丸い手触り

 本作は、今回のカクヨムコン……つまり、カクヨムコン11への参加作品である。

 実のところ、せめて読者選考期間が終わるまでに読んでおきたかった。我が身の不明を恥じる。それでも、語らないよりは語った方がはるかに良い。そう確信させる内容だった。

 閑話休題。

 最初は、非常に難解で、宇宙空間に放り出されたような感触を意識しながら読み進めた。

 引き継がれる『異能』は、虐げられた者が唯一備える……または、押しつけられる……希望でもあり絶望でもある。そもそも、本作で登場人物達を動かすのは、表には戒民局だが裏では写真だ。遅くとも、中盤からはそうなる。

 真を写す機械が、別な意味で物語の真相につながっていく進行ぶりは、巧みでもあると同時におぞましかった。

 つらつら考えるに、作者は、因果の輪と輪が絡んだところの業を様々な角度から幾重にも描きたかったのだろう。そして、一度描いたそれを、今度は一色ずつ、何か特別な薬品を使って漂白なり分解なりしていき、また別な次元へと読者を誘おうとしている。

 私の心には、いつの間にか、サンゴの欠片が刺さったような傷跡と化学薬品のごとき臭気が残った。それは、作者渾身の『文学』が遺した爪痕であった。

 必読本作。

 






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