第9話 凍道チャンネル「本能寺の変正親町天皇黒幕論⑤」
『「鳴かぬなら」、ひょっとしたら信長/秀吉/家康“に対して”詠まれてたとか?』
「ん?ああ……ああ!そう、そうだね!”鳴く”というのは朝廷に従うことで、これを詠んだのは正親町天皇かもしれない!そりゃあ、信長を本能寺の変で殺して、秀吉を関白にすえたともなれば、これ俺の手柄だぞって詠んで残したくもなるよねえ」
黒板に順に書いていく
・鳴かぬなら殺してしまえホトトギス
「これは朝廷に従わない信長をくびり殺してしまったということで。憎々しげな”殺してしまえ”も詠み手の認知が出てるねえ。従わないなら殺すという気持ちがぷりぷりだよ」
・鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス
「これは秀吉は朝廷に自由に従わせられたということだね。実際、秀吉は甲斐甲斐しく朝廷の世話をして、朝廷の勢力は何倍にもなった。それこそ、秀吉のやった朝鮮攻めだって、正親町天皇の指示で、宿願だったのかもしれないよ。白村江の戦いからの。秀吉が朝鮮に出兵したがる理由がよくわからない。自身で渡海できないような状況で攻めても上手くいくわけがないと思うし、家康を行かせられないのもね。それでも無理やり朝鮮に出兵したのは、大和朝廷の末裔たる正親町天皇の野望だったのじゃないかと」
『まさかなのだ』『まさかの正親町天皇の野望説』
・鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス
「そして最後の家康のこれは、朝廷に秀吉ほど従わずに強力な幕府を開いた家康に対して、いつか従うまで待とうという驕りが見えるね。”ホトトギス”がそれぞれの武将が相対したものだとわけがわからないけど、”正親町天皇から見た武将”としてみると、神である正親町天皇からみれば戦国武将といってもかわいいホトトギスであるというのは、とてもしっくりくる目線だ。うーん、いい解釈だね!認知プロファイリングスキルの中級をあげるよ!明智が天海になって徳川に入れ知恵したのは、朝廷を信じるなってことと、信長公の最期についての真相かもね。それがあれば関ヶ原もああいう勝ち方ができそうだ」
『中級出た』『中級』『すげえ』
「こうして仮説を展開すると、朝廷って弱っててもかなり威光はあったんじゃないかな。たとえば正親町天皇の即位料を出したのは毛利元就だし、本願寺も莫大な献金を朝廷に収め、正親町天皇から称号をもらうことで宗教に権威付けをしていた。今で言うカルト宗教みたいなもんだね。正親町天皇は信長も従うと思っていたので、スパイの明智を使って義昭と引合せて上洛させた。ところが、信長は全く官位に興味を示さない。正親町天皇は愕然としただろうね。自分は神であるのに、尾張のうつけごときがなんなんだと。更に、スパイを使って誘い出し、浅井朝倉で仕留めようとしてもきっちり逃げ切る。信長包囲網も義昭じゃなくて正親町天皇が画策したんじゃないの?本願寺や比叡山、朝倉に浅井に武田まで動かせるのは義昭よりも正親町天皇でしょう。全力の包囲網をぶつけても、それでも信長は戦い抜いて勢力を拡大しつづけた。正親町天皇は恐怖したろうね。自分を打ち倒す魔王が現れたと思っただろうよ。だから俺はノッブが一番好きなんだよなあ」
『第六天魔王』『じゃ、比叡山焼くね』
「で、冒頭で信長は天皇をおいやって神になろうとしたのか?!俺の解釈だとノッブはそんな事考えてないんだよ。多分すれ違いなんだよね。ノッブは正親町天皇から誠仁親王への譲位を求めてたのでは?も誤解で、譲位なんて求めてなくて、誠仁天皇からお願いして正親町天皇に安土にきてほしかっただけなんじゃないかなって。ノッブはいちいち京都に守りに来るの面倒だったんだよ。京って守るのに向いてないし。だから、安土へどうぞお越しくださいと。守ってあげますよと。完全に善意で遷都だけ求めたのに、正親町天皇は「譲位するからいったんそれで勘弁してよ……」だったんじゃないの?譲位して誠仁親王の代になっての遷都ならまだ理屈が立つから天皇の面目が保てるけど、ワシの代で命令されて遷都はヤメロォ!って」
『あー……すれ違い』『これは信長も現代に生まれてたらレターパック送りそう』
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