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ジャンル再編成に伴う「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」のカテゴリの話&レビュ返祭り

 12/1よりカクヨムのジャンルが編成されます。

 それ自体は以前の近況ノートでも触れていて「男性向けと女性向けで分けられたらカノホモの行き場がないぞ」的な話をしたのですが、そのどうしようもないことになりました。なので改めてカノホモをどのジャンルに置くか考えてみたいと思います。

 候補は三つです。ラブコメ、恋愛、現代ドラマ。それぞれのジャンル定義を見てみましょう。

 <ラブコメ>
 主として男性が主人公の恋愛を中心テーマとして描かれた作品が対象です。

 <恋愛>
 主として女性が主人公、または同性間の恋愛を中心テーマとして描かれた作品が対象です。

 <現代ドラマ>
 男同士・女同士の友情やお仕事ものなど、現代社会が舞台の小説作品のジャンルです。

 うーん、何度見ても納得がいかない。

 もうこの際、同性愛者云々はいいです。最大の問題は「男主人公の恋愛」を「ラブコメ」カテゴリに押し込める暴挙。以前の近況ノートでも書きましたが「世界の中心で愛を叫ぶ」「いま、会いにゆきます」「陽だまりの彼女」辺りは男主人公の恋愛小説ですが「ラブコメ」じゃないですよね。この辺の小説を探しに「ラブコメ」カテゴリは漁らないですよね。でも端から考慮に入れていない。何というか、「俺たちはこういう作品が欲しい」というレーベルの声がありありと聞こえます。

 そしてさりげなく謎な「現代ドラマ」。すいません、ここに「男同士」「女同士」の表記いります?KADOKAWAは異性間の友情は不成立派ですか?というか青春小説とか多分このカテゴリに来るんでしょうけど、普通に異性間の友情ありますよね?これもカクヨムの求める青春小説は「俺ガイル」のようなラブコメタイプか「GJ部」のような異性の存在を排除したタイプであり、「夜のピクニック」や「くちびるに歌を」のような非ラブコメ型男女混合青春小説は求めていないというレーベル都合が見えて嫌な感じです。

 運営を敵に回していいことは一つもないので話を元に戻しましょう(手遅れ)。

 カノホモのジャンルですが、どの要素を重視するかによって変化すると思われます。「男子高校生と女子高生の交流」に注目すれば「ラブコメ」。「主人公が同性愛者」に注目すれば「恋愛」。「同性愛者の苦悩」という点に注目すれば「現代ドラマ」。こんな感じかなと。

 ジャンルとして一番遠いのは「恋愛」な気がします。まずBL作品として恋愛カテゴリに行くのはアウトでしょう。BL要素が薄すぎてBL作品を読みに来た腐女子は激おこぷんぷん丸です(たぶん)。じゃあBL作品じゃない男主人公の恋愛小説として見たらどうかというと……カノホモ、胸キュンはあまりないですよね。いや、読んだ人に聞いたわけじゃないので分かりませんが。

 じゃあ「ラブコメ」「現代ドラマ」のどちらが適切かというと、登場人物の重要度を考えて三浦さんをその他登場人物より一段階上に置くなら「ラブコメ」、三浦さんとその他登場人物を同じ場所に置くなら「現代ドラマ」と言ったところでしょうか。タイトルからして「彼女が~」なので、ラブコメの方が適切と言えそうです。

 ですがラブコメに置くと一つ弊害があります。

 そもそも今回の「ラブコメ」「恋愛」の分離は露骨にターゲットを「男性向け」「女性向け」と分類したものとなっています。しかし「ラブコメ」のターゲットは男性ですが、カノホモは別に男性だけをターゲットにした作品ではありません。カクヨム内のランキングには影響がないので傍目には分かりませんが、実はTwitterでは腐女子の方が「感動したからこれ読んで」と仲間内で回し読みしてくれていたりもします。しかしジャンルを性差で分けてしまい、カノホモが「ラブコメ」を漁らないと見つからなくなった際、そういう方に届くのかと不安が残るわけです。

 まあ、とりあえずは「ラブコメ」に置いておく方針です。「ラブコメなのにBL要素あるとか」という類のクレームには「タイトル読め」と返させて頂きます。ですが他作品の動向によって浮いてきたら「現代ドラマ」や「恋愛」に移動することもあり得ます。すっきりしないカテゴリわけをするカクヨムが悪いということでご容赦下さい。すっきりしない作品を書くお前が悪い?一理ある。

 ところでファンタジーが異世界ファンタジーと現代ファンタジーになりましたが、過去や未来の現実を舞台にしたファンタジーってどうするんでしょう。未来はまだSFという逃げ道があるけれど問題は過去。例えば禁酒法時代の現実世界を舞台にした「バッカーノ!」とかこのジャンル分類で言うとどこ行くんですかね。歴史?

