徳とは

千姫事件を扱った、歴史ミステリーともいえる本作。

板崎直盛が主人公であり彼の示した亡き友への友情、柳生宗矩との言葉を受け入れ自害に果てる様も、燦然と燃え盛る「徳」なのでしょう。


ですが、柳生宗矩。
彼が直盛の死後に示した行いこそ、私には「徳」の形だと感じた。

「宗矩は変わらず二蓋笠を使いつづけた」

最高権力者の意向に抗い続ける。その理由も共感も、誰にも求められない。
不撓不屈たるを淡々と「続ける」

その在り様こそが「徳」であると。


未読の方には、是非ふたりの「徳」の示し方を体験して頂きたい。


付記すると、宗矩も直盛も、若き日はむしろ欠点の多い人物だったことです。
彼が年月とそれぞれの友誼を経て変化していく様子も、楽しんで頂けると思います。

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