士官学校を出たばかりのソーン少尉が配属された先は、予言編纂局という名の変わった部署だった。
そこは「予言の姫」による神託を広く国民に伝えて国を一つにまとめ、さらには政局を操るための機関である。
ソーン少尉は姫の護衛のために、上官のヴァンス少佐に連れられてとある館に向かう。
そこで使用人の手を焼かせるようなオテンバでありながら、どこか大人びた雰囲気をも合わせ持つ「予言の姫」・リリアーナと会う。(本人はリリと呼ばせたいようだ)
さっそく仕事の一部始終を見ることになるのだが、どうやらリリが予言者であるというのは嘘のようで……。
予言による国内統治、そして諸外国の反応……この世界観の構築には魅了されました!
そして「予言の姫」を軸に生まれる国内での政治的対立も、リアリティ抜群!
この世界観の中で展開される物語が面白くないわけがありません!
さらにはキャラクターたちの個性が爆発しております。
リリとヴァンス少佐の仲良し関係、新人ゆえに戸惑うソーン少尉、仕事ができそうにないが交渉術だけズバ抜けてすごいスタンホープ中佐、敵中に潜り込むウィリアム。
そしてこの中に、海外に情報を流すスパイがいる!?
この展開もドキドキでした!ぜひとも推理してみてください!
かつての世界大戦の影も色濃く、物語を重厚に仕上げております。
素晴らしい傑作、超オススメです!!!
普段はホラー小説を主戦場にしている仁木一青さんが書かれた、ミステリー&アクションものです。カクヨム10出品作です。
とても、血沸き肉躍る小説でした。ホラー以外の作品もよいですねー。
舞台は、第一次大戦後のイギリス風のある国。その国のリリアーナ姫は、国民に予言を下すことで治安を維持しています。しかし、その予言を肯定する覇声派もいれば、魔女の言葉として弾劾する断声派もいて、思想対立は激化し、スパイが暗躍してテロも頻発。
そこで、予言を管轄する予言編纂局は、断声派弱体のため、ある一策を講じます。
ネタバレがアレなので、このくらいにしますが、予言の真偽も含めて、複雑に絡み合った謎ときが鮮やか。プランFの正体を明かされた時には「そういうことだったのか。。」と愕然と致しました。
それからキャラ造形がとてもいい! 主人公のジュリアン少佐は骨太の軍人で割合普通の人ですが、予言局長のヘラヘラしたスタンホープ中佐、スパイなのかつかみどころのないウィリアム、お転婆で可愛らしいお姫様のリリアーナ、そして真面目で実直が取り柄(に見えた)ソーン少尉、それぞれの書き分けが出色でした。
これは紛れもない傑作ミステリー&アクションです。
是非どうぞ!
とある国に、予言の姫がいた。
宝石のように青い瞳を有し、アッシュブロンドの髪を持つ、十歳の姫の名前はリリアーナ。
天真爛漫な立ち振る舞い。奇想天外な発言をする彼女はこの国では予言の姫として知られ、多くの者は彼女のことを熱狂するように信じていた。
物語は、本作の主人公であるジュリアン・ヴァンス少佐と、ソーン少尉が、前述したリリアーナ姫と会うところから始まるのだが——といったお話です。
読んでいて、とても面白かったです。アクションとミステリの合わせ技なのですが、フェアな謎解きの面と、ストーリーの面白さ、そして作者である仁木様の非常に綺麗かつ繊細な文体が作品をより引き立たせていると思いました。
キャラクター性や物語のフックも、読者が読んでいて引き込まれるようになっており、時間を忘れて一気読みしました。話の内容だけではなく流れるように美しい文体と主人公のツッコミがより作品の読みやすさを高めていると思います。
どんな人にもおすすめな、ミステリー×アクションの最高峰だと思います。この物語の結末を、今すぐに読んでいただきたいです。
ぜひ、ぜひご一読ください!
こんな作風を隠し持っていたとは、と仁木様の筆の多彩さに戦いています。
普段は短編ホラーを中心に執筆されている仁木様が、今回はアクションミステリーに挑戦! 物凄いクオリティーの作品がここに誕生しました!
