遥か遠き理想だとしても

"英雄になろうぜリオン"
幼き頃に友と交わした約束は、どれほど時間が経とうとも色褪せる事はない。
幼稚な夢だとわかっていても、焦がれた、憧れてしまった。

憧憬には既に靄がかかり輪郭がぼやけている。
現実が目指すべき場所では無いと語っている。
それでも少年は足を止めることは無い。
当の昔に困難も、苦境も、絶望も、その全てを受け入れて進むと決めた。
決してあの時に夢見た世界は間違っていないのだと、それだけは間違っていないと知っているから。

己が夢の為に、全てを賭けて進むリオンは道の果てに何を掴むのか。
輝かしい栄光か、それとも、抗いようの無い現実か。
少年は歩き続ける。いつか最果てへと辿り着くまで。