ある家族の風景が描かれる。クリスマスの夜、四人で食卓につく家族。奇妙な静寂。何かが変だ。何かがおかしい。この家族は通常じゃない!
物語は、本作の美しい主人公・花院ユキの過去に戻る。そこから語られるのは、ユキが家族の愛情に飢えていたこと。それを満たす人たちがいたこと。そして、彼らを絶対に逃さないと決めていること。
冒頭の〈奇妙な静寂〉が何だったのかを考えると、ゾッとするような想像が膨らみ、文章を読み進めるのが恐ろしくなってくる。だが、手が止まらない。302号室で起こった出来事を追いかけてしまう。
濃密な描写は、サスペンスとショックにみちあふれており、〈奇妙な静寂〉の正体を緊迫感を持って明かしていく。背筋も凍るようなその真相を、そしてその結末を見届けてほしい。