第6話 失敗作を定義しよう

 俺は斯詠かくよむ書浪かきろう。総合ランキングを狙って異世界ファンタジーを書き始めた。だが上手くいっていない。


 さて、新作はまだ序盤だ。

 だが、二週間ほど反応を眺めていて、薄々わかっていた。


 ――この作品はダメだ。

 俺は二十話あたりで見切った。


 心のどこかで希望はある。もしかしたら百話まで続ければ、突然跳ねるかもしれない。

 コメント欄には少しずつ見慣れた名前が増えてきた。

 この作品が好きだという人もいる。


 だが毎日更新はきつい。余暇のほぼ全部を食っている。


 俺は、この作品は失敗だと感じた。

 このまま書き続けても『参勤人生』みたいには伸びない。そう確信した。


 打ち切ることにした。

 読んでくれている人には申し訳ない。

 だから俺は、エタらせずに完結させることにした。

 主人公たちには、せめて目的だけは達成させたい。

 読者の記憶に「このキャラは幸せになった」と残して終わりたいからだ。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇


 メモ帳パンダです。


 今回は実はあまり語りたくない、重い話です。


 まずは斯詠かくよむくんではなく、僕の話をします。

 僕は自作には『失敗作』と『成功作』しかないと思っています。

 もちろん、よそ様の作品にそんなことは言いません。

 自分の作品にしか目を向けていません。


 そして、僕は失敗作を定量的に判定したいタイプです。

 僕は成功の条件をあらかじめ決めています。

 条件は一つ。『僕の作品一覧に残したい作品かどうか』です。


 そして、その目標を満たせない、あるいは見込みがないと判断したら即打ち切ります。

 『読者がどんな物語を求めているのかを考えるべきだ』とよく言う人がいます。

 だけど僕はその前に『作者がどんな物語を求めているのかを考えるべき』だ、と考えています。

 以下が、僕が求める“成功作”の条件です。


 ①最低限のPVがあること

 一番大事です。だってPVが全てです。

 僕は一日あたりのPVが10000を下回る作品は打ち切ります。

 新作は一か月ほど猶予しますが、それでも届かなければ機械的に切ります。


 ②書きやすいテーマ

 一日2000字の執筆に耐えられるテーマが必要です。

 カクヨムは一日1投稿しなければPVを稼げません。

 歴史や重厚ファンタジーは調べ物が増えるぶん、相対的に不利です。

 「書きにくい」だけでは切りませんが、他の条件と合わせて判断します。


 ③コメントが多い作品

 意外かもしれませんが、PVグラフを眺めるだけではやる気は出ません。

 応援コメントが多いとやる気が出ます。

 1回の更新でコメントは10個ほしい。5個以下だと、かなり落ち込みます。

 とはいえPVとは比例しないので、参考程度です。


 ④完結時にある程度の星があること

 作品一覧で★が低いと見栄えが悪いので、★2000くらいは欲しいです。


 さて、この判断基準だと僕は3勝3敗くらいですね。

 失敗作3本のうち2本は、自問自答した末に40話あたりで完結――というか、割と無理やり打ち切りました。

 1本はまだです。これも完結させたい。


 こう聞くと僕が無感情なサイコパスだと思う人もいるでしょう。

 そんなことはありません。

 作品には当然愛着があります。自分の人生観を乗せて、物語を厚くしているのだから。


 僕は、40話を過ぎて跳ねないなら、もう跳ねないと思っています。

 そもそも二十話あたりで一番面白くなるように設計しています。

 自分で言うのもなんですが、そこを超えるとダラダラ更新しているだけになります。


 上の四条件を満たす、つまり自分の作品一覧を豊かにしてくれる作品以外は世話したくない。


 と、自分語りしたところで彼の話を見ていきます。


 > 俺は二十話あたりで見切った。


 この辺りで、自分の尺度で成功か失敗か判定するのを勧めます。

 失敗でも、リカバリ策を考える機会になります。

 二十話だと少し早い気もしますが、人それぞれです。



 > コメント欄には少しずつ見慣れた名前が増えてきた。

 > この作品が好きだという人もいる。


 これが心苦しいんです。

 僕の失敗作は★500くらいは余裕で行きます。

 それくらいになると、作品がすごく刺さる人が出てきます。

 最後の方は不穏な空気を感じ取っているのか、懸命に励ましてくれるんです。

 だけど僕は打ち切ります。本当にごめんなさい。



 > だから俺は、エタらせずに完結させることにした。


 これは大事です。失敗作でも完結させてください。無理やりな完結でいいです。急に男坂をのぼらせてもいいです。


 斯詠かくよむくんのポエムのためじゃありません。

 新規読者が付いたなら、その人たちが作者フォロワーになってくれる機会を逃すのはもったいない。


 それに既存読者にも効きます。「この作者は完結させてくれる」と示せるから。

 自作の完結は、その一番わかりやすい『信用』になります。

 カクヨムでは多くないですが、完結至上主義の読者もいます。

 ちなみに僕は完結至上主義です。エタはやるべきではないと思っています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る