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👩🏼‍🎨ファンアート第二弾に双子な彼女たちも感激!

白夜「あの変なおじさん、厠に行ったきり、帰って来ないね」
極夜「怪しい職種の妙な輩です。この施設は曲藝團で占領すれば宜しいでしょう」

白夜「ラヂオだって言ってたけど、それっぽい設備はないし、本当に放送してるのかな? この集音器も不恰好だしさ」
極夜「流行歌を流すという割には、ぴかぴか光る機械ばかりで、コロムビアの蓄音機すらない有り様。実に不可解であります」

白夜「蓄音機の代わりに、私たちが歌えばいいはず。まあ、誰の耳に届いてるのか、不安だけど、ささっと番組に行きましょうか。それ、せーの」

双子「白夜と、極夜の、『帝都の朝ぼらけ』。始まりまーす!」
白夜「満蒙開拓団の皆さん、聴こえてますか?」

極夜「これ、本当に満蒙の大地まで届くのでしょうか。なれば、北樺太の赤軍兵たちが傍受しているかも知れない」
白夜「何か、怖いかも。それは兎も角、本日は解説員をお招きしての特別公開放送なんだよ。わざわざ澁谷まで来て貰いました。耶絵子姐さんです!」

👩🏻‍⚖️耶絵子「どうも、世界の皆様、ご機嫌よう。久しぶりの出演で少し緊張して、キャラ設定とかも忘れちゃってるけど、大丈夫かしら」

白夜「あー、いきなりメタっぽい発言はどうかと…」
極夜「めた、とは?」
白夜「はい、そこ、いちいち突っ込まないでね」

極夜「諒解したであります。どうも今日は、姉やも四百文字制限がないとあって、言葉が軽やかなのです」
白夜「そこも触れないでおこうね。で、どうして耶絵子姐さんを呼んだかと言うと、女優サラ・ベルナールを尊敬しているのだとか。そんな関係かな」

👩🏻‍⚖️耶絵子「あなた達、よく喋るわね。まあ、良いか。サラは五大陸を制覇した世界初の国際スタアなのよ。ベル・エポック期を代表する大女優。キネマが流行る前の時代。歌も達者な超美人なんだけど、シェイクスピア劇では男役もやったそうね」

白夜「……」
極夜「……」
👩🏻‍⚖️耶絵子「あら、何か問題発言したかしら?」

白夜「何でもない。一瞬、気絶しただけだよ」
極夜「上方の某歌劇団の源流みたいな女優ですね。して、姐さんは何で西洋の女優さんの解説をしておられるのでしょうか?」

白夜「この絵画と大いに関係があるんだよ。下段参照ね」
極夜「それは前の放送でも話題にしたカクヨムリーグのハットトリック王・綾森選手の逸品」

白夜「そうそう、模したという画家のアル…何だっけか、そう、アルフォンス・ミュシャと深い関わりがあるんだよ。ミュシャの出世作『ジスモンダ』のモデルがその女優さんって寸法さ」

極夜「寸法さ…って、誰の受け売りかばればれなのです」
👩🏻‍⚖️耶絵子「楽団リーダーという訳ね。で、もしかして、私の出番って、これで終わりなのかしら?」

白夜「そうかも。まあ、特に用事はないし…」
極夜「賑やかしで、居て貰っても結構なのであります」
👩🏻‍⚖️耶絵子「扱いが何か雑ね。次の新作も嫌な予感がするわ」
白夜「姐さん、メタ発言は勘弁して欲しいかも」

極夜「それは放送後に一座の全員で検討するとして、綾森選手からのお便りもあるのです」
白夜「あら、お極、台本通りの流れにするの上手いね」

極夜「えーと、綾森選手によると、瞳の色が判別不能だった、と。絵画にある婦女子の眼の色ですね」
白夜「そうなんだ…とか言いつつ、さっき座付き作家と前打ちした際、描いた筈だって言ってるよ」
極夜「瞳の色ですか?」

白夜「そうそう。四百字詰め原稿も借りた。ええと、第四話の第六幕だっけか。字が汚いな。これ、絶対、誤字脱字が多いやつだよね。まあ、文句は後にして、どこだ…あった。ええと、萌葱色」

極夜「いやいや、これ『萌葱色の下着』って書いてあります。因みに、第七幕では、翌日は『別の柄』とも」

白夜「本当だ。下着の色は描写しても、瞳の色には触れていないとは。魔法使いが出て来る御伽噺では、有り得ないよ」

極夜「書き手の性分が如実に現れているのであります。やれやれ。加えて、この下着って何でしょうか。おパンチィとかいう婦人物なのか?」
👩🏻‍⚖️耶絵子「うわ、凄く面倒臭くなる予感がするわ」

