第2話 彼氏と彼女

 ゆっくりと木の扉を開けると、そこには笑顔を浮かべたアリスさんが立っていた。


「とりあえず、連絡先を交換しましょうか?」と、スマホを差し出される。


「え?あっ…はい…」と、この状況が未だに信じられなかった。


 そして、QRコードを読み込みラインに追加する。


 いつも以上にニコニコして、楽しそうなアリスさん。

というか、俺…アリスさんのこと全然知らないんだよな…。

まず、いくつなんだろう。

けど、いきなり年齢を聞くとか失礼だよな。


「この後は何か予定はありますか?」

「よ、予定とかはないですけど…」

「では、このままデートしましょうか」

「え!?デート!?」

「はい。私服に着替えてくるので少々お待ちください」


 そうして、スキップしながらどこかに行ってしまった。


 唖然としながら、俺はぼーっと近くにあった椅子に腰掛けていた。


 それから10分ほど待っていると、後ろから声をかけられる。


「お待たせいたしました」


 振り返ると、なんとも美しい私服姿のアリスさんが立っていた。


「…」と見惚れていると、「…どこか変でしょうか?//」と、言われてしまう。


「い、いや!変では全くないです!」

「そうですか?それなら良かったです!では、行きましょうか」と、俺の手を引いて、教会を後にした。


 そのまま、歩いて近くにあるカフェに入る。

その道中は手を繋いでおり、それはもうドキドキものであった。


 カフェに入り、席に座っても俺の手をなかなか離そうとしないアリスさん。

【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/822139844943392775


「あっ…えっと…メニューを見たいのですが…」

「えー…手離したくない…」と、可愛くごねる。


 可愛い…可愛すぎる。

渋々手を離してから「コーヒーはお好きですか?」と、聞かれる。


「まあ…たまに飲むくらいですね」

「そうですか。ここのコーヒーはすごく美味しいんですよ」


 それから店員さんがやってくると、アリスさんと俺をチラチラ見て、「もしかして、例の男の子?」と、アリスさんに質問する。


「はい。無事、彼氏彼女になれました」と、微笑むと「そうなの!?なら、コーヒー奢りますね!」と、言われる。


 例の男の子ってなに?

そんなヴォルデモート的な存在ではないのだが…。

というか、本当に前から俺のこと…好きだったのか。


「…改めまして、私の名前はアリス=ガルシアと言います。両親共にフランス人なのですが、ちょっと色々ありまして、あの教会の孤児院で育ててもらい、現在は20歳です。趣味はピアノと読書、あとは…好きな食べ物はオムライスです。不束者ですが、よろしくお願いします」と、頭を下げられる。


 てっきりハーフかと思っていたが、純正のフランス人なのか。

それになるほど…中々に大変な人生を歩んできたんだろうな。


「えっと…改めまして…佐藤悠真です。現在、高校2年の16歳です。趣味は…ゲームとかですかね。好きな食べ物はカルボナーラです。よろしくお願いします」と、頭を下げた。


「はい、お願いします。あっ、とりあえず記念写真を撮りましょう!」というと、立ち上がり、俺の隣に来るとスマホで写真撮り始める。


「はいはい、笑顔で〜。はい、チーズ」と、写真を撮ると、「ふふふ…これはいい写真が撮れました」と、だいぶ満足気であった。


 それから、美味しいコーヒーを飲んだ後、そのまま駅前まで行き、ウィンドウショッピングを始めた。


「悠真くんにはね〜、こういうのが似合うと思うんだ〜」と、勝手に試着大会が始まる。


「これですか?俺あんまり服とかわからなくて…」

「私に任せて?あっ、私はどういうのがいいと思う?選んで欲しいなー」とか言われた。


 俺がきて欲しい服を選ぶと、「ふーん?おっぱいが強調されてる服が好きなんだー?」と、胸を持ち上げながら聞いてくる。


「ち、ちがっ!?//そういうつもりじゃ…//」

「いいんだよ〜?照れなくて〜。彼氏さんだからねー?どんなことを要求しても私は答えちゃうよー?」と、俺の服と俺が選んだ服を手に取るとレジに持っていく。


「あっ、ちょっと…!」と、勝手に会計をしようとするので、俺が財布を出すも「いいからいいから〜。ここはおねえさんに出させて?」と言われてしまう。


 なんか、すげーいい心地の良い空間だった。

あぁ、これがデートなんだなと、感じていた。


 それからは本屋に行ったり、プリクラを撮ったりと、まさにデートらしいデートを楽しんだ。

この時間だけは嫌なことを忘れることができた。


 しかし、あっという間に時間が過ぎて、気づくとすっかり夜になっていた。


「あーもうそろ帰らないと。今日は本当にありがとうね」

「いや、こ、こちらこそ…。というか、本当に…いいんですか?俺なんかで…」

「うん、悠真くんがいいの」と、真剣な眼差しでそう言われた。


 そうして、彼女を教会まで送り届けて、初デートを終えるのだった。



 ◇


 付き合えた…付き合えた…!と、2人で撮った写真と、プリクラを眺めながらニヤニヤしていた。


 …はぁ…もっと一緒にいたいな…。と、そんなことを思うアリスであった。

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