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「小笠原先輩は余命半年」の裏話&レビュ返

 この間、そういえば「小笠原先輩は余命半年」について触れたことが無かったなと気づいたので、今回は作品へのレビュ返がてら触れてみたいと思います(カノホモのレビュ返はまた後日)。といっても原稿用紙50枚分しかない作品で話の内容にちょっとでも触れたら致命的なネタバレになりかねないので、カノホモの時と同じように裏話を話します。

 この話、実は「わたし」以外の主要登場人物にはモデルがいます。

 性格というか、キャラクターを知り合いから拝借しました(余命半年は創作)。名前をもじっているので見る人が見れば一発で分かります。なので現状、知人に最も見せられない作品です。バレたら消すまであります。

 それでも僕がこの作品を投稿した目的は「サンプルとして読んでもらうため」だったりします

 そもそも僕が小説投稿サイトを利用しようと思った理由は、どこに出してもカテエラ&出版タブー犯しまくりなカノホモをどうにか生かしたいと思ったからです。しかしカノホモは長編なのできっと手を出しづらい。そこで僕の感性というか文章力というか、そういうものを察して貰うため「浅原ナオトのサンプル」として投稿したのが「小笠原先輩は余命半年」です。要するに「この人はこういうの書く人だよ」という指針を示そうと思ったわけです。

 結果としては、冷静に考えたら小笠原先輩とカノホモはそんなに共通点ないし、っていうかカノホモ前のサンプルとして用意したのにカノホモの方が伸びてるし、あまり意図した通りには役に立ちませんでした。現在連載中の「僕とぼくと星空の秘密基地」(ちなみに僕はこれを「僕ぼく」と呼んでいます)に至っては共通点ゼロなので、作者を知るためのサンプルとしてはほぼ機能していません。それでも何だかんだで★40まで行き、驚くほど愛される作品になったのは非常に嬉しいです。

 投稿前、僕は本作についてある不安を抱いていました。

 カノホモもそうですが、重たいテーマを軽く書き過ぎると個人個人が持つ「ここは軽く書いてはいけない」というボーダーラインを踏み越え、反発を受ける可能性が存在します。例えば「若くして余命宣告」というテーマに対し……

「(海外赴任中の親に電話をかけて)親父……俺、余命半年って言われちゃった……」
「ふーん。そうかー」
「軽っ!そんだけかよ!」
「そんなことよりお前、幼馴染の○○ちゃん覚えてるか?その子、今度からお前と一緒に住むから」
「はあ!?っていうかそんなことってなに!?息子が余命半年なんですけど!?」
「あー、分かった分かった。死んだら連絡しろよ」
「出来ねえよ!……くそっ、電話切りやがった。ん?誰か来た?この間頼んだエロゲの通販かな?」
(余命半年の主人公とツンデレ美少女のドキドキハートフル同居ストーリーのはじまり!)

 みたいな作品があったら、申し訳ありませんが僕はそっ閉じします。いや、興味本位で読むかもしれませんが、★を入れたりレビューしたりはしません(父親がサイコパスという設定がある場合を除く)。
 そういう風に僕も越えてはいけないラインを踏み越えてやしないだろうかという不安を、小笠原先輩やカノホモに持っていました。ですがどちらにも高い評価と暖かいレビューを頂き、最低限のバランスは取れていたんだなとホッとしました。もちろん小笠原先輩もカノホモも読み手が持つボーダーラインを越えてしまい、アカウント持ちでも読了後に★を入れられなかったケースは多々あると思いますが。

 というわけで、小笠原先輩もカノホモも評価して頂いた方には本当に感謝しております。いかんせん思慮分別に欠けた人間ですので、至らぬところは多々あると思いますが、今後ともよろしくお願いいたします。

---------(以下、レビュ返)---------------------------------------------

 草風水樹 様
 上記の通り小笠原先輩にはモデルがいるので、こんな奴いたなあという感想はかなり本質を得ています。いますよね、こういう人。

 前田尚 様
 軽快な文章に込めた想いを読み取って頂き、ありがとうございます。レビューを読んで少なくとも一人には自分の意図が通ったことが分かり、安心しました。

 真野絡繰 様
 本作を投稿した目的は「自分の感性や文章力を察して貰うため」なので、構成力や文章力を褒められたのはかなり自信がつきました。ありがとうございます。

 赤井ケイト 様
 僕も死生観についてはまだまだ答えを出せていません。死ぬまで出ないんじゃないかなとも思います。そんな中、分からないことを分からないなりに書いた作品で登場人物の死生観を感じとって貰えたのは、本当に光栄です。

 氷月あや  様
 氷月様のイメージする小笠原先輩像が僕の中のそれとかなり一致していたので驚きました。自作のことは自分が一番良く分かっているはずなのに、レビューを契機に作品への理解が深まったように思えます。このような体験は初めてです。ありがとうございました。

4件のコメント

  • 初めまして。
    小笠原先輩という印象的な人物の物語を読ませていただき、ありがとうございました。
    海鳴りの島にとてもスマートで温かいレビューを頂戴し、こちらも本当にありがとうございます。