極夜「邪道なのであります。おパンチィとか、お子様でしょうか。褌が一番で、これに限るのです。色は白で統一。柄など有り得ません」

👩🏻‍⚖️耶絵子「止めたほうが良いのでは…」
白夜「褌の話を始めると止まらないんだよ。でも、まあ、直ぐに終わるし」

極夜「脱着が容易だからというだけの理由で、近頃は福助さんも含め、越中褌に乗り換えているようですが、無粋と言わざるを得ない。短くとも六尺の由緒正しい褌しか許されません。きゅっとこれを締め上げる。その感覚が大切なのです」

白夜「そろそろ終わるね」

極夜「履くのではなく、褌は締めるものであります。越中褌は簡単というか雑で、実際に履く雰囲気。違うのです。きりっと締める。きつく締め上げる。その感覚が褌の本質と申せましょう」

👩🏻‍⚖️耶絵子「…終わった。皆様、ご清聴有り難う御座ゐました」

白夜「じゃ、一曲、歌ってお開きにしましょうか。じゃないよ。廣告があるんだ。綾森選手こと綾森れん先生の新連載です。下のテロツプをご覧ください」

💖『私が生贄ではなく番(つがい)ですって!?竜神に捧げられた聖女を待っていたのは溺愛でした』https://kakuyomu.jp/works/16817330662821436679

極夜「テロツプとか、ラヂオという根幹の舞台周りに異常を来たしたやうな…」

白夜「廣告枠は意外と何でも有りなんだよ。って、あ、あれま。失踪したおじさんが帰って来た…」

🙀猫田「うわあ、なんと。いや、台風で目蒲線が止まって、やっとスタジオ入り出来たと思ったら、娘っ子が二人に分裂してるし、更に妖艶な雰囲気の女性も…ゴクリ…」

👩🏻‍⚖️耶絵子「侵入者よ。しかも敵の匂いがするわ。問答無用。まずは縛り上げてから、話を伺おうかしらね」


<何処かへ つゞく>

7件のコメント

  • 満蒙開拓団の皆さん!! 時空を超えている気分だけれど、時間を越えてきちゃったのは双子ちゃんの模様(笑)

    耶絵子さん、久しぶりです!!
    今回は楽団リーダーが解説役に呼ばれるわけではなかったと。
    うんうん、女性だけ(?)の方が華やかですもんね!

    上方の某歌劇団、大正ロマンの時代から続いていると思うと、すごい。

    ふんどしなんて今使っている人ほぼほぼいないけれど、ヅカといえば令和でも通じる。
    ふんどしとヅカを同列に語ったら刺されますね!

    猫田さん、台風にあってるってことは普通に現代の時間軸にいるんですね笑

    ご紹介ありがとうございます!
    テロップ流していただき感謝です!(ラジオとは!?)
  • 第四話の第六幕をまじめに読み直してきた結果・・・

    パドゥメのぱんちらを拝んできたゾ!
  • 綾森れん様(ポイント③)

    ノオトの中で、ちゃんと御礼を言えてなかったけれど、誠に有り難う御座ゐました。

    耶絵子の漢字忘れてるし、危うい…あってるはずw

    西のヅカに、東の松竹少女歌劇団。戦前から男装の麗人は多かったようで、ブロマイドかポスターか、「軍装の女性」写真が禁止されたとの逸話も。

    麗人フォトを買うのはやっぱり女性陣なのかな。昔から高尚な趣味に溢れていたようで勇気づけられるのです。

    今から瞳の色の追加描写は、バツも決まりも悪いので、機会があれば下着の色を細かく指定します。

    因みに、この後、パドゥメが褌をプレゼントされて、好んで履くようになります。越中タイプだから「締める」じゃないっぽい。
  • 優雅なサフィちゃんが降臨された✧︎
    こちらがミュシャ風だったのですね✨
    美しきであります❀·°
  • 鳥兎子さま

    正に降臨といった趣き。
    日本語タイトルの部分が大正風、昭和レトロ風にも見えたり。
    そして、ネコタ出版からのリリースというオチもあるのです。
  • ミュシャ風、素敵!!
    帽子、髪飾り……いや、眉毛が……うぅん、どこも素晴らしい。
    文字も全体の配色も、綺麗ですにゃー。
  • @hikageneko様

    深い碧にオレンジ色の文字が素敵ですね。余り見掛けない配色だけれど、マッチングが良い。英語タイトルまで考案して頂いてビックリです。
    最初『〜夜想曲<ノクターン>』にしようか悩んでいたのを思い出したりも。
    出版社のボスっぽいMr.ネコタにも感謝なのです。
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