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『氷結の魔術師』・完結!

 昨日、長編ファンタジー「氷結の魔術師」を全話公開しました。あとがきが残っているので状態は連載中のままですが、物語自体は完結しています。
 連載を始めたのが今年の1月のことで、丸々1年連載していたことになります。これだけ長く連載したのは初めてのことで、推敲しながらの更新だったので大変でしたが、何せ長いので読まれる方はもっと大変だったと思います。結末を見届けてくださった方、最後までお付き合いくださり本当にありがとうございます。
 全体の振り返りは明後日公開するあとがきに記載するので、ここでは本作のキャッチコピーに触れたいと思います。少し重い話になりますが、ご覧いただければ幸いです。


『弱さを知る。それが強さ』


 逆説的なこのキャッチコピーは執筆当初から設定していたテーマではありません。これは、自分自身の経験を作品に落とし込んだものです。

 本作の第六章を執筆していた2年前、私は精神的に不安定な時期でした。その春から仕事が変わったのですが、新しい仕事をする中で不安やプレッシャーに襲われ、かなり精神的に病んでいました。一時的に気持ちが回復してもいつまた気分が落ちるかわからず、びくびくしながら毎日を過ごしていました。それまではどちらかというと自分に自信があるタイプだったのですが、当時は些細なことで落ち込んだり傷ついたりして、自分がこんなにも弱い人間であることを知ってショックを受けていました。

 そんな生活を続けて数か月経ちましたが、ある時、職場の人に話を聞いてもらう中でふと、「自分はいつまでこんな風に怯えて過ごすのだろうか」と思うようになりました。当時の私は、いつまた抑うつに陥るのではないかと常に不安を抱えていたのですが、そんな風に追い込まれているのは、自分が自分を弱い人間だと決めているせいではないかと気づいたのです。

 確かに自分は弱い人間だけれど、いつまでも弱い人間のままでいたいわけではない。弱い自分がいたとしても、その奥に強い自分もいると信じられれば、不安を感じることがあっても乗り越えられるのではないか。そう考えると、それまで病んでいたのが嘘のように気持ちが軽くなり、活力が戻ってきました。その時の経験が、同じように弱さを抱えて生きる主人公シリカの姿と重なり、これを本作のテーマにできるのではないかと考えました。

 一見強く見える人でも、誰もが弱さを抱えている。だけど、そうした自分の弱さを受け入れることで、弱い自分であっても変わることができる。それが本作のテーマであり、キャッチコピーに込めた想いでした。このテーマがどれほど伝わったかはわかりませんが、少しでも感じるものがあれば幸いです。

 いずれにしても、本作を完結という形で読者の皆様にお届けできたことは作者としても万感の思いです。未読の方や読みかけの方も、少しでも興味があれば試読、再読されてみてはいかがでしょうか。作者が一番手を入れて書いた作品であり、読了した時には得るものがあるかもしれません。

 改めまして、本作をお読みくださりありがとうございました。正式なあとがきは明後日、本編の方で公開します。
 また、近況ノートでも明日サプライズを用意しているので、そちらもご覧いただけると幸いです!

2件のコメント

  • 氷結の魔術師完結お疲れ様でした&おめでとうございます。

    人は日々周囲を取り巻く環境に晒されては、時にあっさりと壊れてしまうものです。
    故に一つのことを達成する為に継続すると言葉にすれば容易くとも、行動に移すには覚悟と、なにかを失う覚悟さえ求められるのだと思います。
    そんな中、一年間投稿を継続し完結させた瑞樹さんの努力と、自らの才能や強大な敵に立ち向かおうとするシリカの決意にはなにか通ずるものを感じさせられました。

    改めましてお疲れ様でした。この話が終わってしまうのは寂しいですが、きっとシリカたちの思いはずっと残り続けることでしょう。
  • 黒一さん、コメントありがとうございます!

    物語が完結した状態で公開を始めたとはいえ、1年間投稿を継続することは予想以上に大変でした。最新話を公開しても思うような反応が得られないと、「誰にも求められていないのでは?」という気持ちがどうしても出てきて、投稿が億劫になる場面も正直ありました。
    それでも公開した以上は完結させなせればいけないと思って投稿を続け、ようやく結末をお届けすることができました。最新話まで追いかけてくださった読者の皆さま、黒一んさん含め、好意的なコメントをお寄せくださった皆さまに支えられてこそ投稿を続けることができました。長い物語にお付き合いくださいまして本当にありがとうございました。

    丸々1年付き合ってきた分、私も終わってしまうのがとても寂しいです。
    ですが、読者の方に惜しまれる作品を生み出せたことで、自分が書き手として進歩した実感もあります。
    今後も読者の皆さまに楽しんでいただけるようなの作品をお届けできるよう、さらに精進して執筆を続けていきたい所存です。

    ひとまず明日、正式なあとがきを公開するので、よければそちらもご覧になってみてください!
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