3-19 Ⅲ Epilogue



《――小童にしては、なかなかどうして見どころがある。気に入ったぞ。力が欲しいのならくれてやろうか》

「生憎、僕は力を渇望するような血塗られた過去を持つ人間でもなければ、力さえあればなんでもできると思っているようなタイプでもないよ。周りからは力を持つなって釘を差されているぐらいだし」

《ぬ……。人智を超えた力だぞ?》

「だから要らないって言ってるでしょうが。いい加減くどいよ?」


 ルウさんこと世界樹を強引な力技でどうにかした、翌朝。

 疲れ切っていながらも、どうにか意識を保ち続けていた僕の脳裏に響いてきた少女の声。

 昨日はまだあまりしっかり聞こえて来なかったというのに、今朝になってからと言うものの、この有様である。


 どこかアリージアさんと似た物言いで、字面にしてみればあまりハッキリとした違いはないけれども、声の高さや言葉から感じられる温かみは全然違う。

 アリージアさんはどこか甲高さが残った声だけれども、こちらは声変わりしたての少女を思わせるような、けれどどこか幼さと冷たさが混ざってさえいるような、そんな声色で話しかけてきている。


 それにしたって、どうもこの声の主。

 やたらと力を欲しがるように誘導してくるのだ。


「はぁ……、うっざい」

《う、うううウザいだと!? この私がウザいと言うのか!?》

「頭の中で叫ばれたらウザいに決まってるじゃない、頭悪いの? というか、「この私」とか偉そうに言われたって、そもそも何者かも知らないし」

《……クックックッ、私が何者か、だと? 聞いて驚くと良い。私は邪――》

「いや、邪神って事ぐらいは見当つくから、そんな勿体ぶって溜めなくていいし」

《っ!?》


 事の発端は、間違いなく昨日の世界樹の件だ。

 魔力水とでも言うべき、世界樹の根本に溜まっていた水を使って、世界樹に強引に僕の魔力を注いだあの時、どうやら邪神との間に妙な繋がりとでも言うような何かができてしまったらしい。


 その結果が、このくだらない会話なんだよね……。


「ユ、ユウさん……? 独り言、ですか……?」

「ユウ様……」

「ちょっと二人共、その可哀想な人を見るような目で見るのやめてくれるかな」

《クッハハハハッ! なんだ、馬鹿にされておるのか、ん?》

「いや、違うんだよ。なんていうかこう、理不がね」

《あーーーー! なんか失礼なこと言った!》


 寝起きから頭の中の叫ぶ邪神とやらの反応を称するのに、僕のこの表現は適切だと思うんだ。


 ――――昨日はあの後、世界樹から生まれた新たな枝を挿し木して、新たな世界樹となるであろう木を見繕うとかなんとか言っていたけれど、僕は一足先に戻らせてもらった。身体の虚脱感と頭に感じる鈍痛がなかなか酷くて、すぐにでも意識を失ってしまいそうな程度に弱っていたのだ。


 そんなわけで、僕は今しがた目が覚めるまでずっと眠っていた、というわけだ。


 そのまま起きたらこの状態になっていた、という事情を掻い摘んで説明しきったところで、エルナさんとリティさんがぽかんと口を開けて僕を見ていた。


「……邪神、ですか……?」

「そうらしいね」

《クックックッ、そうとも! 我が名は――》

「ちょっとうるさいんだけど。黙ってないと、今後一切聞こえないものとして無視するからね」

《…………むぅ》


 あれ、構ってほしいの、これ。

 どうしよう、この条件を呑まれたら僕は必然的に構い続けなきゃいけないんだろうか。


《ええいっ、調子に乗るなよ、小童が! その態度、後悔するが良いッ! 私の力で貴様の意思を乗っ取ってくれるわっ! ふっはははっ! どうじゃ、これで貴様は…………あれ……?》