--------(「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」のレビュ返)--------

 小鳥遊 ちどり 様
 後からレビュー頂いたようでありがとうございます。自分の力ではどうしようもないものと向き合い、受け止め、前を向いて歩く。そこに伴う悲壮感がきっと切なさの原因だと思います。その辛さから目を逸らすことなく、しかしどん底までは落とさず書けたことにホッとしました。

 前田 尚 様
 以前どこかにも書いた気もしますが「普通」にはミクロな視点とマクロな視点があって、ミクロな視点だと「集団から外れた異端な存在」は「異常」なんですが、マクロな視点だと「全て存在が一つの集団に属する状態」こそが「異常」なんですね。拙作がミクロな「普通」を見ていた人にマクロな「普通」を考えて貰うきっかけになればと願います。

 兵頭 様
 僕にもそういう、何度も読み返している本があります。単行本で買って心を奪われて、取り回しのいい文庫本が出たら買って、もっと気安く読み返したいから電子書籍も買いました。拙作が兵頭様にとってそのような作品になれたのであれば光栄です。

 @Kristen 様
 腐女子でも腐男子でもゲイでもレズでもない。そういう方にきちんと「届く」作品にしたいと思っていました。そして実際、「届く」作品となっていたことを喜ばしく思います。

 文四郎 様
 性の多様性の話は本当に複雑で、最近日本ではLGBTという言葉が盛んに使われていますが、海外ではLGBTに加え「Q」があるそうです(「Questioning」あるいは「Queer」。LGBTの枠組みにも収まらない人たちのこと)。そして英語版のFacebookはプロフィールで50以上の性別が選択可能になっています(日本は「男」「女」の二択)。
 というわけで日本はまだ理解にはほど遠い状況であり、僕もはっきり言って理解しきれていないのですが、それでも拙作が文四郎様の理解の一端となったのであれば掛け値なしに嬉しいです。

 日野侑 様
 作品への賛辞から作者への有難いお言葉、果ては作者も意図していなかった運命的な事実の発掘まで、ありがとうございます。ミスター・ファーレンハイトの余談は自分の中でもストンと来ました。
 個人個人が持つリアリティを越え、多くの人間の心に訴えかけるアクチュアリティを持った作品であると評して頂けたことを誇りに思います。


--------(「小笠原先輩は余命半年」のレビュ返)--------

 オリオン 様
 前回の近況ノートで言及しましたが、本作の主要登場人物は現実の人間をモデルにしました。なのに「個性豊かな面々」になったのは……類は友を呼んだんでしょうねえ、きっと(遠い目)

 腹筋崩壊参謀 様
 やりたい放題。確かにそうですね。僕は僕自身の「思うさま生きて死にたい」という願望を小笠原先輩に込めたのかもしれません。なお僕の認識では小笠原先輩は人の十倍やりたいことをしますが百倍やりたいことがある人間なので、多分悔いは残っています。

 湊風紳 響起 様
 「キャラクターが最高」との言葉、ありがとうございます。モデルになった人たちに伝えておきます(待て)。

 @Kristen 様
 「先輩かわいい」との言葉、ありがとうございます。「最近エッチなことが気になって気になってしょうがない十六歳の女子高生が言っていた」という設定でモデルになった人に伝えておきます(止めろ)。

6件のコメント

  •  お邪魔致します、前田尚です。

     今回の近況ノートの内容について、大変興味深く拝読させていただきました。その上で、カノホモの一ファンとして意見を述べさせてください。
     自分は、この乱暴なカテゴリ分けに仕方なく則るとすれば、カノホモは「現代ドラマ」に入れて欲しいと思います。
     
     理由は二つです。

     一つは、やはりこの作品はどちらかの性別一方に向けたものとして欲しくないからです。
     浅原様も「別に男性だけをターゲットにした作品ではありません」と述べておられますが、読んだ側の人々からもそう思えていると思います。あれは男性向けというものではない。正しく言うなら、男性向けと言うだけのものではない、と。
     そうして自分は、上手く言葉に出来ないのですが、カノホモはどういった垣根も作らないまま読んでもらいたい作品だと思っています。性別も、言ってしまえば年齢も。取り扱い内容から「万人向け」と銘打つのは難しいかもしれませんが、「万人に読んでもらいたい」とは思います。だから、どちらか一方に当てはめてしまうのが何だかな、といじいじしてしまうのです。
     これに関しては本当は運営に色々と心の底から言いたいところなのですが……現状どうしようもない以上、消去法で「現代ドラマ」を、自分なら、選びます。

     二つ目は、読み手側としての印象です。
     これは自分の感覚なので他の方はまた別な風に思われているかもしれませんが、例えば「ラブコメ」でカノホモに辿り着き、読み終えた時には「ラブコメか?」と思う気がします。「恋愛」でそうした時にはそこまで引っかかりを覚えないように思えますが、しかしそちらは運営のジャンル定義からは外れている気が。
     カノホモは個人的に「同性愛者の苦悩」と共に「『人』とその関係性」に重きが置かれた作品だと感じたので、「現代ドラマ」で辿り着いた時にはそこまで違和感はないと思います。ジャンル定義はもう、あれです、前半を無視しましょう。であれば、現代社会(の現状による同性愛者の苦悩)を描いた作品であることは間違いないかと思います。

