昔のある日、課長と『私』は二人で事務所に残っていました。そんなとき、ある一本の電話が、課長のガラケーにかかってきた。
課長の話振りから、初めはただの間違い電話に思えた。しかし、課長の口調はどんどん強くなっていき、感情をあまり出さない課長が、興奮してしまった。そして、課長は仕事を口実に電話を切った後、その電話の内容を『私』に伝えるのだが——といったお話です。
いやあもう、話の一番最初の文が全てでした。本当、こんな話ってあるんですね。
詳しいことはネタバレになるので言えないのですが、頭にガツンとくるような衝撃的なお話でした。
読んでいて肝が冷えたと言うか、そういうことかよ、と驚愕したと言うか。とにかく、面白かったです!
この短さで、こんな話にできるなんてすごいと思いました。
ぜひ、ぜひご一読ください!
いや、それでもそのオチにはびっくりしましたけどね?
本作で印象的なのは、何よりもリアリティです。
かかってきた電話の内容は間違い電話としてあり得そうな範疇ですし、その後の展開としても互いの興奮度合いから推察できる噛み合わない会話や、憤慨して思わず誰かに話したくなってしまった課長など、驚くほど自然な雰囲気が感じられます。
そして、冷静な第三者だからこそできる主人公からの提案も、実に現実的。
どこまでも真実味があり、実にリアル……だからこそ、そのまさかのオチに思わず変な声が出てしまいました。
そのオチも、淡々としているからこそ妙な生々しさを伴う真実味が感じられて、飲み込まれてしまうのですよね。
実に見事などんでん返しだったと言わざるを得ませんでした。
謎の電話を巡る結末、是非とも最後までご覧ください。
こちらの作品、ジャンルは「現代ドラマ」に設定されています。
が、どうしてか「ノンフィクションか……?」と思えてしまうのです。
内容は「ん⁉︎」となる結末を除けば何気ないものです。
語り手である「私」が課長と残業していると課長の携帯が鳴り、課長自身がそれ(間違い電話)に応じる──というものですから。
ただ、そうです、先に書きました通り「ん⁉︎」となる結末が待っています。
この「結末」のせいで、笑ってしまうのですがそれと同時に「どうかフィクションであってくれ!」と願わずにいられなくなるのです。
「なんだろう?」と「笑い」と「いやフィクションであってくれよ⁉︎」が押し寄せてくる掌篇。
ぜひぜひ!