 ――『アビスノーツの干渉をスルーしました』。


「ねぇ、聞いてよ二人共。邪神が僕を乗っ取ろうとして【スルー】されて失敗してるんだけど」

《な、なんじゃと!? 私の力が通用していないと言うのか!?》

「いやー、さすがに邪神とか言うぐらいだし、操るとか言われてちょっとビックリしたんだけどなー。でも、……あれれー? えっ、失敗? ねぇ、どんな気持ち? 強気に出ておいて失敗とか、どんな気持ち?」

《うぬああぁぁぁぁーーーーっ!》

「ねぇねぇ、叫んでないで教えてくれない? ……あれ? もしもーし?」


 散々馬鹿にしてみたら、邪神がようやく黙ってくれた。

 ……あれ、どうして二人共、なんだかドン引きしてるみたいな顔してこっち見てるのかな?


「……なんだか、ユウ様が邪神と繋がったと聞いて危険なのかと思いましたが、あまりそんな感じがしませんね……」

「む、むしろ今のユウさんの言葉を聞く限りだと、邪神を小馬鹿にしてるような……――はっ!? これがアルヴァリッドで聞いた、〈陥れ〉のユウさん!?」

「アルシェリティアさん、滅多な事は言わないようにした方が。ユウ様は敵と見做せば、何がなんでも陥れる方ですよ」

「何それこわい!?」


 僕の目の前だっていうのに、随分な言い様だよ。

 意図的に他人を無視して話すような真似をするなんて、なんて酷い仕打ちなんだ。


「なんだか心の中で、ユウ様にだけは言われたくないような事を言われた気がします」

「あはは、気のせいじゃない?」

「いえ、絶対に今、自分を棚上げにした心の声を呟いていたはずです」


 ……何でバレるんだろう。


「冗談はさて置き、大丈夫なのですか?」

「もう黙り込んだから、大丈夫だと思うよ。干渉しようとして……ぷぷっ。干渉しようとして失敗しちゃってるし……ぷーくすくす」

「それは……邪神にとっても相手が悪いとしか言えませんね……。そもそもユウ様の【固有術技オリジナルスキル】には、精神干渉などといったものは一切通用しませんし」

「えっ、そうなんですかっ!?」

「ユウ様のスキルは【スルー】と言って、これがまたユウ様の悪辣ぶりに拍車をかけているのです」

「悪辣ぶり!?」


 言いたい放題なエルナさんに、リティさんが声をあげた。


 まぁ、相手が悪かったという点については僕も同意かもしれない。

 もしかしたら邪神――アビスノーツの干渉は、僕以外が相手だったとしたら抗えなかったかもしれないしね。


「それで、どうするのです?」

「どうするも何も、どうすればいいのか見当もつかないっていうのが本音かな。正直、僕も困惑してるんだよ。……これでも」


 なんとなく「それだけからかっておきながら、困惑?」とでも言いたげな不信感たっぷりな視線を向けられたので、しっかりと強調しておく。


「――邪神アビスノーツ。その名は私も耳にした事があります」

「有名なんだ?」

「そうですね。魔王は代々その名が変わり、称号ばかりが知られた存在ですが、邪神アビスノーツは古来よりその神一柱ですから」


 アビスノーツの名前がいまいちピンと来ていなかった僕が問いかけたところ、エルナさんがそう答えてくれた。

 確かに代替わりとでも言うような変化がないのなら、名前を知られているのもおかしくはないのかな。


《……ふん、ほれ見ろ。私は有名なんだぞ》

「まぁ僕には何も影響ないし、うるさいのも無視するぐらい造作もないからね。無害だよ、こんなの」

《扱いがぞんざい過ぎるわ、この小童めが!》


 ちょっと名前が知られているからっていい気になって会話に参加しようとしても、残念だけど僕はそんなものにいちいち反応するつもりはない。


《ふぬおおおぉぉぉっ、無視するなああぁぁっ!》


 ――『アビスノーツの干渉をスルーしました』。

