくないのに独りになってしまうところとかですね。
 ディアゴスティーノはよく動くので書いていて楽しいキャラクターなのですが、著者としては物語をより大きな方向に動かしたいので、地元のやくざの彼には登場の機会はますます減っていくと思います。この外伝で許して欲しいです。

ロメオ
 紆余曲折の激しかったキャラクターの最たるものです。彼は普通に裏切り、そしてディエゴに粛清される予定だったのですが、書いているうちに「そんな展開皆予想してるよな……。」と思い、今回の形で収まりました。初期設定ではディエゴへの嫉妬からたびたび裏切るというクズでありながら、そのくせ自分はディエゴを一番理解しているみたいな大物風をふかせるという、あまり救いようのないキャラクターだったのですが、ディエゴとの友情にフォーカスするようストーリーを構築しました。「自分だけが真実を知っている」と物語の序盤で彼が語るのはその名残だったりします。
 人物的なモデルとしては銀河英雄伝説のキルヒアイスが少し入っています。
 外見上のモデルは若い頃のマット・ディロンです。

サリーン
 かなり初期のプロットでは抗争に巻き込まれて子供と一緒にディアゴスティーノの目の前で殺害されるというものもあったのですが、ディアゴスティーノとの愛のある生活をあきらめ男を見限るという、もっともつらい行動を彼女にはとってもらいました。

ワーゲン
 三番目の男というコンセプトで出しました。ディエゴとは違う方向性のギャングです。彼も裏切らせようかどうしようか迷いましたが、まっすぐなキャラクターとして退場してもらいました。
 外見上のモデルはジェイソン・モモアです。

ランド
 実は喧嘩の強いランド。物語を収めるサイドキッカー的な役割で登場してもらいました。
 人物的なモデルは小者ぶってるけど時折かっこいい、新日本プロレスのエル・デスペラードです。

ヴィトー・マセラティ
 人物上のモデル、外見上のモデルは恥ずかしいほどにゴッド・ファーザーのマーロン・ブランドの演じたドン・コルリオーネです。

マクラーレン
 伊達者のヤクザを出したいというコンセプトで登場させました。
 外見上のモデルは格ゲーのKOFシリーズのハイデルンです。

ロールズ
 彼をはじめとする四老頭は、私利私欲のために異種族と手を組み、同族の土地を売り払ったり人身売買をしていたので、全員ディアゴスティーノに粛清されてしまうというプロットだったのですが、これも紆余曲折を経て彼だけが粛清されることになりました。
 人物描写・外見上のモデルは俳優のマーク・ライランスというか、彼が演じるキャラクターといった感じです。

ラリアート
 彼の役割は当初ヒムにやらせる予定だったのですが、ストーリーのまとまり上、彼にすべてを任せました。残忍に殺しながらも、激しく後悔し、その後悔によって自分が許されていると思っている独善が過ぎるモンスターです。
 外見上のモデルはアダム・ドライバーです。

ヒムとフェレロ
 一部でクロウをあんな目に合わせたふたり、じつは今回の外伝でけじめつけてもらおうとプロットを切っていたのですが、蛇足になりそうだったのでカットしました。特にヒムの方はディエゴとの抗争とかプロット段階では書いてたんですけど、物語にまとまりがなくなるし、仮にまとめるにしてもその分長くなるという問題がありました。読者が退屈したら元も子もありませんもんね。

ジャモニー
 ディアゴスティーノが収監されていた刑務所は、実在のフィリピンの刑務所を参考に描かれています。そしてジャモニーの外見上のモデルは、その参考にしたルポルタージュに出てきた殺し屋のおじいさんです。

ディアゴスティーノの父親
 人物上のモデルは『カラマーゾフの兄弟』のヒョードル・カラマーゾフと、ゲッツ板谷の『板谷バカ三大』のケンちゃんです。はちゃめちゃで、もういるだけで大迷惑という男です。

 さて、構想ではまだまだファントム・クロウは続くのですが、いったんこのシリーズは休止とさせていただきます。体力と人生に余裕ができたならばまた再開しますので、その時はどうぞよろしくお願いします。
 まぁ、毎回やめるやめる詐欺やってるんですけどね……。

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