それは神の仕業

しゃもこ

それは神が

 また「これ」か。


 私はため息をついてリセットボタンを押した。その瞬間、時が巻戻る。


 どうしてもうまくいかない。


 登場人物達のありとあらゆる組み合わせを試したが、どんな組み合わせでも最終的に見つけてしまう。アレを。


 断層に浮かび上がる白い骨。ひとたびソレに触れた瞬間に世界は軋み出す。だってアレはスイッチなのだから。


 大混乱モードの。


 そのモードに入れば、たちまち空は割れ海は逆巻き人々の心はどす黒い疑いに傾く。やっちまう度に地球の皆様ごめんなさいと私は胸の奥でつぶやく。今この星で起きている災厄は全て私の失敗の余波。


 登場人物の誰かが化石に触れずにセーブポイントに辿り着かなければ次のターンへは進めない。次のターンへ進むことができなければ、永久に同じことを繰り返すだけだ。そんなことをしていたら、そのうち地球はボロボロになってしまう。


 私は椅子の上で膝を抱えて考え込む。ペアを組ませる発想自体が間違いなのかもしれない。


 いっそのこと地球人全員で行かせるか、それとも誰か一人にするか。古地図などなければいいと思うが仕方がない。その存在は初期設定だから消すことはできない。そして、蛇は既に何度も月に溺れてしまっている。


 この辺は前任者の運用ミスだがそれを責めても仕方がない。前任者は既に神を辞めている。


 急がなくてはならない。しかし焦ってはいけない。もう失敗はしたくない。


 少し休憩しようと羽を伸ばす。私の背中の羽はまだ小さいからうまく延ばせない。

 

 隣の卓では、千歳を超える先輩神たちが大きく羽を伸ばしながら、余裕で他星を運用している。


 焦らなくていいよ。みんな失敗して大きくなったんだから。神々は笑う。


 しかし、私は笑えない。そんな余裕は無い。知っている。神々が今までにいくつもの星を壊してきたことを。そこに生きる者たちを消したことも。


 あれぐらいのマインドにならないと、この仕事は務まらない。しかしそれは、神としてどうなんだろう。


 私はまたため息をついた。人間たちは気づいていないだろう。こんなど素人の新人が自分の住む星を担当しているなんて。


 地球人の祈りは私に届いている。祈りも怒りも願いも呪いも全部。


 でも、それを叶えられるかどうかは神の力量次第なのだ。ごめんね。私はまだ未熟で聞くことしかできない。


 もう一度、深呼吸する。


 震える指でスタートボタンを押した。待ってて、人間。今度こそ、うまくやるから。今度こそは己の弱さに溺れぬように。


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それは神の仕業 しゃもこ @syamcoHEIZAN

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