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①淀川大ピンチ!(全てはここから始まった)

はい、淀川です。





蝉の鳴き声が響く。

見上げて、淀川は思った。

盛夏そのものと言うべき晴天。嵐の前の静けさか、決戦の日に相応しい朝だ。

そう。今日は、すっかり忘れていた健康診断。

連日の実家への長距離運転や台風接近の緊張の影響もあったのか、肛門括約筋が活躍しておらず、出るはずのものが予定どおりに出ていない。

そして、時は来た。

まことに焦ったが、それを何とか念力で押し出そうと臨んだ未明の激戦。修行で培った呼吸法が役に立ち、たるんだ脂肪の奥に隠した我が腹筋たちは勝利をおさめた。秘蔵の特殊部隊よ、よくやってくれた。信じていたぞ。やはり筋肉は裏切らない!

苦労の結果を持って、いざ、病院の受付へ。

淀「おはようございます。健診にきました」

受付のお姉さん「おはようございます。受付票と健康状態質問書と保険証またはマイナカードをお願いします」

淀 鞄の中をゴソゴソ。とりあえず保険証を出す。

受付のお姉さん 保険証を受け取りながら「検尿と検便のキットはこちらにご提出ください」

淀 また鞄の中をゴソゴソ「すみません、ようやく今朝、少しだけ出たので、ホントに少しだけしか採取できなかったのですけど……、1本だけなんですけど……」

受付のお姉さんパソコンのモニターを覗きながら「あ、えっと、大丈夫ですよ。その都度お持ちにならなくても、健診日の当日にまとめてお持ちいただければ」

淀「え?」

受付のお姉さん「今日中にまた出たら、それを採取して、昨日の分ですかね、それとまとめてご提出ください。ケースに日付とお名前のご記入をお忘れなくお願いします」


健診日は明日でした。
ガーン( ̄▽ ̄;)


脳内リフレイン
「その都度お持ちにならなくても」
「その都度お持ちにならなくても」
「その都度お持ちにならなくても」

そうではないのだが……。
出たのが嬉しくてスキップしながら採取したてホヤホヤの検便サンプルを提出しに来たノッポのオジサンと映ったのだろうか。

淀ぼそり「また出るかな。出ないかも……」
(実況:あまりのショックに健診日を間違えた事実は飛んでいます。完全にお姉さんトークに引っ張られています)

お姉さん ニッコリ微笑んで「無理されないで大丈夫ですよ。水分を多めに取ってリラックスされてくださいね。昨日出た分だけでもよいですからね。ニコッ」

綺麗なメイクとマニュアルどおりの対応に撃墜された淀川
「が、頑張ります!( ・`д・´) 必ず出します!(。・Д・)ゞ」

明日もう一度行く病院の受付で、わざわざ必要ない宣言をして帰ってきた淀川。
今、自宅の便座の上で漏れる声は

(。>д<)う~ん


大だけに。なんつって。

現場から、淀川大(ひろし)がお伝えしました。

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