第6話 波打ち際で
土曜日の朝、俺の家にバイクのエンジン音が響いた。
窓から顔を出すと、黒い革ジャンを着込んだアリスさんが、フルフェイスのヘルメットを片手に笑っていた。
後ろのシートに、もう一つのヘルメットが置いてある。
「悠真くん! 今日は海に行こう!」
「……え、海? 急に?」
「うん。昨日のお泊まりで、悠真くんの部屋に海の写真が飾ってあったでしょ?あれ見て、急に連れて行きたくなったの。ほら、準備して!」
そう言われて俺は慌てて着替えることにした。
すると、何故か部屋に入ってきて、ニコニコしながら俺を見ていた。
「…えっと…アリスさん?出来れば外で待っていて欲しいんですけど…」
「お気になさらず♫」
「いや、俺が気になるというか…。一応海に行くなら下に海パン履くつもりだし、その…」
「お気になさらず♫」
そう言われたので、彼女に背を向けて着替えようとすると、正面に回り込んでくる。
「ちょっ!?//」
「良いじゃないですかー?別に〜。もう一度私はイチモツを拝見しているのですよ?」
「そういうもんじゃないから!//」と、無理やり部屋から追い出して、外に出た。
それから、アリスさんのバイクにまたがる。
アリスさんの乗っているバイクはなかなかにイカしたデザインをしており、男子が好きそうな感じのカッコイイデザインだった。
…これ、昔の男の車とかそういうのに影響受けてたとかだったらちょっと嫌だなー…。
そして、そう思いながら、アリスさんの腰に腕を回すと、その腕を使って胸の方に持っていく「いやん//エッチ//」と言ってくる。
「俺の意思じゃないんだけど!?//」
「でも、触れて嬉しいでしょ?」
「…はい//」
めちゃくちゃ…柔らかかった…。
「じゃあ、ちゃんと掴まってね。飛ばすよ?」
そして、エンジンが唸り、バイクが走り出す。
風が強く、俺はアリスさんの背中にぴったりとくっついていた。
金髪がヘルメットから少しはみ出して、風に舞う。
抱きついていると、彼女の体温が、背中越しに伝わってくる。
バイクの後ろに乗るなんて初めての経験でおっかなびっくりなところもあったけど、めちゃくちゃ気持ちよくて、ちょっとハマりそうになった。
そして、高速道路を抜け、30分ほどで海沿いの道に出た。
潮の匂いが強くなり、青い海が視界に広がる。
アリスさんはスピードを落とし、俺の太ももを軽く叩いた。
「気持ちいいね……悠真くんも、もっと身体預けて?」
海水浴場に着いたのは昼過ぎだった。
夏の終わりで人は少なかった。
俺たちは靴を脱いで砂浜を歩いた。
アリスさんは裸足になると、白い足が砂に沈む。
そうして、はしゃぐ彼女の手を自然と握っていた。
「悠真くんは海は好き?」
「……うん。小さい頃、家族で何回もきたかな。泳ぐの苦手だけど、海は好きだよ」
「海と私、どっちが好き?」
「海」
「即答!?」
「嘘です。アリスさんです」
言葉に出してから、後悔した。
自分の顔が一気に赤くなるのがわかった。
「ふふ…可愛いねー。私は海とかきたこと全然なくて、バイクに乗れるようになってからよく1人で来てたんだよねー。1人でから海も好きだけど、やっぱり好きな人と来る海はいいね」
彼女はそう言って、俺の腕に自分の腕を絡めてきた。
波打ち際で、二人で並んで座る。
「アリスさん…ごめん。その…付き合ってもらって、こういうこともしてもらってるのに…その…」
「そういうのは気にしなくていいから。だって、悠真くんは10年好きだった子だもん。巨乳で可愛いちょっぴりエッチなシスターさんが彼女になった程度じゃ、気持ちは揺るがないよね?」と、脇腹をツンツンしてくる。
「…あははは」
「おい、そこはちょっぴりじゃなくてめちゃくちゃエッチだろ、って言わないと」
「それはハードル高いですよ」
すると、アリスさんは俺の顔を両手で包んで、青い瞳を真っ直ぐに覗き込んだ。
それから、唇が重なる。
最初は優しく、すぐに熱を帯びて、舌が絡み合う。
彼女の革ジャンのファスナーを下ろすと、タンクトップの下の柔らかい胸が俺の胸に押しつけられた。
「ん……誰も見てないよね……?」
「…多分」
潮風と、アリスさんの甘い匂いと、波の音が混ざる。
「…はぁ、マジでラブ」
「ありがとう…ございます」
「私もそろそろお金たまってきたし、一人暮らししようかなー。そしたら、半同棲したいなー」
「…母さんなら許してくれそうではあるかも」
「だよね〜。よーし、頑張っちゃうぞ」
「俺も…バイトしようかな」
「えー?会えなくなる時間増えるのはちょっと嫌かも」
そんな話を波打ち際で2人で話すのであった。
◇
「…ねぇ、またするの?今日はしたくないんだけど…」
「いいから脱げって」
そうして私は半ば無理やり犯されるのであった。
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