夏の蒸し暑さと昭和の団地が放つ独特の閉塞感。
単位のために理事長の孫と嘘をついた大学生の楽郎と団地の規約を絶対視する美女の境那。
二人のやり取りは最初は甘酸っぱい青春のようでニヤニヤしてしまいます。
でも読み進めると背筋が凍るんです。
階段を走ってはいけないや夜間の外出禁止といったただの小言に思えたルール。
それが空き家さんという怪異を封じるための掟だと気づいた時のカタルシスがエグいです。
純粋すぎる境那の笑顔の裏に潜む狂気と日常が異界へと反転していく恐怖。
逃げ場のない団地の息苦しさがスマホの画面から溢れ出してきて完全に心を持っていかれました。