第2話 おばあちゃんの願い

「ねェおばあちゃん、お祈りって何年続けたら叶うの? もう二十四年になるんだよ。子供だったママが、おじさんが家出した頃のおばあちゃんの歳になったのに、まだ祈りが届かないなんて、神様って耳栓でもしてるの? 

それともおばあちゃんに意地悪してるの?」


「神様は願いが本物かどうか、おばあちゃんを試されているのよ。

本物でない願いを祈り続けることを、神様は許してくださらないの。

祈り続けられたのだから、おばあちゃんの願いはちゃんと届いているのよ」


 この頃、おばあちゃんは体が弱ってきた。膝が痛くて、階段でもすぐ息が切れてしまう。今日も教会の帰りに、ジェシカおばさんとベンチで座って一休み。

 先月おばさんの旦那さんのお葬式があった。

病気で寝たきりになり、意識が戻ることなく死んだのだ。

 ずっと祈ってたのに、神様は助けてくれなかった。


 ジェシカおばさんは長い入院費用でお金がなくなって、家を売って引っ越すのだと泣いていた。おばあちゃんは、手伝いに行くと言って一緒に泣いた。


 あたしは、見つけた四葉のクローバーを、ジェシカおばさんのポケットに黙って入れた。きっと良いことあるからね。


 次の日、私が学校から帰ると、ママがすごく興奮して携帯電話で話してた。相手はパパらしい。


「アナ、パパから電話があってダニエルおじさんが見つかったの! パパの取材先のモンゴルの発掘現場で働いてたんだって」


 パパは、おじいちゃんの昔の写真にあまりにもそっくりな人がいたので、声をかけてみたんだそうだ。持ってた家族写真を見せたら、本物のダニエルおじさんと分かったのだ。


「ダニエル、もう少しで発掘調査が終わるから、そしたら必ず連絡くれるって約束してくれたの。遺跡のある場所は携帯電話も圏外の奥地だから、パパ、次の取材に向かうウランバートルの空港から、今電話をくれたのよ」


 あたしとママは抱き合って喜んだ。ダニエルおじさんが帰ってくる、

おばあちゃんの二十四年かけた祈りが通じたんだ!

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