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SS:ソシャゲの幽霊

 Cさんが友人からソシャゲがサービス終了すると聞いた。彼にとっては全く縁の無いゲームだったが、その友人は思い入れのあるゲームだったらしく、話半分に聞いていた。

 友人は悲しそうにそう言うので、『ソシャゲなんていずれ終わるだろ』とは言いづらかった。理解は出来ないが、そういうものなのだろうと思う。

 そして彼は友人からそのソシャゲがサービス終了前にガチャチケットを大量に配布していたことを聞いた。別にゲームに興味はないが、運試しをすることは好きだった。だから帰宅したらWi-Fiにスマホを繋ぎ、そのゲームをダウンロードしてみた。

 別にシナリオを進める気は無い、ただ簡単なクエストを回してガチャをやりたいだけだった。本来なら課金しなければならないものが無料で使える、それは彼にとても魅力的なことだった。

 今回はアカウントの紐付けは不要だ。どうせサービス終了するのだから引き継ぎもなにもする必要は無い。さっさと引き継ぎ画面を消すとガチャが引けた。

 そこでひたすらガチャを回す。気が済むまで何回でも十連出来るガチャだったので、SSRを三枚抜き出来るまで粘った。そうして夜も更けた頃にそれを達成し、適当に序盤のクエストをクリアした。

 結局、その報酬で数十連を引きSSRを数体手に入れて満足してしまった。結局、サービスは終わるのだからこれで満足しておこうと思った。少し不思議だったのは、サービス終了のニュースが起動画面に出てこなかったことだ。とはいえ、そんなものを出したら返金希望者が増えるだろうから、好き好んで広めたくはないのだろうと思った。

 翌日、そのゲームを教えてくれた彼に、昨日そのゲームをプレイした旨を告げた。すると怪訝な顔をされて言われた。

「あのゲームなら先週末にサーバーが閉じたぞ? 何か別のゲームと勘違いしてないか?」

 そう言われ、混乱しつつスマホを取り出してそのゲームを開くとすぐに終了してしまった。そして二度と正常起動することは無かった。

 その話を聞いたCさんが私に話してくれたのだが、「これも一種の付喪神みたいなものなんでしょうかね」と言っていた。

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