完璧な復讐の先に残った、消去不能な記憶の物語

復讐は完遂された。

けれどこの物語が真に描くのは、
血の繋がりを裏切られた男が、
それでも消せなかった「時間の絆」の重みだ。

IT技術者・匠の冷徹な復讐劇は、
バグ、デバッグ、ソースコードといった技術用語を比喩に織り込みながら、
精密なプロジェクトのように進行する。

その手際は鮮やかで、痛快ですらある。

だが本作の凄みは、復讐の先にある。
サイドストーリーで加害者たちの末路を容赦なく描いた後、
後日談で物語の色が静かに変わっていく。

「呪い」だと思っていたものが「祈り」に変わる瞬間、
この物語は単なる復讐譚を超え、
家族とは何かを問い直す物語になるだろう。

その他のおすすめレビュー

藤澤勇樹さんの他のおすすめレビュー375