時間を巡る大事件!若きモリアーティと五代目ワトソンにご注目!

同作者の「片方靴の依頼人(赤い靴8)」に続く珠玉のパスティーシュ!
もちろんこの作品から読んでも大丈夫ですが、「ファンタジー×ホームズ」という他にはない設定が楽しいシリーズを読み飛ばしてはもったいない!前作からお読みになることを強くお薦めします。

さて、物語は小気味良いテンポで展開して行きます。
「最後の事件」でライヘンバッハの滝に沈んだはずのモリアーティ教授が、なんと時間を操る魔法薬を持って御伽の国に現れ、結婚式を控えたお姫様と王子様を人質に取ってしまいました。彼の要求は引退したホームズさんを呼びつけること。
すぐにフェアリーゴッドマザーと宇宙兎ビオラちゃん先導のもと、ホームズさんとワトソンさんは御伽の国へ向かいます。しかしその時、教授の攻撃によってワトソンさんが「時進みの薬」を被ってしまい……?!

時間逆行に時間循環。SF好きなら涎が止まらぬこの二つの要素が上手く絡み合い、息つく間もありません。ニヤリとする楽しいシーンがあるかと思えば、突然ヒヤリとするシーンを突き付けられる、心情描写の面から見ても本当に巧みなストーリーです!エピローグも見事!これしかないってくらいの素晴らしい幕引きでした!

ホームズさんのキャラはさることながら、五代目ワトソン(フィフ君)や若きモリアーティさん、御伽の国の住人らしく何処かのんびりしているフェアリーゴッドマザー、宇宙兎ビオラちゃん、皆が皆個性的な良いキャラです。読めばファンになること間違いなし!鳴り止まぬ拍手を贈ります!
特に、作者様の解釈によるモリアーティの過去や彼自身の想い(良心)が伺えるシーンは必見です。
作家の皆様、読者の皆様、ファンタジーだからって油断してはいけませんよ!もうホントに凄いんですから!