最終話 蛮族王子、世界征服を進める
あの日の出来事は今でも覚えている。
神器を全て回収した後、突如として目の前に女神が降臨したのだ。
どうやら神器を全て揃えることで女神が更なる力を与えてくれるという、俺すらも知らないイベントがあったらしい。
しかし、女神は自身を召喚したのが勇者ではないと知って怒り狂った。
ただの人の分際で神器を扱おうとするのはおこがましいとか何とか言って。
すると、堕とした神器たちが一斉に女神へ抗議して彼女を拘束したのだ。
いくら神器を作った張本人であっても、五つもの神器を同時に相手取ることは難しかったのか、女神は身動きが取れなくなり……。
俺は遠慮することなく女神を犯し、自分の女にすることがてきた。
そうしたら――
「汝こそ真なる神♡ 我は汝のために我の持つ力を全て差し出す♡ どうか我を汝の女にしてくれ♡」
と言いながら、俺に『女神の寵愛』なる力を授けてきた。
これは勇者に与えられた女神の加護を遥かに上回る力らしく、まず肉体の時間が停止して老いることがなくなるそうだ。
続いてレベルアップもできるようになり、その成長限界も99ではなく、999という仕様。
俺は魔王城に向かいながらゲーム知識を頼りに効率的な経験値稼ぎを行った結果、レベル500を超えた。
その状態で魔王改めシスティアと戦ったら、あっさり勝利してしまった。
「リキシア王国、リンドブルム聖国、ドナーテ公国が新たにバンデッド大帝国の属国になりたいという打診がありました。リキシアは絶世の美姫と噂の第一王女を差し出してきたため、すぐに属国として歓迎するそうです。以上でご報告を終わります、エルト陛下」
「朝からご苦労だな、アンリ」
俺はベッドの上で女を抱きながら、アンリから報告を聞いていた。
「やはり魔王システィアを倒し、魔王軍を支配下に置いて、女神アテラ様が陛下を真なる神として喧伝したのが大きいのでしょう」
「そうだな。信仰心の厚い国は真っ先に属国になりたいってきたし」
「はい。そうでない国も、今や我が国のホムンクルス軍を見て完全に敗北を悟り、どうにか和平を結ぼうとしておりますが……」
「逆らう奴らは見た目のいい女以外殺せ。逆らわなくても見た目のいい女以外は奴隷だ」
「はっ」
俺はハーレムに男が近づくのが嫌で、とにかく男は排除している。
ああ、問題はない。
ホムンクルスの創造者、ユラが錬金術師で俺の遺伝子から人工精子を作ることに成功したのだ。
俺のマスターソードを模した疑似マスターソード付き繁殖用ホムンクルスが女を抱くことで人口が減る心配はない。
ホムンクルスも女型ばかりだし、女同士は俺も見ていて興奮するから尚良し。
んん? 血が濃くなりすぎないか、だって?
そこはほら、女神が女神パワーで解決してくれるため、考慮する必要はない。
バンデッドの影響は日に日に増し、いずれ世界を飲み込むだろう。
当然、俺のやることに反感を抱く者たちは男女問わず存在している。
たまに散歩がてら夜道を歩いていると、反感を抱いたレジスタンスが「夫の仇!!」と言って襲いかかってくる時がある。
そういう女は抱くと大人しくなるが、中には反抗心を絶やさない者もいるのだ。
まあ、そういう者たちはクルスが作った懲罰軍なるホムンクルスの警察組織に引き渡すことで解決できる。
ナニをしているのかは知らないが、釈放された女が従順になっているから大体の想像はつく。
少しずつ、だが確実に世界は俺のものになりつつある。
この調子ならあと十年足らずで世界征服を完了してしまうのではなかろうか。
すでに一部地域では「エルト様こそが真の神」として信仰され始めているしな。
「ところで陛下、そちらにいらっしゃるのは……」
「ああ、母上――じゃなくてクインディアだ」
アンリがベッドで白目を剥いて気絶している美女に視線を向ける。
彼女はこの世界での俺の母、クインディア。
つい昨日、俺の女になりたいと土下座で懇願してきたのだ。
血の繋がりを意識したことはなかったし、少し歳は重ねているが、クインディアは絶世の美女なので抱いてやった。
気に入った女は女神の力で老化を止めてもらえるし、いいこと尽くめだ。
「あ、勇者……じゃなかったな。リオンはどうしている?」
「彼であれば、毎日のように陛下のハーレムで可愛がられていますよ。無論、一生外せない呪いがかかった貞操帯を装備しているため、陛下の妃たちに手を出す心配もありません」
「そうか」
リオンはあの日、俺がシスティアを倒した日から大人しくなった。
まるで捨てられたくない犬のように、自ら一生外せない呪いの貞操帯を装備して女たちに媚びている。
今ではフェリシアやネルカに女装させられて着せかえ人形のように遊ばれているとか。
「ノレア様やルナ様、元々彼と仲のよかった妃たちの間では陛下の逞しさと彼の情けなさを比べてエッチするのが流行っているようです」
「そ、そうか」
「あの、陛下?」
「ん?」
不意にアンリが俺の近づいてきて、大きな胸を腕に押し当ててくる。
「このところ忙しく、抱いてもらえませんでしたから……可愛がってください♡」
「このドスケベメイドめ。休む暇もないじゃないか」
俺はアンリを抱いた。
途中でメルトレインたち、人化した神器やノレアたち、アカネやアオイたちが乱入してきたが、まとめて可愛がってやった。
女神の寵愛で賢者の時間を挟まなくても連戦できるからな。
ノリと勢いに任せて始めた世界征服だったが、数多の美女を手に入れられるなら悪くなかったかもしれない。
しかし、いつかは飽きるだろう。
その時のために、敢えて反乱の種子を残しておいてもいいかもしれない。
俺の戦いは、まだまだ終わらない。
―――――――――――――――――――――
あとがき
どうでもいい小話
作者「ご愛読、ありがとうございました」
エ「じゃあなー」
作者「新作『前線を退いた逸般ヒーラー、ダンジョン学校の教官になる。~世界最強の問題児たちを負かしたら懐かれてしまったんだが~』を投稿するので、時間のある方は是非お読みになってください」
「面白かった」「完全にディストピアやん」「新作読みに行くで!!」と思った方は、感想、ブックマーク、★評価、レビューをよろしくお願いします。
やられ役の蛮族王子が主人公に逆襲したら原作崩壊したんだが。~ひたすら努力して鍛えまくった結果、いつの間にかラスボスすら上回る強さになっていた~ ナガワ ヒイロ @igana0510
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