概要
倭国大乱の時代を舞台にした物語。
十五歳の狭霧は、出雲の国の姫。
父は武王、祖父は賢王、母は伝説じみた女将軍と、家系には大物が揃っていたが、狭霧にとって、それは苦でしかない。少年策士、高比古からも手ひどく罵られる毎日…。
幼い頃から想い合ってきた輝矢と過ごす時だけが唯一のやすらぎだが、輝矢は敵国の王子で、人質として幽閉されている身だった――。
※※だいぶん前に書いた話をそのまま載せています。拙い部分も多々ありますが、どうかご容赦ください※※
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■主な登場人物
狭霧≪さぎり≫…出雲≪いずも≫の武王の娘。極上の血筋を
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!神代出雲で繰り広げられる、少年と少女の切ない恋と成長の物語
狭霧(さぎり)は、出雲国の武王・穴持(なもち)と、その妻・須勢里(すせり)の娘だ。愛妻・須勢里の遺した娘を穴持は溺愛しているが、狭霧自身は、自分に大した能力のないことを引け目に感じていた。
出雲国には、敵国・伊邪那(いさな)から人質として差し出されている王子・輝矢(かぐや)がいた。彼の許に通う狭霧の心には、いつしか幼い恋が芽生えていた。
精霊と語る能力をもって産まれたため、実の両親と村人達に忌み嫌われて育っていた少年・高比古(たかひこ)は、穴持にその素質を見込まれ、引き取られる。事代〈ことしろ〉として力を発揮する彼は、狭霧を嫌っていた。
大八嶋に大乱の兆しが現われ始めた時代、少年と少女たちの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!胸をかきむしりたくなるほどに切ない、壮絶な二つの歩みと恋
「狭霧にとって一番安心できる場所は、いつでも輝矢のそばだった。」
この自然な冒頭から、すうっと古代日本の世界に入り込むことができました。さすが、古代日本マニアという作者様。台詞や景色の細部に至るまで、まるで見たものを綴ったようにすべてが自然で完成されています。それらに連れられ、夢中で読みふけり、どっぷり浸らせていただきました。
出雲の武王、支配者の血を引く狭霧と、実力だけで高位にのし上がった高比古。様々な意味で正反対な二人が、出雲の国を守るため、時に衝突し時に励まし合いながら、少しずつしなやかな強さを身につけていきます。
それぞれ国の最高権力に近い立場にいる上、時代は倭国大乱。彼らの身…続きを読む - ★★★ Excellent!!!未熟な彼らが、ひたすらいとおしい
倭国大乱を舞台にした小説は未見でしたので、とても楽しく拝読いたしました。
気どりのない素直な文体が好きです。
狭霧姫と敵国の王子輝矢の恋物語も興味深いけれど、私が一番気に入っているのはクセ者の高比古と狭霧姫の成長物語です。
大国主や須佐乃男など、食えない大人達からヘコまされ折られながらも強く立ち上がり、自分の責任を果たそうとする高比古、その一方で純粋無垢で無知な箱入り娘の狭霧が徐々に自分の立場を自覚し、一歩、二歩と前に進んでいく様などは読みごたえ抜群です。桐瑚の行く末もとても気になります。
天つ神対国つ神ということなのか?とか、天照=〇〇〇なのか?など、記紀や倭国大乱頃の時代背景を少しでも…続きを読む