第5話 お泊まり会

 そんないい雰囲気の中、部屋の扉が開く。


「あんたー、夜ご飯…」と、なんか良い雰囲気だったことを悟る母さん。


「あらぁ?タイミング間違えちゃった?」

「何しにきたんだよ!!」

「あんたが夜ご飯も食べずに寝るからー、夜ご飯どうするか聞きにきただけだけどー?」

「食べるから!」と、そのままアリスさんと部屋を出る。


 そのまま、3人で夜ご飯を食べた。

父さんはちなみに出張中であったため不在。


 母さんが遠慮なくどんどん質問してくる。


「それでー?いつから付き合い始めたの?てか、どっちから告ったの〜?」

「本当につい最近のことで…。一応、私から告白しました」

「がはっ!!アリスちゃんのほうからとか…!!」とか、過度なリアクションをとる母。


 そうして、ご飯を食べ終わると、母さんが興奮しながら「アリスちゃん、うちに泊まっていくでしょ!?お風呂とか入るなら準備するけどー?どうするー?」

「と、泊まりですか…?あぁ…えっと…ご迷惑でなければ…」と、チラチラと俺を見る。


「…泊まってほしい…かもです」


 そうして、正式にお泊まりが決定した。

しかし、俺はまだ頭が追いついていない。


 2人で部屋に戻り、ベッドに並んで座る。

そこから普通に話をした。

学校の話と、教会の話と…そしてひと段落すると、アリスさんが提案してきたのは——

「ねえ、お風呂、一緒に入る?」であった。


 俺の顔が一瞬で熱くなった。


「は、入らないよ…//」

「あれー?エッチなこと想像しちゃった?私、孤児院の子供たちのお世話もちょこちょこしてるけど、その時お風呂に一緒に入ったりしてるんだよ?背中を洗うの得意なんだよ?」とか言ってくる。


「そ、それは…子供の話ですよね?」

「…実は神父さんとも…」

「え!?」

「うっそーん!そんなエロ漫画みたいなことはないよー?子供だけでーす」と、イタズラな笑みを浮かべてくる。

シスター小悪魔である。


「でもね、本当に一緒に入りたいの。ダメ?」と、上目遣いで言われる。


「…わかった…」


 すると、アリスさんは照れくさそうに笑いながら、俺の手を引いてバスルームへ。


 母さんの視線をくぐり抜け、なんとかたどり着く。


 すると、アリスさんは先に服を脱ぎ、俺の前で白い裸体を晒す。


 豊かな胸、細い腰、柔らかそうな太もも……。

見ようとしなくても目に入ってしまう。


「…好きなだけ見てもいいんだよ?//触るのは…まだNGだけど…//」と、言われる。


 もう頭の中は完全に支配されてしまっていた。


 そして、俺も脱ごうとすると、股間が見える位置で屈んで待機するアリスさん。


「…そんなに見られると…」

「だって、見たいんだもん」と、頬を膨らませる。


 そして、裸体を見ていた後ということもあり、めっちゃ勃っているのを…見られた。


「…すごい…アンチグラビティ…//」

「…//」


 そうして、2人ともタオルで隠しながら入ると、アリスさんが後ろから抱きついてきた。


「背中、流してあげるね」


 柔らかい胸が背中に押しつけられ、石鹸の泡と一緒に優しく洗われる。

俺の息が荒くなり、アリスさんは耳元で小さく笑った。


「悠真くん……可愛い反応//」


 もう…死ぬかと思った。


 そうして、お風呂を上がるとアリスさんは俺のTシャツと短パンをパジャマ代わりに着ることになった。

それもまた…なかなかになかなかであった。


「おっ、Switchある!あ、マリオカートやりたい!」ということで一緒にマリオカートをやることに。


 最初こそ俺が圧勝していたのに、途中からアリスさんが慣れてきたのか、めちゃくちゃ接戦になる。

げーむせんすがかなりあるみたいだ。


「ふふ、じゃあこれ負けたら罰ゲームね」

「それレース中に言うのずるくない?」

「はい、ずるいです」と、ニコニコしながら言った。

  

