祈りが届かない場所で、人は何を信じるのか。
- ★★★ Excellent!!!
(20話読了時点です)
外伝と侮っていた。
――この作品は、本編とは別の“地獄”を描いてくる。
色彩豊かで、荘厳ながら笑い声に包まれる、本編と一転して、
本作はダークな開幕から読者を引きずり込む。
主人公・半人半神のクロウの視点から描かれるのは、
黄昏都に住まう神々との、埋めようのない断絶。
常降西・灰溜地区。
闇市と娼館がひしめく、人の底。
常降北部・翠嶺。
街を見下ろす高台の特権階級。
そして祈壇区。
地名だけで、階層と分断が伝わってくる。
本来、神気はどこにでも満ちているはずのこの世界に、
それでもなお存在する――絶祈圏。
祈りの届かぬ場所。
そこで現れるのが、”純神派”。
神を信じるのではなく、裁くための神を欲する者たち。
思想はやがて、形を持ち、暴力になる。
――そして迎える、第19話。
神・炎武と、半神の少女。
純神派の仕掛けた残酷な舞台の中で、光がすべてを塗り潰す。
……そこに残るのは、救いではない。
神と人。
その温度差を、容赦なく突きつけられる。
だが、この物語はただ重いだけではない。
静謐さと儚さが、ずるいくらいに同居している。
だからこそ、目が離せない。
こんな世界に夜姫ちゃんが――想像するだけで、恐ろしい。
今思えば、本編のプロローグの”あれ”は……。
助けてください、天照様。
笑わせてくれ、須佐男。
祈りの届かない場所が、ここにある。
その先で、私たちは何を目にするのか。
本編と並んで、素晴らしい一作です。
どちらからでも、読んでみて。