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読書メモ㊽

芸術の秋 スポーツの秋 行楽の秋 文化的なイベントがたけなわな季節となりました。
我が家の息子の中学校でも時間を短縮したり保護者の入場制限があったりでしたが無事に学校祭が開催されました。
息子は支援学級の演劇に出演、はじめての本格的なお芝居で上手にできるかと心配でしたが、脇をかけもちで三役、しっかりこなせてほっとしました。

この舞台、けっこう本格的でとても楽しめました。
ジェンダー平等を取り入れた配役やラストは斬新だったし、流行のネタを取り入れた演出はおもしろかったし、楽しんでもらいたいっていう熱意がものすごくて。
いちばん感動したのは、開幕時にはかったるそうだった観客生徒たちからの拍手が、フィナーレでは大きな大きな拍手喝采に変わっていたことです。もうお母さんは目がうるうる(涙もろい)
あまり感じたことを言わない息子も「最高だった」と満足そうでした。


さて、読書メモです。


『憐れみをなす者』創元推理文庫 ピーター トレメイン∥著 田村 美佐子∥訳
(東京創元社)2021/02

ヒロインがシスターなお話を思いつきまして、で、参考にと思って手に取ってみた初フィデルマシリーズ。
実は私、舞台が7世紀のアイルランドとか思ってなくて、読み始めてからなんじゃこりゃあぁぁってなりました。ツボな設定すぎて。
ヒロインがもうすごい。シスターにして弁護士、学士として最高位の次の位までもってるハイスペックヒロイン、しかも王女。しかも美人。盛りすぎでしょっていう。
「国王の妹だということは黙っていてください」と口止めしたところでへろっとバラされてしまうというお約束は万国共通なのですね。
一方で背景は綿密に再構築された古代世界、とまさにキャラ文芸。
世界中にファンがいるだけあります、面白かったです。

この巻ではミステリーとしてはよくあるサスペンス系な結末だったのですけど(まークズがクズすぎて逆にびっくりでしたわ)ミスリードもたっぷりでドキドキでしたし、海の男たちがステキ。
なにより謎要素がなくてもお話を楽しめちゃう世界観なことが何よりの魅力だと思いました。


『やさしくひも解くハワイ神話』森出 じゅん∥著(フィルムアート社)2020/02

多神教の神々ってそうですね、生々しい。それにしたってハワイの神さまたちは愛憎豊かでちょっと引いちゃう……面白いですけど。

ハワイの島々を生み出した空の神ワケアと大地の神パパ。パパが里帰りしている隙にワケアは浮気し放題。怒ったパパは不倫返し。そんなこんなでハワイ諸島の島々は異母異父きょうだいたちなんだとさ。って、なんじゃそりゃ……
更にパパこと女神ハウメアは実の娘に手を出したワケアに復讐するため、若返りを繰り返してワケアの子孫たちと婚姻を繰り返す。って、どんな昼ドラ。

火山の女神ペレの嫉妬女王な伝説の数々もすさまじいし、フウロウ神に助けられて蘇るたびに嫉妬に狂った婚約者に打ち殺され続けるという恐怖のループな虹のプリンセスのお話なんかもはやホラー。

あ、でも、ほっこりするお話もあります。
やっかみで殺された少年ノウの亡骸におおいかぶさって岩になったメネフネのお話は泣けました。

結論。やっぱり神話はドロドロでおもしろい。


『天山の巫女ソニン3 朱烏の星』菅野 雪虫∥作(講談社)2008/02
『天山の巫女ソニン4 夢の白』菅野 雪虫∥作(講談社)2008/11

ヒロインが三国をめぐることで各国の後継者候補(?)が出そろい、役者は揃ったとばかりの怒涛の展開。
外交を優位に進めるための演出、人心の操り方、とはいえ、最後にものをいうのは人と人との信頼関係であるということ。
人の心持ちなんかも現代社会に重なるところがたくさんです。

〈賢いおまえのことだから、すぐに学べるはずだ。抑えるべきものと、抑えなくてもいいものを。心は常に生き物のように変化する。わたしたちはそれに振り回され、身を滅ぼしそうになることもあるが、必ず飼いならすことができる。〉(p221)

こういった言葉の数々がこれを読む子どもたちの心に残るといいなって思います。

ヒロインの常で重要人物たちにモテモテ、ひくてあまたになってゆくのだけど児童文学らしくラブはないのね、と油断していただけに、4巻ではほのめかしがきただけでぎゃあってなりました……。「もう、これ以上わかりやすくは言いませんよ」って、それラノベの鈍感ヒロインに言うやつ……。ええええーーーどうなるんだろう!? いや、どうにもならんだろうけどちょっとコーフンしました……
続きが気になります。

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