 そして、負けた俺は言うことを聞くことに。


「じゃあ、アルバム見せて?」


 小学校の卒業アルバムと、中学校のもの見ることに。


 しかし、ページをめくると、当然のように俺だけでなく美咲の写真がたくさん出てくる。


 ツインテールで笑っている小学生の美咲。

中学の頃の、少し大人びてきた美咲。

俺と並んで写っている写真を見て、アリスさんが小さく息を飲んだ。


「…この子かー。そっかー、綺麗な子だね。悠真くんが10年も好きだったのも、わかるよ」


 俺は言葉に詰まった。

胸の奥がチクチクする。

アリスさんはそんな俺の肩に頭を乗せて、優しく言った。


「でも、今は私の番だよ?」


 その言葉で、少しだけ心が軽くなった。


 普段はもう寝ている時間らしく、眠そうにするアリスさん。


「…もう寝よっか」

「うん…」


 すると、アリスさんが俺の胸に顔を埋めながら、ぽつぽつと自分の話を始めた。


「高校の頃は本当に忙しくてねー。朝から学校、放課後はバイト、夜はシスターの見習いみたいな仕事もやってて……ほとんど寝る時間もなかったんだよね。だから、青春が羨ましいの」

「…そうなんですね」

「うん」

「じゃあ…今度してみます?…制服デートとか」というと、目をキラキラさせる。


「したい!!けど…20歳で制服って…結構キツくないかな?」

「アリスさんなら大丈夫ですよ」

「本当ー?じゃあ、やりたい」

「今はシスターのお仕事だけなんですか?」

「ん?今はシスターの仕事がメインだけど、副業で翻訳の仕事とかも少しやってるの。フランス語も軽くはできるから、意外と需要あるんだよね」


 俺は初めて、アリスさんがただの「綺麗なシスター」じゃないことを実感した。

ずっと頑張ってきた人なんだ。


「そんなアリスさんが、なんで俺なんかを……」

「ふふ、悠真くんだからだよ。真っ直ぐで、ちょっと不器用で…悠真くんの良いところたくさん見てきたよ?」と、目を見ながらそう言ってくれた。


 お互いに目を見て、そして、ゆっくりと目を閉じる。

そのままアリスさんは俺の唇にキスをした。


 最初は優しいだけのキスが、だんだん熱を帯びていく。

舌が絡まり、甘い吐息が混ざる。


「ん……悠真くん……」


 彼女の手が俺の胸を撫で、下へ下へと滑っていく。

俺も恐る恐るアリスさんの大きな胸に触れた。

柔らかくて、重くて、温かい。

指が沈み込む感触に、頭がぼうっとなる。


 アリスさんは俺の耳を甘噛みしながら、囁いた。


「もっと触っていいよ……。全部悠真くんのものだから」


 温かくて、柔らかくて、たまらない感触。

俺は我慢できずに声を漏らした。

その時——

ピコン。

スマホにLINEの通知。


送信者:白峰 美咲

『悠真、さっきはごめん。本当に彼女が出来たんだもんね。信じなくてごめん。でも良かった。これでお互い幸せになれたね』


 俺の身体が一瞬で固まった。

アリスさんもそれに気づいた。

彼女は動きを止めず、むしろ優しく俺の頰を撫でながら、微笑んだ。


「美咲さんからだね……。でも、今は私を見て?ね?」


 アリスさんの青い瞳が、熱を帯びて俺を捉える。

彼女はさらに身体を密着させ、胸で俺を包み込みながら、甘い声で囁き続けた。


「悠真くんは今、私のものだよ……?全部、忘れさせてあげるから」


 金髪が俺の視界を覆い、甘い香りと熱が、俺を包み込む。


 結局、その夜はアリスさんの腕の中で眠った。

彼女の胸に顔を埋め、柔らかい鼓動を聞きながら。


 でも、心のどこかでは、美咲の震える声が、まだ小さく響いていた。

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