IT’S MY LIFE――35歳からのヤンキー鈴原を待つ結末とは
- ★★★ Excellent!!!
これまで「ヤンキー先生」や「ヤンキー予備校講師」など、ハングリー精神などから大成し、世間を驚かせる逸材を見てきました。
本作ではそれらとは逆行するように、これまで真面目に生きてきた中年男性エリートがまさかのガチなヤンキーへと転身する心理や生き様が描かれています。
主人公の鈴原貝星は超一流大学卒業後メガバンクに就職し、支店長代理まで昇進した最高年収1400万のエリート。
しかし二ヶ月前に退職し、現在は無職、独身。現在35歳の鈴原さんはなぜ職を手放してしまったのか。その真相に迫るモキュメンタリー仕様の物語です。
このまま平凡な毎日を繰り返す生活に疑問を呈する鈴原さん。彼はインタビューに応えると、中学時代ヤンキーだったと語る人物について訥々と打ち明けていきます。
その人物は現在ヤンチャ系YouTuberでの動画配信が人気を博し、自分の年収を超えられ、妻子にも恵まれた華やかな人生を送っているのだとか。
羨望の眼差しから彼のようになりたい、そんな不純な気持ちからヤンキーの道へ。
しかし、歳も歳、今まで真面目一辺倒だった彼。
いまさらヤンキーの真似事でカツアゲやケンカ、ナンパまで繰り出すのだからお約束のコメディ発揮の進行でございます。
そして最後はまさかの奇行を決行。これは流石にマズイだろ……と気になった方は読んでみてください。
今まで真面目だけで生きてきた人間にはその抑圧されてきた精神の捌け口が必要です。しかし、逃げ場を失った感情は爆発的な開放感からか、いつかどこかで道を踏み外してしまうのでしょう。人生は選択の連続ですから、短絡的な動機からふとしたことでその道を誤り、取り返しのつかない事態へと進みかねない。そんな遅きに失した憐憫含みのコメディホラーです。