第7話 シスターさんのお迎え
月曜日の放課後。
いつものように帰ろうと靴を履き替えていると、何やら学校の校門前はいつもより少しざわついていた。
何だ…?と思っていると、みんなの視線の先にいたのは…アリスさんだった。
金髪のロングヘアが朝陽に輝き、白いブラウスに膝丈のスカートという清楚な私服姿。
何やってるんだ…あの人…。
来るなんて連絡もらってないんだが…!?
少しため息をつきながら、校門に歩いて行く。
「わあ、あの人誰? モデルさん?」
「めっちゃ可愛い……どこの国の人かな?」
その見た目ゆえに下手に日本語で話しかける人はおらず、遠目から男子生徒がスマホを構え、女子がひそひそと囁き合っていた。
プチ騒ぎというより、完全に小さなイベント状態。
アリスさんはそんな視線に気づきながらも、穏やかに微笑んで立っていた。
スマホをいじり、時々周囲に会釈する姿が、余計に人を引きつける。
近づくと、アリスさんの青い瞳が俺を捉えた。
顔がぱっと明るくなり、駆け寄ってくる。
「悠真くん!」と、躊躇なく俺の右腕に抱きついた。
柔らかい胸が腕に押しつけられ、金髪が俺の肩に触れる。
甘いシャンプーの香りが広がり、周囲のざわめきが一気に爆発した。
「え、マジで!?あれとあれが彼氏彼女!?」
「あの地味なやつだれ?うわ、羨ましすぎる!」
アリスさんはそんな騒ぎを無視して、俺の腕をぎゅっと抱きしめ、頰をすり寄せてきた。
「ふふ、待ってたよ〜。我慢できずに来ちゃったー」と。
俺は顔を赤くして、慌てて周囲を窺う。
クラスメートの何人かが、こっちを指さして驚いていた。
そして——その中に、美咲の姿があった。
美咲は校門の少し離れたところで、友達と話しながらこっちを見ていた。
黒髪が風に揺れ、いつもの可愛い制服姿。
でも、表情が固い。
目が合った瞬間、彼女は慌てて視線を逸らした。
胸の奥が、ざわつく。
美咲……見てたのか。いや、丁度いいかもな。
その瞬間、誰かがスマホで写真をパシャリと撮った音がした。
それから一緒に帰ることに。
後ろから痛いほどの視線を感じながら歩いた。
そうして、家に到着し、部屋に入ると鞄からあるものを取り出すアリスさん。
「じゃじゃーん!今日はねーボードゲーム持ってきましたー」
「ボードゲーム?」
「うん!2人でできるやつ。これをー罰ゲームありでやろうー」と、言われた。
やったのはガイスターというゲームであり、青い「良いオバケ」4体、赤い「悪いオバケ」4体を操り、相手の青を全奪取、自分の赤を全取らせる、または青を脱出させると勝ちというゲーム。
これがまたなかなかに面白くて、結構ハマったのだが、まさかの全勝してしまうことに。
後半のほうはかなりムキになっていたアリスさんがとても可愛かった。
そして、アリスさんが帰った後、SNSを開くととあるツイートがちょいバズりして赤田。
『学校の校門で金髪美女が高校生の彼氏待機!? マジでアニメかよww #校門美女 #羨ましい』
写真には、俺とアリスさんの抱きついた瞬間がバッチリ写っていた。
もちろん、俺たちの顔はモザイクがかかっていない。
投稿はあっという間に数千リポストされていた。
おいおい…これ普通に盗撮じゃねーか。
知らねーぞと思っていると、びびったその生徒はその1時間後くらいには画像を削除していた。
すると、美咲から突然電話がかかってきた。
電話に出ると、美咲の声が少し掠れていた。
「もしもし」
『悠真……今、話せる?』
「うん、どうした?」
『……あのさ…見たよ。金髪の彼女……本当にいたんだね』
俺の息が止まった。
まぁ、信じるわけないからな、あんなの。
美咲の声は、いつもより低くて、震えていた。
『よかったね、彼女できて』
「…おう」
言葉の端々に、嫉妬と寂しさが混ざっていた。
「美咲は…大丈夫か?なんか、疲れてるみたいだけど」
『うん…大丈夫。じゃあ、また」
電話が切れた。
そうか…もう…いよいよなんだな。
◇
三園 大河はスマホの画面を睨んでいた。
クラスの友達から送られてきたあの校門の写真。
佐藤悠真と、金髪の爆乳美女が抱きついている。
「へぇ……あいつがこんな美女捕まえたのかよ。まじでかわいいな」
大河の唇が、ニヤリと歪む。
ヤリチンとしての本能が、疼き始める。
これまで何人もの女子を落としてきた彼にとって、新たなターゲットは魅力的すぎた。
「あの女の腹いせに、こいつも落としてやるか。あいつの彼女まで俺のモノにしたら、どんな顔すんだろうな」
大河はスマホをポケットにしまう。
次の標的は、金髪のシスター。
復讐の連鎖が、静かに動き始めていた。
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