「棗颯介 短編」を含む小説

季節は夏。ひとところに留まらず、各地を転々とする生き方を送る青年・黒崎海人は、ある海辺の田舎町に滞在していた。 そこで出会った隣人の少女・東雲鈴音は暇さえあれば海人に旅の話をねだ…

あることをきっかけに失われた他者の命を取り戻すことができる異能を持っていた少女・犬神聖華は、ある日自分と似通った異能を持つ少女・鷲尾心美と出会う。同じ力を持つ者同士、仲良くできる…

何気なく手に取った一冊の本。 そこにはそれまでの僕の虚偽を塗り替える“世界”があった。

フリーターの小暮直幸は高収入アルバイトとして紹介されたとある研究所の実験に参加する。 そこは閉じ込められた全員の同意がなければ出られない部屋。 直幸は初対面の女性・葵と奇妙な共同…

能力不足からサンタクロースのクビを宣告された俺は、今年の聖夜が最後の仕事となった。 プレゼントの配達中に訪れたとある家のベッドで眠っていた少年に姿を見られてしまうが、少年は“欲し…

気付くと“僕”はこの島にいた。海に囲まれた牢獄。今生で役目を終えた命が次の始まりを待つ場所。 島の中心に聳え立つ時計塔の針は、僕がここに来た時からずっと零時一分を指し続けていた。…

俺にはそれなりに長い付き合いになる、生意気な友達がいる。連絡はたまに取り合うだけ、会うのはせいぜい年に一度の、曖昧な関係の女。別に、居なくなっても構わないと思っていたはずだったの…

言葉の力を信じられなくなり、他人と対話することを避けるようになった少年・翔馬は、幼馴染で口のきけなくなった少女・澪に付きまとわれていた。

大した情熱も持たないままベストセラー作家になり一生かかっても使い切れない金を手にした青年・折川春は、ある日弟子にしてほしいと懇願する少女・柏森静の面倒を不本意ながら見ることになる…

夏。探求心から家を飛び出した中学一年生の少年・琥太郎は見知らぬ海辺の町で宛てもなく彷徨い、一人の女性と出会う。 自分を知るためのひと夏の物語。

学校の屋上から私は飛び降りた。 そのまま重力に身を任せ、一瞬の痛みと恐怖と共に終わりを迎えると思っていたのに。 コンクリートの地面に叩き付けられる寸前、世界が止まった。 ―――死…

怒りの感情を発露させると全身が発火してしまうようになった人類。 ただしその現象が起こるのは成人になってから。 幼少から短気ですぐにトラブルを起こしていた俺は、学校の授業をサボって…

男友達の優一はどういうわけか私のことを好きになってしまった。彼は顔をあわせれば私に愛の告白をしてきて、その度に私は断る。そんなことをもう七年続けてきた。こんなことを続けていて、い…

人の心を理解できるスーパーコンピュータ『FUGO』の発明によって人の心象風景にアクセスすることが可能になった時代。 外で大勢と遊ぶよりは一人で静かに過ごすことが好きな少年・悟（さ…

家に引き篭もって“自分探し”をしていた僕の前に、口の悪い女の子が現れた。

四十一人を殺してきた連続殺人犯の主人公はマッチングアプリを使って次の標的と会う約束を取り付ける。 指定のホテルに向かったとき、彼を待っていたのはこちらにナイフを突きつける女子高生…

勤めている会社の不正を見過ごせなかった仲村寿桃は世間に後ろ指を差され、追い詰められ自殺を図る。 廃墟と化した人気のない屋敷の庭で静かにこの世を後にしようと考えた彼女だったが、そこ…

東京でエンジニアとして働いていた“私”。 仕事中に窓から吹き込んできた風。 この風を覚えていると、そう思った。