 ――『アビスノーツの干渉をスルーしました』。

 ――『アビスノーツの干渉をスルーしました』。

 ――『アビスノーツの干渉をスルーしました』。


《なんなんじゃ! 勇者でさえ操れる私の力が何故通じぬのじゃ!》


 なんだか一で盛り上がってるし放っておこう。


 いや、本音を言えば最初は焦ったりもしたんだよ、うん。


 けれど……なんていうか、残念な感じが漂ってくるんだよね、この邪神。

 ちょっと「構ってちゃん」っぽい節があるっぽいし、少しからかうと顔真っ赤にしてそうで耐性がないと言うか、自分の思い通りにいかないとすぐに力に頼ろうとする辺り、どうにも子供っぽさが滲み出てる。


 ――要するに、扱い易い予感がしているんだよね。


 もしかしたら何かに使えるんじゃないかっていう密かな考えと、無害だしちょっとからかい易い玩具ができたような気分があったりとか、そういう本音があったりなかったり。


「まぁ、特に弊害があるわけじゃなさそうだし、気にしなくていいんじゃないかな。何もできないみたいだし。――それより、そろそろ行こうか」


 何ができるという訳でもない以上、ここでゴチャゴチャやっててもしょうがないからね。そんな風に割り切ってみせる僕に、エルナさんは溜息を。リティさんは顔を引き攣らせて苦笑を浮かべつつ立ち上がり、僕らは部屋を後にした。



 ――――今後、世界樹の挿し木はアリージアさん率いる〈森人族エルフ〉の人達が見守り、育てていく方針だ。さすがに以前のような〈門〉の役割はできなくなってしまったけれど、ルウさんは新たな世界樹の挿し木に依代を変え、今までの力の半分程も使えなくなってしまったそうだけれど、命には別状がないらしい。

 細野さん達のおかげで、とりあえずラティクスを守る結界――〈エスティオの結界〉の代用となる、幻覚による認識阻害と侵入を拒む結界は完成した。


 なので、僕らは今日にでもラティクスを離れ、一度アルヴァリッドへと戻るつもりだった。


「よう、悠。調子はどうだ?」

「あぁ、うん。まぁまぁ、かな。ちょっと頭が煩いけども」

「頭が煩い? なんだ、頭痛でズキズキ痛いとか、そういう事か?」

「まぁ似たようなもんかな、頭が痛いって意味じゃ」

「なんだそりゃ?」


 アリージアさんとルシェルティカさん、それにクラスのみんなといったメンバーが集まる部屋。

 赤崎くん達と一緒に敷かれていた座布団に胡座をかくように腰を下ろし、朝食をご馳走になりつつラティクスを出る旨を伝えると、アリージアさんが寂しそうに表情を曇らせた。

 

「もう出るのか……。もうちょっとゆっくりしておっても良いのじゃがのう」

「元々、結界の修理でここに来たんだしね。これ以上の長居は無用かなって」

「……そうか。おぬしらもか?」

「えぇ、私達も一度アルヴァリッドに戻ろうと思っています」

「だな。悠の場合、放っておいたら危険だってよーく判ったし」


 佐野さんが答えた後で告げられた、赤崎くんの失礼な一言。

 同意するかのように一斉にみんなが僕を見て頷いている気がするけれど、生憎と反応を返すつもりはない。


「ユウさん、本当に有難うございました。大した報酬は渡す事もできませんが、そちらを」


 ルシェルティカさんが、かなり大粒な属性魔石が入った箱を指し示した。


「今回の魔物から取れた魔石の数々と、この国にあった大きめの魔石です。ですが、本当にこれで良かったのですか?」

「えぇ、魔石の方がありがたいですし、助かります」


 魔宝石ジェムを使った攻撃や、地面に魔石を散らばせて魔法陣を起動させる僕の戦闘方法。僕の中ではこれを【魔術】と呼んでいるけれど、これを使うにはどうしたって魔石が必要になる。そういう意味で、この報酬は実にありがたいものだった。

