第4話 なんでも言ってね
目を覚ましてスマホを見ると…アリスさんからとんでもない量のラインが来ていた。
『おーい、何してますかー?』
『シスターアリスは今、すごく暇です』
『電話したいよー。もしかして、友達と遊んでる?それとも…もう浮気!?』
『ねー…見てるんでしょ?めんどい女って思った?』
『やっぱり付き合うのが嫌になった?』
な、何事!?と思っていると、どうやら返事がないからめちゃくちゃ送ってきているだけで、何かがあったわけではないようだ。
ひとまず、返信することにした。
『寝てました』既読
即既読がついた。
そうして遡ると、どうやらさっきの電話はアリスさんからだったらしい。
すると、また電話がかかってきた。
「…もしもし」
『もしもーし。すごーく、心配しましたよー?』
「あはは…心配…おかけしました」
『ん?もしかして体調悪いですか?元気なさそうだけど。そういうことなら電話切りますけど』
「あ、いや…そういうわけではないので」
『そう…なんだ。何かありました?彼女に隠し事はしなくていいんだよ〜?』
言えるわけないよ、こんなこと。
せっかく彼女になってもらったのに、俺の心にはまだ美咲ばかりで…。
『幼馴染さんと何かあった?』と、そう言われてしまった。
最低だな、俺は。
「…うん。まぁ…そうですね」
『そっかそっかー。そうだよねー。同じクラスなんだもんね。彼女ができたからって、すぐに忘れるとか無理だよね。あーあ、私も同じ高校に通えてればなー。今から高校生をやり直そうかな?』
「あはは…その場合、俺が先輩になっちゃいますよ」
『確かに、それはそうですね。あ、というかお互いタメ語で話しませんか?私もまだ時々敬語出ちゃうんだけど…彼氏彼女だからさ』
本当、すごい気を使わせてしまっている。
アリスさんのことは前々から知っていた。
綺麗な人とも思っていたけど、子供とかと遊んでる姿も何度か見たことがあるし、本当に見た目もそうだけど性格も天使みたいな人だって思っていた。
そんな人に好きって言われて、付き合ってもらっているのに自分は本当に…。
「…じゃあ…タメ語で」
『うん。ちゃんと、アリスって呼んでね?私もゆうちゃんって呼ぶから』
「…うん」
『…ごめんね』
「え?」
『いや、ほら…なんか私が1人で舞い上がってしまっているというか…ちょっと連絡つかないだけでめっちゃLINEしたり…お、重いです…よね…』
「そんなことない…です。俺の方こそ…ごめんなさい。アリスさんみたいな人に彼女になってもらったのに…まだ引きずって…。バカですよね。どうせ何も起こらないのに…いや、起こしてこなかったくせに、そんなやつが復讐とか、逆恨みも…いいとこっていうか…」
あっ、これやばい。
これ…泣くやつだ。
込み上げてきた感情と共に耐えきれなくなり、電話を切ろうとした。
『羨ましいな』
その言葉に手が止まった。
「うらやまし…い?」
『うん。そんな風に思われるのが羨ましいなって。すごく嫉妬しちゃいます。…私、すごく独占欲強いので。うざかったら、いつでも…振ってくれていいので。元々無理やり付き合ってもらった…みたいなものですし』
「そんなこと…しないですよ」
『そっか。それは嬉しいな。…ね、今会いたいって言ったら…どうする?』
「…会いたい…です」
『わかった。今から行くね』というと電話が切れた。
本当に…来るつもりなのだろうか。
◇
あれから約20分ほどで家のインターホンが鳴った。
まさか…、本当に…。
俺は急いで部屋から出て、階段を降りて一階に行くと、そこには母さんとアリスさんがいた。
「あれ!?アリスちゃん!なんでうちに!?」
…こっそり家に入れるつもりだったのに!!
そこにはヘルメットを片手に持ったアリスさんの姿があった。
「あ、いつもお世話になっております。実は先日から悠真くんとお付き合いしておりまして…」
「へー、悠真とお付き合い…お付き合い!?何!?レンタルシスター彼女とかやってんの!?」
「いえいえ、本当にお付き合いしていて…」
「マジですか!?こんなボンクラと!?」
自分の息子をボンクラ呼ばわり…。
「てことは…もう突きあってるの!?」
「なんちゅーこと聞いてんだよ!//」と、割り込む。
「あはは…まだ突きあってはいないんです//」
「それ、答えなくていいから!//」
そのまま、アリスさんの手を引いて部屋に連れ込んだ。
「…ごめん…なさい。うちの母さん…が…いつも」
教会に行ったらいつも絡んでるもんな…。
まぁ、それもあって俺もアリスさんとは話していたわけだけど…。
「…元気そうでよかった」と、抱きしめられた。
久々に味わった、人のぬくもり。
「…あ、あの…//」
「こんなことしかできないから…、私には。その代わりに私にできることならなんでもするから。…遠慮せずに言って欲しい」
「…遠慮せずにっていうのは…難しいかもしれません…//」
「うん。…今すぐには無理だと思うけど…ほら、こういう時とかは頼って欲しい。ゆっくりでいいから…好きになってくれたら嬉しいな」
…あぁ…本当に俺は…情けないな。
そのまま、彼女の大きな胸に顔を埋められる。
「!!//」
「…鼻息…すごい…//」と言いながら、更に抱きしめられると、立ったまま勃ってしまう。
思わず腰を引くと、「…そういうことも…追々しようね//」と、手でそっと撫でられた。
頭の中がすごいことになってしまった。
あぁ、さっきまでメソメソしていたのがバカらしくなってきた。
すると、そっと俺から離れるアリスさん。
「…好きです、悠真くん」と、改めて告白されてしまうのであった。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/822139844976298123
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