「家族」という、一番近くて一番遠い他人。

繋がっているように見えて繋がっていなかったり、繋がっていないようでどこかで繋がっていたり。
言葉にすると想いと違う結果になってしまったり、黙っていたら伝わらなかったり、言葉にさせて貰えなかったり。
上手く距離を掴める人もいればつかめない人もいる、同じ家族の中でも。

同じことを言っているようでどこかがズレてる。
結果は同じなんだけど、途中経過が違う。
目指すものは一つなのに、どんどん広がって行く亀裂。

どうにもならない気持ちを毛糸玉に託す表現が秀逸。
ゆるゆるに巻いた毛糸玉と、かっちりしっかり巻いた毛糸玉、同じサイズでも全然重さが違う。それはまるで心の重さのように。

その固く巻かれた毛糸玉をほぐすのは、丁寧に作られたご飯。
押しつけがましくない、かといって逃げても行かない。
ただそこにいて、そこで作られる、優しいご飯、
読んだらきっとつくりたくなる。食べたくなる。
食べたら外に出よう、リュックと水筒を持って。

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