 どうやら他のみんなも報酬を提案されているみたいだけれど、佐野さんはラティクスで育てている希少な植物系の素材だったり、勇者班のみんなは討伐した魔物の皮や骨だったりと、そういうものを希望しているらしい。

 復興やこれからの事も考えると、あまり大きすぎる報酬を受け取れないし、なんだかんだでこういった物の方が素直に受け取れるって意味だと同意だ。


 それぞれ報酬を受け取ったところで、ルシェルティカさんが改めて口を開いた。


「ユウさん」

「はい?」

「リティを連れて行ってあげてもらえませんか?」

「お母さん!?」


 急に水を向けられる形となったリティさんが驚きのあまりに声をあげても、ルシェルティカさんは冗談だとも言わずに真剣な眼差しを僕へと向けていた。


「今回の一件で、魔族側に対する防御はユウさんのおかげで強化されました。それに、世界樹そのものが機能しなくなった今、〈門〉としての役割を果たせる状態ではありません。魔族がここを狙ってくる事は、今後しばらくはないと考えていいでしょう」

「うむ、その件についてなのじゃがの、ユウ殿。実は妾が発起人なのじゃ」

「アリージアさんが?」


 横合いから声をかけてきたアリージアさんは、何やら得意気に笑みを浮かべながら鷹揚に頷いてみせると、唖然としたままのリティさんへと振り返った。


「この森の近くにいる風の大精霊とならば、クーリルなら風で情報をやり取りできるであろう?」

「はい、できますけど……」

「これから先、ユウ殿は魔族に狙われ続けるじゃろう。そこでおぬしがユウ殿と普段は同行し、いざという時はクーリルを使って妾に連絡をくれれば、エルフの者達をユウ殿達の助っ人にできると考えておってな」


 確かにそれはそうかもしれないけれど、そもそもエルフの人達を僕らのいざこざに巻き込むつもりはないんだけどね。

 赤崎くんや佐野さんが僕の気持ちを代弁するかのように告げると、アリージアさんは呆れたような表情を浮かべて嘆息した。


「戯けた事を言うでない。元より、異界の勇者であるおぬしらこそ巻き込まれた側であろうに。それに、世界樹を――このラティクスを救ってくれたおぬしらの力になりたいという声は今もあがっておる。無論、妾もじゃがの」

「って言っても、リティさんはどうなの?」

「……驚きました……けど。でも、私も恩を返すために、力になれるのなら行きたいです」


 先日の戦い以降、リティさんは以前のように何に対してもおどおどしているというか、どこか頼りなかったものではなくなっている。もっとも、まだまだ無防備っぷりは健在みたいだけれども。

 それでも、自分の意思で、まっすぐ僕の目を見て答えるリティさんの瞳には、強い意思の光みたいなものが感じられた。


「……どう思う、エルナさん」

「【精霊魔法】は魔法陣が浮かび上がらないので、あまり街中でも目立たずに力を行使できます。そういう意味で、ユウ様の護衛としては適任かと思いますが……」


 そこまで言って、エルナさんはリティさんをまっすぐ見つめた。


「アルシェリティアさん」

「はいっ」

「他の勇者様がたはもちろんのこと、聞いた話によれば、ユウ様は魔王に目をつけられていると言っても過言ではありません。それは即ち、ユウ様と行動を共にすれば、命の危険がそれだけ大きくなるという意味を理解していますか?」

「それぐらい、十分理解しています」

「それでもなお、ユウ様について行く、と?」

「……私、ずっとずっと、子供のままだったんです」


 そう端を発してリティさんが語り始めたのは、この戦いが起こる前までのリティさん自身についての話だった。どこかまだ子供のままの気分が抜けず、ただただ漠然と物事を知り、覚悟もなく流されるように生きてきた、とリティさんは語った。


「――けれど、それが間違っているって気付けたのは、ユウさんのおかげです。まだまだ未熟だと思いますけど――それでも、これからユウさんと一緒にいれば、私はもっと変わっていける。もっと強くなれるって、そう思っています。だから、私はユウさんと一緒にいたい」


