第7話 みんなで飲みに行きまっしょっい
月曜の朝から、社内はいつもより騒がしかった。
来年度の新卒採用に向けた社内研修がスタートし、人事部全員が強制参加となった。
テーマは「多様な価値観を尊重した職場環境の構築」で、グループワーク形式だ。
俺のグループは、清香、瀬川先輩、小野坂の3人。
部長が「今回は外部講師も呼んでるからちゃんとやってね」と言い残して去っていった。
午前中はアイスブレイクから始まり、自己紹介の後に「最近の悩みや本音」を1人ずつシェアする流れになった。
最初は清香が軽く「最近、仕事ばっかりで恋愛ゼロですー。いい男を紹介してくだーさい」と笑いを取る。
瀬川先輩は少し間を置いて、「良好な職場…。まぁ、男性との距離感も大切ですよね。特に離婚してから、男の人を見る目が変わったかも。信用できる人が欲しいって、強く思うようになった」と静かに言った。
みんなが少し固まる中、先輩は「でも、だからこそ仕事に集中できてるし、そういう意味ではよかったかもしれないわね」と付け加えて誤魔化した。
小野坂は「私はもう、セックスしたい欲が止まらないんですよねー! でも本気の人じゃないと嫌だし、でも本気の人ってどうやって見つけるんですかね!」と俺をチラ見しながらそんなことを言ってくる。
俺はコーヒーを吹きそうになり、清香が「私はそれなりに溜まってるけど、そんなストレートに言えないわー」と笑いながらフォローした。
俺の番になると、3人の視線が一斉に集中する。
「……俺は、まあ……彼女できたことないし、プライベートは……まあ、適当に発散してるだけです」とぼそぼそ言うと、小野坂が「発散って、それ風俗のことですよね! みんな知ってるから大丈夫ですよー!」と明るく暴露してくる。
瀬川先輩が気まずそうに小さく笑い、清香が「本当、素人童貞とか恥ずかしいですよ。早く彼女作りましょう」と肩を叩いてきた。
議論はどんどん脱線。
清香が「残業ゼロで、社内恋愛OKにしたらみんな幸せじゃない?」と言い出し、小野坂が「社内恋愛OKなら、先輩と付き合いたいかも!」と俺を指差す。
3人が同時に俺を見て「どう?」と揃って聞いてきた。
俺は「いやいや、それは…」と逃げたが、心臓がバクバクしていた。
研修が終わって、いつもの仕事をこなして18時過ぎ。
瀬川先輩が「今日はみんなお疲れ様。せっかくだから、近くの居酒屋で軽く飲まない?」と提案してきた。
清香が「いいですね! 私、今日は飲む気満々です」、小野坂が「やったー! 二次会まで付き合います!」と即乗っかり。
2人に見つめられて俺も断れず、4人で会社近くの個室居酒屋へ移動した。
最初はビールで乾杯。
仕事の愚痴から始まり、すぐにまた恋バナにシフト。
瀬川先輩が2杯目で顔を赤くしながら「近藤の浮気バレた時、頭真っ白だったわ。あんなイケメンに裏切られるなんて思わなくて……」と本音を零し始めた。
清香が「先輩みたいな美人でもそんなことあるんですね……私なんか、いつもキープ止まりですよ」と言い、小野坂が「私は本気で好きになったら、逆に奥手になっちゃうんですよ!」と大声で叫ぶ。
俺はビールを控えめに飲んでいたが、3人が次々と俺に絡んでくる。
清香「先輩はー、風俗でどんなプレイ好きなんですか? 教えてくださいよーもしかしてー、赤ちゃんプレイとかー?」とからかってくる。
「普通だよ、普通。ノーマルだ」
瀬川先輩「ちなみに山本くん、私達のことどう思ってるの? 正直に言ってみなさい」と迫られる。
俺が「いや、みんな綺麗だし優しいし……」とモゴモゴしていると、3人が一斉に「可愛いー!」と叫んで俺の肩を叩きまくる。
2時間後、瓶ビールが10本以上空き、日本酒も回り始めた。
清香が「もう限界……でもまだ飲みたい……」とテーブルに突っ伏し、小野坂が「私、今日は帰りたくない! 先輩の家また行きたいー!」と俺の腕に絡みつく。
瀬川先輩は上着を脱いで胸元がかなり開き、「暑い……山本くん、近くに来てよ……」と俺の隣にぴったり寄りかかってきた。
俺は完全にパニック。
3人とも目がトロトロで、言葉が回らなくなっている。
清香は「先輩……私、実は……先輩のこと……」
小野坂も「え、私も……先輩、好き……かも……」
瀬川先輩まで「私も……もう我慢できない……山本くん……」
3人が同時に俺に視線を集中させた瞬間、俺のスマホが鳴った。
可憐からの着信だったが、慌てて電話を切った。
結局、店を出る頃には4人とも千鳥足。
タクシーを2台に分かれて乗ることにしたが、清香と小野坂が「先輩と一緒がいい!」と俺のタクシーに乗り込み、瀬川先輩は「私も……」と最後尾に座った。
タクシーの中で3人が俺の膝に頭を乗せたり、腕に絡みついたり。
運転手さんがチラチラ見てるのが分かる。
俺のマンションに着いた時には、3人ともほとんど意識が朦朧としていた。
エレベーターで清香が「ここ……先輩の匂い……」と俺の首筋に顔を埋め、小野坂が「脱いじゃおうかな……」とシャツのボタンを外し始め、瀬川先輩が「山本くん……抱きしめて……」と俺の胸に倒れ込んできた。
部屋に入ると、3人はそのままソファや床に崩れ落ち、服が乱れまくった状態で寝息を立て始めた。
俺は放心状態で、3人に毛布をかけてやるしかなかった。
リビングの床に座り込みながら、俺は思う。
……これ、どうすりゃいいんだよ。
外ではまだ雨が降り続いていて、部屋の中は3人の甘い息遣いとアルコールの匂いで満ちていた。
俺のスマホが再び振動した。可憐からのLINE。
『明日の夜、空いてますか?』
俺は返事を打てず、ただ画面を見つめるしかなかった。
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