あの日、駅舎で。一体何を解き放ったのか。

地元の駅へと向かう列車は閑散としていて
寂れゆく地方都市の現実を目の当たりに
する主人公。
 嘗ては、もっと活気があった筈だった。
第三セクターの利用状況からも、採算的に
もう既に限界に近いのだろう。IC非対応の
改札を抜けた所で見かけた
             異質な男女。

こんな田舎町では、先ず見かけない彼らの
外見は、欧米人の様に見えたが。
 券売機の前で途方に暮れる彼らに
善意を傾ける。

 何処へ行きたいのか。そして、
   何処から来たのか。


観光地でもない、今も過疎化が刻々と進む
辺鄙な町に草臥れた服装の男女が佇む。
それを異様と捉えてから結末までの不穏な
流れ。
    車窓に認めた彼らの後ろ姿。

 そこで初めてゾッとさせられる。

怪異など、初めからなかったのだ。そして
初めから怪異に魅入られていたのだ、と。
 巧緻に企まれた流れと端的な筆致。
これ程までに上質な怪異譚を目にするのは
滅多にある事ではない。


 怪異とは。

   まさに、こういうモノを謂う。

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