 一緒にいたい、とまでリティさんが口にした瞬間、なんだか赤崎くんやアリージアさんから、ニヤニヤした笑みを向けられた。

 真剣な話しだって言うのに、何を二人して曲解してるのさ……って、ルシェルティカさん。あなたもか。


 ――正直、買い被りだと思う。

 僕は僕の為だけに動くし、僕自身と一緒にいたって人はそうそう成長なんてしないんじゃないかな、と思う。聖人君子よろしくなんでもかんでも救おうなんて考えていないし、むしろ我儘な部類の人間だよ、僕は。

 気に喰わない事は絶対に受け入れないし、それを覆すためなら、なんだってしてやろうって思ったりもする類だ。うだうだぐじぐじと何かに固執するタイプでもないから、それだって気分が乗らなかったらあっさりとやめてしまうような、良く言えば「自由気まま」。悪く言えば「気分屋」な人間だ。


 だから――――


「リティさん、気持ちは嬉しいけど――」

「では、今後とも宜しくお願いします。ユウ様は猫のような自由奔放な方ですので、それだけは覚悟しておいてくださいね」


 断ろうと思っていた僕の言葉を遮るようにエルナさんが答えてしまい、そのままちらりと僕を見て、エルナさんが嘆息した。


「ユウ様。先程もちらりと申し上げましたが、今後あちこちの町へと行って魔導具を作る以上、護衛は必要です。私一人ではユウ様をフォローしきれない事が今回の件でよく判ってしまった以上、彼女のように護衛として専属になる者が必要です」

「えーっと、エルナさんじゃダメなの?」

「私は貴族の相手をしたりと、恐らく侯爵家の仕事もこなさなくてはならなくなります。それに、アルシェリティアさんは風の精霊と契約していらっしゃいます。索敵能力や情報収集能力という点では、私以上に護衛に適任と言えるでしょう」


 確かに、エルナさんの言うことにも一理ある。

 今回は迎え撃つ側にいて準備期間があったからこそ色々手を尽くせたけれども、今後はそうもいかない。

 知らない町、慣れない環境、準備期間のない戦いと色々な要素が集まってきた時、僕だけじゃ魔族に真正面から堂々と対抗できるはずもないだろうし。


 顎に手を当てながら考えている僕に、「それに」とエルナさんが続けた。


「ここまで言わせておきながら、断るなんて……空気読んでください」

「あはは、やだなぁ。僕なんて空気読む能力に長け過ぎてて、もはや空気と同じレベルにまで辿り着いてるっていうのに」

「悠は魔物にさえスルーされるからね」

「そういう意味なのかよ!? つか意味違ぇじゃねぇか、それ!?」


 細野さんの的確な補足に、赤崎くんのツッコミが飛ぶ。


「えっと、ユウさん。私、ついて行っちゃまずい、ですか……?」





 なんとなく、今にも泣き出してしまいそうな顔で縋るようにリティさんに言われて。更に、周りからは「ほれほれ、ちゃんと答えてやれよ、ん?」とでも言いたげな視線に曝されて。




「リティさん」

「……はい」




 結局僕は、なんだかんだではぐらかそうとしていた答えを、しっかりと言葉にして告げる事にした。








「――まずはエルナさんとレベル上げして、冒険者として鍛えてね」









「へ……っ?」

「ここに来る時はクーリルに頼りっぱなしだったし、僕の中でリティさんが護衛っていうのは、そこはかとなく――どころか、いっそ不安で胸がいっぱいだよ。とりあえず、鍛え直してもらうところから始めようね」


 にっこりと、満面の笑みでそう告げた僕の言葉に、全員が固まった気がする。

 気のせいだという事にでもしておこう。







 ――――ともあれ、こうして僕のラティクスの旅は、新たな同行者である〈森人族エルフ〉のアルシェリティアさんの登場という形で、幕を下ろす事になったのであった。








第三部 FIN

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