     ここまで長々と書かせていただきましたが、もちろん、すべての決定権は作者である浅原様にあります。自分の意見は「一読者としてこういう風に思っています」ということをお伝えさせていただきたかっただけで、「ラブコメ分け反対!」という訳ではございません。
     ですのでさらっと読み流していただいて構いませんが、まぁ「十把一絡げなカクヨムがわるい」という同意見者が居ることはお伝えしたいかな、と思います。

     乱文を失礼いたしました。

    【追記】
     レビュー返信ありがとうございます。
     同性愛に関する対立だけでなく、宗教、人種、すべての対立問題に言えることですね。その対立に『直面』はしていない人々が「当事者で片付けてくれ」というのが恐ろしいと自分は思います。同性愛者が、××教信者が、特定の人種が、声を上げている者だけが当事者じゃない。
  •  コメントおよびご意見ありがとうございます。うーん、色々考えたのですが、今のところはやはり「ラブコメ」を本筋で考えています。理由は、大きく分けて三つ。

     まずカノホモが「ラブコメ」のガワを被っていること。

     カノホモを「現代ドラマ」だと思うのは読了後だからであって、外見はやっぱり「ラブコメ」です。しかし「現代ドラマ」を覗く人間は当然、現代ドラマを作品に求めています。そこに見た目「ラブコメ」な作品があって、読みますかね?そもそも恋愛もラブコメも現代ドラマの一種にも関わらずわざわざ分けているのは「恋愛が中心の話は読む気がしない」という層が一定数以上いるからでしょうし。

     そして次に「現代ドラマ」カテゴリへの不信感。

     別に統計を取ったわけではありませんが個人的に「現代ドラマ」カテゴリはあまり盛り上がっていない印象を受けます。僕としては「現代ドラマってつまりなんだよ」と思うこともあり、人の目を惹かない訴求力の低いワードだと認識しています。なので母数差が出て、結局「ラブコメ」の方が広い人間に届くということすらあるんじゃないかと思うわけです。対象層云々以前に人がいないと根本的にどうしようもありませんから。(ただし「恋愛」と「ラブコメ」に分割されることにより「ラブコメ」の母数がガッツリ減る可能性もあり、そうなった場合は再検討となります。カクヨム、地味にラブコメ少ないので)

     最後に僕のちょっとした悪戯心。

     そもそもここで「現代ドラマ」を選ぶなら投稿時から「現代ドラマ」でいいんですよね。でも今は「恋愛・ラブコメ」にいます。これは「軽く読める恋愛orラブコメだと思っていたのに騙された!(でも良かった!)」という開けてビックリ的な反応を期待しているからです。最初の敷居は低く、読み始めてから深い方向に持って行きたいのです(そうじゃなきゃこんなふざけたタイトルにしません)。「現代ドラマ」だと最初から重そうなんで、どうも抵抗があります。また「現代ドラマ」にしろ「ラブコメ」にしろ「恋愛」にしろ、もし「カテゴリに違和感がある」というただ一点で読了後も否定されるようなことがあるならば、それはカテゴリ選択のミスではなく僕の筆力が足りていないという話に尽きると考えています。

     まあ、ぶっちゃけ、既存のカテゴリに収まらないことを逆利用して、読んで貰えそうなところに行くぐらいの認識でいいんじゃないかと思っています。個人的なキーポイントは、女性が「ラブコメ」を覗くパターンと男性が「恋愛」を覗くパターンのどちらが多いかなんですよね。前者の方が多そうな気がしていますが。
  •  丁寧なご返答、ありがとうございます。
     
     とても納得いたしました。
     三つともの理由に読みながら成程と頷いてしまいました。 
     そして確かに、最後のぶっちゃけ話のように「読んでもらうこと」が一番ですね。自分はその点が思考から抜けておりました。まずは入りが広くある方が良いに決まっています。
     横からの口出し、申し訳ありませんでした。

     今後とも浅原様の紡がれるお話を楽しみにしております。
     失礼いたします。
  • はじめまして。
    この度は私の作品を読んでいただき、さらに評価を寄せていただきありがとうございました。完結済みとはしておりますが、まだエピソードを追加しようかと思っておりました。そのなかで評価いただけたことは大変励みになりました。ありがとうございます。
    浅原様の作品も読みに来たいと思っております。
    今後ともよろしくお願いいたします。
  •  関川 様

     はじめまして。僕はただ読んで★入れただけで、別に特別なことは何もしておりませんので、お気になさらずに。今後ともよろしくお願いいたします。
  •  小鳥遊 ちどり 様

     はじめまして。こちらこそ、レビュー頂きありがとうございました。とにかく重たすぎる話にならないよう文体を調整したので、そこをお褒め頂いたのは光栄です。

     実は僕も他人のレビューから読む作品に辿り着くことが多いです。ただおそらくそういう人ばかりではないので……まあもうこれは祈るしかないですね。状況見て臨機応変にやって行きます。
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