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ポチ太郎と見る、特撮特異的[第三回 月満ちる夜に金色になりそう]

 ご無沙汰してます、ポチ太郎です。第三回書きます。前の二回までは、昭和の特撮を紹介しましたが、今回は一気に飛んで、平成の『牙狼』シリーズを話していこうかなと思います。

 『牙狼』は2005年に、深夜枠でスタートした特撮です。原作、監督、キャラデザインを『雨宮慶太』大先生が担当したことで有名です。雨宮慶太氏は、今までの特撮では見られなかった、怪奇と幻想が同居したようなキャラデザインや、硬派かつ、独得な世界観の物語を創ることで、特撮ファンから一目置かれていました。

 そんな雨宮氏に、オムニバス・ジャパンの高いCG技術を活かせる作品を作ろうと持ちかけたのが、牙狼誕生のきっかけとなりました。当初は子供向けの特撮として企画されていたそうですが、なんやかんやで大人向けの作風になったのだとか。主題歌がストレートに熱いヒーローソングなのは、その名残なのかも知れません。

 通常の特撮ドラマよりも多くの予算を得ることができた本作は、お金をふんだんに使ったど迫力のVFXや、映画ばりに身体を張ったアクション。暗くも王道に沿った熱い展開のストーリーなどを毎話見せてくれました。その出来栄えは、大人向けの謳い文句に恥じず、目の肥えた視聴者達を魅了していきました。深夜放送ということもあって多くの特撮ファンの目に留まることはありませんでしたが、一部のファン達の間で、ちょっとしたブームが巻き起こり、好評のうちに第一作は、二十五回の放送を走り切りました。

 この作品の凄いところ。それは、日本の三大特撮(仮面ライダー、スーパー戦隊、ウルトラマン)に匹敵する根強い人気を持つ点と言えます。なんてったって、作品数が異様に多いんですよ。僕の思いつく限りでは、だいたい十五個ぐらいのタイトルがあります(多分もっとある気がする)。ここまでシリーズが続くのは、特撮では異例中の異例と言えます。

 この快挙は、パチンコとのタイアップがなかったら成り立たなかった代物だと、一般的には言われています。パチンコはあんまり詳しくないのですが、今でも牙狼の新台が稼動しているようですね。ワンチャン本編より、パチンコのほうがシリーズ数多いんじゃないかなぁって感じです。

 そんな牙狼のパチンコに触れて、牙狼に興味を持った目。それを、パチンコの売上によって獲たお金で創った作品で楽しませて、さらに視聴者を増やしていく。これを繰り返して、牙狼は一つのビッグタイトルへと成長したと僕は考えます。ドラマは勿論、パチンコにおいてもシリーズが多いのは、その人気を端的に表しているように感じられます。

 そんな感じで、特撮界に黄金の伝説を刻んだ本作。ほぼ玩具展開を行わなかったり、子供を対象に入れていない故に、三大特撮を超えることは出来なかったものの、作品にかけたスタッフやキャストの情熱は、今も尚特撮ファンの心を掴んで離しません。でも、おもちゃとかを売らなくてもここまで人気が出るっていうのは中々凄いんですよ。商品展開をしても、シリーズが続かない作品なんて沢山ありますからね。(これに関しては、パチンコが商品展開の代わりみたいなところもありますけれどね)。

 そういう意味では、最後に作品の人気を左右するのは、その作品の質だということなのでしょうね。当たり前だけど。今やっている特撮ドラマは、おもちゃの販促番組としての側面を持っています。それ故に、おもちゃを売ることに必死になりすぎて、ドラマとしての質がおざなりになってしまう場合も見受けられてしまいます(おもちゃを売る企業の意見も取り入れて、作品を作らなくてはならないので、物語に無理が生じてしまっても仕方がないのだけれど)。しかし、あくまでドラマである以上、上述した精神を忘れてはいけないような、そんな気がします。
 
 

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