    私は発想力で勝負できるタイプでも流行にうまく乗れるタイプでもないので、地道に調べて記憶し、勉強して習得し、使える道具と武器を増やしていかなくてはと心掛けています。
    情景描写を誉めていただけると、勉強した甲斐があったと嬉しくなります。
    とはいえ、まだまだ勉強中です。
    「形容詞を使わずに描写せよ」
    「作者がしゃしゃり出て説明・解説していいのは司馬遼太郎だけだ」
    「登場人物が歩くと埃が立つのが感じられるくらい現実的に描写せよ」
    というのが、割と最近いただいた指摘でした。

    『くちびるに歌を』は、まさに、私が1年生の間だけ通っていた中学校をモデルにした作品です。
    今は合唱部がそれなりに有名になっているようですが、96-97年当時はありませんでした。
    作中の生活圏の描写は、中通島の魚目地区がモデルではないかと感じます。
    映画版は五島列島各地の特に風光明媚な場所多数をロケ地に起用し、一つの島の風景であるかのように繋いで作られており、五島列島のプロモーションビデオみたいだったそうです(両親談)。

    以前、久保田弥代先生が近況ノートで浅原さんのレビューを絶賛されているのを発見し、しょうもない感情なんですが「何か悔しい」と思っていました。
    それが第一印象でした。
    小笠原先輩を読んで、相変わらず悔しいけど、物凄く納得しました。
    遠くない将来、浅原さんが紙の書籍でもご活躍されることを本気で願います。

    新人賞でのカテエラやタブーは私もやらかしがちです(現代の隠れキリシタン=宗教ネタとか、新撰組の主要メンバー=食傷ジャンルとか、スポーツ小説とか)。
    今オフラインで書いているのも凄まじくマイナーな時代を扱った歴史物なので、売れ線を意識した場合の評価がどうなるか……力を入れている分、精神的な意味では大博打です。
    あっさり落ちたら、燃え尽きて灰になります。

    もうすぐ始まるカクヨムコンテストは、受け皿であるレーベル側から寄ってきてくれるからチャンスが広がるのではないかと、少し期待しています。
    カノホモはジャンル分けが難しいテーマですが、バックに付くレーベルを見るに、恋愛か現代ドラマでしょうか?
    歴史浅めで書き手をカクヨムから発掘中の印象があるカドカワBOOKSなら、スコップしてくれるのではと。
    ラブコメジャンルはライト路線で、対象年齢が比較的低い感じがしますね。

    また改めて(たぶん来月)読みに来て、変な方向から穿つレビューを押し付けさせていただきます。
    長々と失礼しました。
  • こんばんは。拙作『holoholo』を読んでくださって驚いています。本当にありがとうございました!

    特にholoholoは処女作にして半分はノンフィクションなので恥ずかしい気持ちにもなりました。

    秘密基地のお話、次々と進んでいきますね。冒頭の文があってこそ、安心して読める、精神の中への冒険談ともいえるような内容にどきどきさせてもらっています。
    天空を覆う星。天の川を見たこともない私が憧れて、望む夜空のような小説を綴られているので敬服します。
  •  氷月 様

     初めまして。コメントありがとうございます。

     自分にとって情景描写は言い訳のしようがないほどの苦手分野なので、氷月様の描写力には本当に感心いたしました。ああいうのを挟めると話にグッと厚みが増すんですよね。分かってるんです。分かってるんですけど……書けない。

     「くちびるに歌を」もやはりご存知でしたか。自分は割と都会で生まれ育ってしまったので、ああいう美しい故郷を持っている人が本当に羨ましいです。幼い頃に刻まれた心象風景は原体験となって、今の情景描写力にも生かされているのではないかと思います。

     久保田先生の近況ノート、ありましたね。自分としては「悔しい」と思っていただけたのなら「嬉しい」です(笑)。今後も同じ感情を抱かせられるよう精進します。

     カノホモはカテエラもそうですが、タブーを犯しすぎていて(倫理に悖る行為の肯定がいくつか&超根本的な問題として多分「ホモ」がNGワード)ネットしか公開の手段がないんですよね。なので一応「現代ドラマ」で出してみようかなとは思っていますが、あまりコンテストにも期待はしていなかったりします。ジャンル的はラブコメなんですが、仰る通りチャンスがありそうなのがカドカワBOOKSしかないので。

     またお越しいただけるとのことで、ありがとうございます。レビューについてはご無理はなさらず、何かしら感じ入るものがあればお書きくださいませ。よろしくお願いいたします。
  •  伊藤 様
     
     こんばんは。『HoloHolo』、とても良かったです。処女作とは思えないほどクオリティが高い一方で、処女作特有のアクも強く出ていて読み応えがありました。そういう雰囲気は感じましたが、やはりある程度はノンフィクションでしたか。登場人物の距離感や心理が本当にリアルでした。

     『僕ぼく』はついに八章に入りました。これと終章で終わりです。七章終わりに不穏な引きがありましたように、まだ大きな展開が残っています。物悲しくも美しい星空のような話に仕上げるつもりですので、もう少しお付き合い頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。
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