第2話 死因は盆栽落下!? 届くはずの猫クッションが心残りです

 会社を出て、いつもの道を歩く。


 途中のコンビニに寄る。

 新作スイーツをチェック。


「プレミアムプリン……美味しそう」


 350円。

 ちょっと高いけど、今日も頑張ったご褒美ということで。


 レジに並びながら、スマホで通販の配送状況を確認。


『お客様の商品は、明日配達予定です』


 やった! 明日には猫型クッションが届く!


 これで、寂しい一人暮らしも、ちょっとは癒されるかな。

 プリンを買って、また歩き始める。


 商店街を通る。

 八百屋のおじさんが、「安いよ! 安いよ!」と声を張り上げている。


 でも、一人暮らしで野菜買っても、腐らせちゃうんだよなぁ。

 横断歩道で信号待ち。


 赤信号。


 ぼーっと空を見上げる。

 もう暗くなり始めている。

 11月の空は、あっという間に暗くなる。


「はぁ……」


 ため息が出る。


 このまま、ずっとこんな生活が続くのかな。


 朝起きて、満員電車に乗って、仕事して、帰って、寝る。

 その繰り返し。


 楽しみといえば、通販で買い物することと、動物動画を見ることくらい。


(宝くじでも当たらないかなぁ)


 3億円当たったら、会社辞めて、ペット可のマンション借りて、猫を5匹くらい飼って。


 朝から晩まで、もふもふに囲まれて暮らすんだ。


 働かずに、のんびりスローライフ。


 ああ、夢のような生活。


(あー、異世界転生とかないかなー)


 ネット小説みたいに、トラックにひかれて、異世界に転生して、チート能力もらって。


 でも、私が求めるのは、世界を救うとかじゃなくて、ただのんびり暮らすこと。


 可愛いペットと一緒に、スローライフ。

 それが私の理想。

 信号が青になる。


 横断歩道を渡り始める。


 その時だった。


 ゴンッ!!!


 頭に、何か重いものが直撃した。


 一瞬、何が起きたか分からなかった。


 視界がぐるんと回転する。

 空が下になって、地面が上になって。


 あれ? 私、倒れてる?


 頭から、何か温かいものが流れている。

 血? 


 これ、血だよね?

 周りの人たちが、悲鳴を上げている。


「きゃー!」

「大丈夫ですか!?」

「救急車! 救急車呼んで!」


 みんな、パニックになってる。


 私を見下ろしている人たちの顔が、だんだんぼやけていく。

 何が起きたの?


 トラックにひかれた?

 いや、横断歩道は安全に渡っていたはず。


 じゃあ、何?


 視線を動かすと、私の横に、何か転がっているのが見えた。


 植木鉢?


 それも、すごく大きな植木鉢。

 盆栽みたいなのが植わっている。


 鉢は割れていて、土が散らばっている。

 ……まさか。


 空から植木鉢が降ってきた?


 そんな、漫画みたいなこと、現実に起きる?

 意識が薄れていく。


 ああ、これ、死ぬやつだ。


 28年の人生、これで終わり?


 やり残したこと、いっぱいあるのに。


 猫、飼いたかった。

 世界一周旅行、したかった。

 美味しいものも、もっと食べたかった。


 それに、明日、猫型クッション届くのに。


 受け取れない。


 ……それが一番悔しい。

 目の前が、真っ暗になっていく。


 ああ、これで終わりか。


 さようなら、私の平凡な人生。


 最期の瞬間は、平凡じゃない死に方だったけど――。

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