郷土に根付く花の由来と、四谷軒氏的ストーリー
- ★★★ Excellent!!!
花の由来にまつわる神話・伝承は、世界各地に存在しています。それらはほぼ悲劇的なお話であるというのが共通していますが、我が国にも、悲しい由来を持つ花が存在していました。
本作の舞台は戦国時代初期の関東。現在でも町田の領有を巡って神奈川と東京が血みどろの抗争を繰り広げていますが、当時の関東平野も、後北条氏・山内上杉家・扇谷上杉家といった大勢力が、中小の地方領主を巻き込みながらしのぎを削る逐鹿(ちくろく)の野となっていました。
本作のヒロイン・常盤(ときわ)が仕える足利家庶流の名門・吉良家(江戸時代、消防士コスプレ集団に当主を惨殺される三河系吉良家と同じ氏族)も、名門とは名ばかりで、大勢力の顔色をうかがって命脈を保つ地方領主です。
その吉良家当主の正室に仕える常盤は、白鷺を愛でる優しい女性でした。しかし当主に見染められ、その子を懐妊した時から悲劇は始まります……。
今日では世田谷区の花となったサギソウ、その名にまつわる地域伝承を描いた本作ですが、そこは四谷軒氏の手による作品。歴史好きなら唸らずにはいられない展開が待っています。私はリアルで唸りました。
当初はレビューのタイトルを「(不義密通の疑いをかけられた)娘はサギ!?」などとしょーもないことを考えていた私を打ちのめした歴史作品、どうぞご覧ください!