夜は深い

「相変わらずデケェ家。」


何階建てだよ。10、11、12……まぁ15くらいはあるよな……デケェマンション。

の15階。1505


「来たぞ」


「いらっしゃい。今開ける。」


ガチャっとオートロックの鍵が開く音。

そして、


「ほら!喘げ!叫べ!泣け!このクズ人間!いや、人間でもねーな!豚が!クズが!底辺の底辺の底辺が生きてんじゃねーよ!」


「ありがとうございます……あ、あっ……」


数分後には縄を使って虎借を叩きまくる絵面に。


しっかり断っておくが俺にこんな歪んだ趣味はない。ただのクソ女の趣味に付き合ってるだけ。それ以外のナニモノでもない。


虎借 初。学校では真面目で落ち着いた印象の女だが本質はただのドMの変態。本人曰く1日一回本気で叩かれないで気分が悪くなるらしい。意味不明だ。

初とは中学で知り合いになりある出来事から初のこの狂った趣味を知りこの趣味の手伝いをすることになった。


「財布から1万もらうからな!死んどけ。クソ女!」


「あ、ありがとう……ございまし……たぁ……」


ヨダレを滴し恍惚の表情を見せる初。

財布からいつももらう万冊がこれをする対価になっている。


「あっつ……約1時間半で1万か……割に合うのかどうなのか」


時刻はもうすぐ23時。羊にはまだ用がある。


人通りが少ない時刻。人通りの少ない公園のトイレの裏。


「あ、よーきたぁ~。おそいよ~」


南菜はいた。いつもの様にニコニコして


「見て~これ~すごくな~い?」


血まみれのナイフを持ち人の首を引きちぎりながら。


「にししっ~。ど~?びっくりしたぁ~?」


「あぁ、びっくりだな。俺がお前に買ってやった白い服でお前が今来てることにびっくりだわ。」


「え~。そこ?」


「お前が白い服欲しいって頼んだからわざわざ買ったんだぞ。なのにお前3日ともたないよな。」


「ちがうよ~4日もったよ~」


「変わらねえよ。何も。」


「え~。白い服よりこれでしょ。これ~。この死体~。びっくりでしょ?」


「……それは誰だ。」


「あ、この死体~?しらなーい。いつもみたいにぱっと見つけてぱっとやったからー名前もなんにもしらなーい。」


「お前、それで何人目だ。」


「わかんないよー?5を超えたら数えるのだるくなるじゃん?」


「……16だ。今日で16。」


「数えてるのー?えー、よーえらーい!」


「毎回毎回今日来て、ってくるんだから何人目とかも分かるだろ。いちいち呼ぶな。」


「えへへー。よーに見てほしくてー。」


「汚いプレゼントだな。」


「えへへー。でもよく言うじゃんー?猫が獲物捕まえたら見せるー、って」


「お前は猪だろ」


「しつれーな。人間だよ~」


猪待 南菜、コイツは殺人鬼。

幼馴染みでずっーと一緒にいるがいつからかこんなことになっていた。確かに家庭環境は普通とは違ったかもしれない女だったが普通ってなんだよ。って話になるからそんなので否定するなんて意味不明だからな。

だが明確に変わったのは中学3年頃から、

そして今のコイツは


「早く帰れ。またどーせニュースになるんだよ。だから早く帰って寝とけ。ちょっとほとぼりが冷めてからまた学校こい。お前は」


「えへへー。よー、相変わらずやさしー。」


「夜更かしの美容の大敵だぞ。はよ、寝ろ。」


「にししっ~。うん、またね~。」


連日この街を賑わす犯罪者。それがこの南菜の正体だ。




「おい。またついてきてんのか。お前。」


「あらら~。またバレちゃった~」


木の影からニコニコと出てきたのは


「犬井。お前またか。」


「だからー。犬井じゃなくてララって呼んでよー!またはハニー!」


「何でずっとついてくるんだ。お前は。」


「ララ」


「何で」


「ララ」


「ずっと」


「ハニー」


「ついてくるんだ。」


「ハニー」


「お前は」


「もーう、いけず~。羊くんたら~」


「質問に答えろ。何でついてくるんだよ。」


「羊くんがいる場所ならずっとついていかないといけないじゃん?」


「理由にならない。」


「好きだから」


「理由にならない。」


「好きだから」


「理由にならない。」


「好きだから!ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっーと一緒にいたいから!だから!」


犬井ララ。学校では姫だとか言われて告白を受けまくる美少女、らしいが

本質は


「気持ち悪ぃ」


「愛は少し気持ち悪いくらいがいいんだよ!」


ただのストーカー。


「気持ち悪いって言うなら羊くんも言えないはずだよ?」


「は、」


「どんな時も冷静で表情すら変えず感情もほとんどない。いつも達観していてかつドMも殺人鬼もストーカーも気にもしてない。そんな羊くんが一番おかしいんじゃない?」


「………何言ってんだよ。」


「まぁ!私はそんな羊くんが好きなんだけどね!」


「あっそ。俺は気持ち悪いとしか思わないが」


「大丈夫だよ。イカれてるモノ同士仲良くできるよ!」


「誰がイカれてるだ。一緒にすんな。」


「あ、そうだ!私の家今、水道止まる予定だから羊くんの家にこれから住んでもいい?」


「消えろ。失せろ。」


はぁぁ。また今日も寝れない。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る