第8話 きゃー! 神様、ごめんなさい

 あたしは開いた口が塞がらなかった。

だっておばあちゃんの祈りの正しい言葉も、モンゴルはとても遠い外国で、簡単に帰ってこれるところじゃないのも忘れていたのだ。 


「ど、どうしよう。あたし、神様に嘘つきの詐欺師って言っちゃった。

そのうえ一発殴らせろって。きゃー! ごめんなさい」


 真っ赤になって頭を抱えたあたしを見て、おじいちゃん牧師様は腹を抱えて笑ってる。幽霊って笑うんだ……。


 でもよかった、おばあちゃんの願いは叶うんだ。いや叶えるんだ、あたしが頑張んなきゃいけないんだ。 


 ――では手伝っておくれ。私が死者の願いを叶えるのを――


頭の中に響いたあの声は、本物の神様の声だったんだから。


 あれ? おじいちゃん牧師様ったら、今度は耳を引っ張って指差してる。

今度は聞けってこと? 幽霊って喋れないんだ、不便だなぁ。

 でも何を聞けばいいんだろう?


 そしたらまた頭の中に声が響いた。


『神様は正しくないお願いを退けることもある。僕がそうだったからね』

さっきの若牧師様の言葉だ。


「若牧師様は正しくないお願いをしたことがあるの? どんなお願いだったの」


 あたしがそう聞くと、若牧師様は固まっちゃった。ビンゴ! 

そしてため息を一つ吐いた。


「これが祈りの答えか、今がその時なんだろう。アナ、よかったら僕の話を聞いてくれるかい」


 そう言って若牧師様は語りだした。

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