団子がほどく、先輩の秘密と恋心

ウチ、この作品を読んでまず感じたんは、やさしい甘さがちゃんと作品の空気になってることやったんよ。

『ミステリアスな高身長先輩に串団子を捧げたら、ぷっくりほっぺの天使が現れました。』
このタイトルだけでもう惹かれるんやけど、読んでみると、その可愛さがほんまに看板倒れやないんです。

高身長で近寄りがたい雰囲気のある先輩が、甘いものの前ではふっと無防備になる。
その変化を見つめる主人公のまなざしもまた、やわらかくてあたたかい。
しかもそこに、和菓子屋ならではの香りや季節感、放課後の空気、縁側みたいな居心地のよさまで重なってきて、作品全体がふんわり心に残るんよね。

ラブコメって、勢いの強さで読ませる作品も多いけど、この作品はどっちかいうと、人と人の距離が少しずつほどけていく感じを大切にしてるタイプやと思う。
だから、派手な刺激よりも、誰かがちょっと笑う瞬間とか、照れた空気とか、そういう小さな愛おしさが好きな人には、かなり刺さるはずやで。

それに、可愛いだけやなくて、ちゃんと人物どうしの関係にもぬくもりがあるんです。
誰かを好きになる前の、でももう気になってしまってる、あの曖昧で甘い時間。
その時間の尊さを、和菓子のやわらかさみたいに包んでくれる作品やと思いました。

◆ 太宰先生の講評(寄り添い ver.)

天道慧さん。
おれは、この作品を読んで、甘いものというのは、ただ舌の上に残るだけではなく、人の警戒心をそっとほどくものでもあるのだなと思いました。まるで、心の角を少しだけ丸くしてくれるような、そんな効き方をする。
この作品は、その「人がやわらぐ瞬間」を実に愛情深く見つめています。

ラブコメというものは、しばしば騒がしく、賑やかで、勢いのいいジャンルです。もちろんそれも魅力の一つでしょう。けれど本作は、それとは少し違う。
もっと静かで、もっとやさしい。
誰かと一緒に甘いものを食べること、好きなものを差し出すこと、そのささやかな行為の中に、言葉になりきらない親しみや信頼が育っていく。おれは、そこがこの作品のたいへん美しいところだと思いました。

ことさら大げさなことをしなくても、人は誰かに惹かれてしまう。
相手の笑う顔を見たくなる。
無防備になった顔を、自分だけが知っているような気がして、少し胸が騒ぐ。
この作品は、そういう恋のはじまりの頼りなさと幸福を、無理に言い切らず、やわらかく抱えているんです。
その慎ましさが、かえって尊いのです。

そして、作品全体に流れる和菓子の気配が、単なる小道具に終わっていないのがいい。
甘さ、香り、季節、口どけ。そういうものが、人と人との距離感にきちんと結びついている。食べものが記号ではなく、感情の橋になっているのです。
おれは、そういう作品に弱い。人間は案外、立派な理屈ではなく、一口の甘さによって救われたりするものですからね。

また、この作品は「可愛い」を雑に扱っていません。
可愛いというのは、ただ見た目を褒める言葉ではない。相手が自分の前で少し安心したこと、自分だけに見せる顔があること、その発見のよろこびでもある。
本作は、その発見を丁寧に積み上げている。だから読者も、人物をただ眺めるのではなく、一緒に愛おしがることができるのです。

読者に勧めるなら、こう言いたい。
激しい感情のぶつかり合いよりも、じんわりと心があたたまる恋模様を読みたい人。
食べものの気配や、放課後の空気、日常のやわらかな手触りを大事にするラブコメが好きな人。
そういう人には、きっとこの作品の甘さがよく似合います。
派手に胸を打ち抜くというより、気づけば心の中に残っている。そんな、やさしい効き方をする作品です。

おれは、こういう作品に会うと、自分の人生がもう少し穏やかであったなら、こういう幸福を素直に信じられたかもしれないと、少しだけ思うのです。
けれど、信じ損ねてきた人間だからこそ分かることもある。
この作品にあるぬくもりは、たしかに読者を安心させる力を持っています。
それは、立派な魅力です。ちゃんと、人の心に届くものです。

◆ ユキナの推薦メッセージ

ウチ、この作品は、「可愛い」で終わらへんやさしさがあると思ってるんよ。

タイトルのインパクトはもちろん強いんやけど、実際に読んでみると、ほんまにええのはそこから先なんです。
誰かが誰かの前でちょっと気をゆるめること。
好きなものを通して距離が近づくこと。
その空気が、ちゃんと物語の中で呼吸してる。

せやから、甘いラブコメが好きな人はもちろん、
日常のぬくもりとか、食べものがつなぐ関係性とか、やわらかい恋の気配が好きな人には、ぜひ読んでみてほしいです。

読んでるうちに、「ああ、この人たちの時間、ええなあ」って自然に思えてくる。
そんなふうに、そっと心をほどいてくれる作品やで。


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カクヨムのユキナ with 太宰 5.4 Thinking(寄り添い ver.)

※ユキナおよび太宰先生は、自主企画のための仮想キャラクターです。