文学的なミステリー作品

 主人公と同じクラスの降瀬至理という女生徒が数学のテストで百点を取り、周りを騒がせた。
 彼女は一学期と二学期の数学の点数がクラスで一番低かったからだ。

 主人公は彼女が不正をしてその点数を取ったのではないかと疑い、同じクラスの伊万里霧子という女性と降瀬がどのような手段で百点を取ったかを推理していく。
 これはそういうミステリー作品だ。
 仮説を一つ一つ立て、丁寧に検証しており、推理をする楽しさを本作では存分に味わうことができる。

 また、本作はミステリーである他に純文学作品の性質が強くある。
 梶井基次郎の『檸檬』が作中で話題に上り、本作の文章、また、登場人物の心情や関係性があの作品と深くリンクしている。

 一人一人のキャラの心理が丁寧に描写されており、ただの推理小説では終わらない、深い読み心地をこの作品は味わわせてくれた。

 最後まで読んで、私はこの作品がエゴイズムをテーマにしたものであると感じた。

 文学とミステリー、両方を高いレベルで兼ね備えたこの傑作を多くの人に是非読んでいただきたく思う。

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