登場する主なキャラクターは「予言の姫」ことリリアーナ、視点人物のヴァンス少佐、少佐の上司(?)みたいな立ち位置のスタンホープ中佐、新米のソーン少尉。あとはスパイのウイリアムなどなど。その誰もが強い個性を持っており、小説にスパイスを加えています。スパイスというかもはやメインディッシュか。
特にリリアーナ(通称リリ)とヴァンス少佐の信頼関係が読んでいてホッコリします。リリはワガママだけどあざとく、少佐はそれを軽く受け流しつつも構ってあげる感じ。尊い。
スパイもののアクションミステリーなので当然ピリつくシーンもあるわけですが、リリたちのゆるっとした日常が描かれているおかげで、物語にメリハリがついています。ここが非常に秀逸だと思いました。
ロジックもよく練られています。伏線を前半部分に撒き散らして後半を示唆させる手腕は、手練れのそれとしか思えませんでした。ご本人もこだわった部分とのことで、そのことがとてもよく伝わってきました。
そしてミステリーの醍醐味、サプライズ。あまり多くを語るとネタバレになるので控えますが、上手すぎて感動すら覚えました。自分の信じていたものが何もかも覆されていく感覚は、ミステリー特有の読み味だと思います。
さらにさらに、読めば読むほど尻上がりに面白くなっていくのが本作の凄いところ。それでいて導入部分は読者を惹き付けるフックとして抜群の出来です。
なんか全てを褒めまくっていますが、美辞麗句を並べ立てているわけでは断じてありません。普段ミステリーを書く者として、めちゃ心を動かされてしまいました。
三方良しのアクション×ミステリー。是々非々ご堪能いただければと思います!!!
ある国には、予言を詠う姫殿下がいた。彼女を守り予言を通す国家機密機関、「予言騎士団」。まだ二十代半ばのジュリアン・ヴァンス少佐もそのひとりだ。
彼らは自嘲を込めて自らを「偽予言騎士団」と呼ぶ。その理由とは――。
読んでいると情景が脳裏に浮かびます。世界観がしっかりと構築されており、その世界に「予言を与える姫殿下」という魅力的なキャラクターであるリリアーナを中心として、ジュリアン・ヴァンス少佐が魅力的なキャラクターとして隣を固めています。
「予言の姫」を盲信する輩もいれば、反対に否定派もいて、どうやら内部にはスパイもいる様子…。姫殿下を守るのもたいへんです。
「予言の姫」という存在が政治・軍部の上にあり、その予言の姫であるリリアーナが、神秘的でもあり、けれど10歳の子どもらしく抱っこをせがんだりと天真爛漫で可愛らしい。
理知的で冷静。先の大戦の英雄だけれど、どこか人間味溢れるジュリアン・ヴァンス少佐とのコンビは、胸をくすぐられるほど魅力的です。
世界観・キャラクター共に秀逸で惹きつけられるのです。
全10話でとても見事に綺麗に纏っていますが、短編でも中編でも長編でも良いからもっと彼らを見てみたいと思わされました。
本当に面白かったです!
どうか、ぜひ読んで下さい。そしてこの世界に浸って下さい。
強くオススメします。ぜひ…!!
世界観が凝っていて、キャラクターもみんな立っているし、秀逸な異世界ミステリー作品でした。
この作品はある国にいる予言の姫という存在を中心とした物語です。
彼女の名はリリアーナ。
リリアーナの予言は悲劇を未然に防ぐらしく、四年続いた戦争を終わらせたのも彼女の功績のようです。
いったい、どんな子なのだろう、と思っていたら、ベッドの下に隠れたり、抱っこをしてほしがったり、わがままでお転婆なキャラでしたが、しかしそこがとても魅力的です。
そんなリリアーナの側にいて、彼女を守るのがジュリアン・ヴァンス少佐。
彼は大戦の英雄らしいですが、天真爛漫な姫に振り回されて苦労しているところとか、なんだか親しみが持てます。
そんな二人ですが、いろいろとトラブルに巻き込まれます。
予言は一見ただありがたいものですが、姫を崇める者や逆に疎ましく思う者や味方にスパイなんかもいたりするようで、苦難だらけです。
少佐は無事に姫を守りきれるのか……。
是非、この二人の行く末を実際に読んで、見届けてほしいです!
「予言の姫」という神聖な存在を軸に据えながら、その在り方に対して一歩引いた視点を提示する構成が非常に印象的でした。
冒頭の対比によって物語の立ち位置が明確になり、読者を自然に引き込んでいく導入は見事です。
語り手であるヴァンス少佐の人物像も魅力的で、理知的かつ冷静な観察の中に、わずかな皮肉や人間味が滲み出ている点が作品全体の読みやすさにつながっています。
その語り口によって、世界観の情報が過不足なく伝わる点も巧みでした。
また、描写の一つひとつが丁寧で、館や庭園の雰囲気が視覚的に浮かび上がるため、物語への没入感が高まります。
華やかさの中に潜むわずかな違和感が、今後の展開への期待を静かに膨らませてくれます。
導入としての完成度が高く、続きが気になる一話でした。